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リュック・フェラーリ センチメンタル・テールズ
あるいは自伝としての芸術
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年3月
- 書店発売日
- 2016年3月22日
- 登録日
- 2016年1月27日
- 最終更新日
- 2016年3月22日
紹介
20~21世紀フランスの現代音楽/電子音楽の巨匠リュック・フェラーリ(1929-2005)が遺した18の断章からなる「自伝」、そして数々の自伝的エピソードをもとに、会話と音楽と日常音とを融合させてフェラーリ特有の「逸話的音楽」を実現したヘールシュピール(ラジオ・ドラマ)の傑作《センチメンタル・テールズ》を、フェラーリ研究の第一人者、椎名亮輔が本邦初訳。
公私ともにパートナーであったブリュンヒルド・メイヤー・フェラーリの全面的な協力を得て、写真も多数掲載。
その数奇な生涯をつづった「リュック・フェラーリ小伝」およびドイツで生まれたラジオ・ドラマ芸術「ヘールシュピール」についての解説「ドイツにおけるヘールシュピール小史」を付した。
目次
リュック・フェラーリ|自伝
リュック・フェラーリ|センチメンタル・テールズ
リュック・フェラーリ小伝(椎名亮輔)
ドイツにおけるヘールシュピール小史(筒井はる香)
前書きなど
この書物は、二〇~二一世紀のフランスの作曲家、リュック・フェラーリの『自伝(Autobiographies)』とヘールシュピール作品《感傷的な物語(Contes sentimentaux)》を翻訳し、あわせてフェラーリの伝記とヘールシュピールの歴史についての解説を添えたものである。原文は、フェラーリ未亡人ブリュンヒルドからいただいた。《感傷的な物語》についてはラジオ放送用台本のかたちであり、基本的にはそれを翻訳したが、場合によってあまりに録音と違うときには録音のほうを翻訳した。ドイツ語の部分にかんしては台本がないため、録音にしたがって翻訳をおこなったが(多く筒井はる香さんの手をわずらわせた)、たんにフランス語の言葉をドイツ語で言い直しただけの場合は省略した。
『自伝』については、その成り立ちをフェラーリ自身がジャクリーヌ・コー『リュック・フェラーリとほとんど何もない』(拙訳、現代思潮新社)の一九一~一九五頁で語っている。もっとも重要だと思われるのは、それが彼の電子音楽作曲家、より正確には「マイクをもった録音者」としての自覚に由来することだろう。つまり、客観的な現実を切り取っていると思われがちな録音という行為は、じつはつねにマイクをもっている人物をこそ描き出している、ということだ。芸術はつねにすでに自伝であり、その「自伝」を意識的に(芸術として)書いたのが彼の『自伝』である(たとえ、最初のきっかけが演奏会のプログラム・ノート用のプロフィールであったとしても│いや、それゆえになおさら)。
椎名亮輔
上記内容は本書刊行時のものです。