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平和とジェンダー正義を求めて
アフガニスタンに希望の灯火を
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2019年10月4日
- 登録日
- 2019年9月24日
- 最終更新日
- 2019年10月1日
紹介
アフガニスタンの人々は、度重なる外国の政治介入、軍事侵攻、内戦などの過酷な現代史を生きてきた。とりわけ日常生活でさまざまな差別や暴力を受けてきた女性たちは、1977年にRAWA(アフガニスタン女性革命協会)を設立し、平和で民主的な社会を求め歩んできた。
2001年の同時多発攻撃(9・11)以後、米国は英国などとともにアフガニスタンを爆撃し、ターリバーン政権を崩壊させた。しかし、以後の政権下で女性は解放されるどころか、むしろ暴力・差別・貧困は悪化している。
アフガニスタンへの無関心が続く日本で、連帯は可能か。本書はこれまでのそしてこれからも続いていくRAWAとの連帯の記録である。
目次
はじめに (前田 朗)
読者の皆さまへ──RAWAからのメッセージ
第1章 アフガニスタンにおけるジェンダーに基づく暴力──その形態と諸要因 (清末愛砂)
第2章 RAWA設立者・ミーナーの生涯 (前田 朗)
第3章 RAWAのいまとこれから (清末愛砂)
第4章 近年のRAWAの声明
第5章 RAWAと連帯する会のとりくみ (桐生佳子)
資 料 ゆっくり読もう、アフガニスタン現代史 (前田 朗)
おわりに (清末愛砂)
前書きなど
はじめに
アフガニスタン、この国がどこにあるか。地球儀を一回転させて、すぐに位置を指さすことのできる人はいるでしょうか。
アフガニスタン、この国にはどんな歴史があるか。ギリシャ、ペルシャから現代に及ぶ長い歴史を説明できる人はいるでしょうか。
アフガニスタン、この国を代表する人物を私たちはどれだけ挙げることができるでしょうか。
アル=カーイダのビン・ラーディンを真っ先に思い出す人がいるかもしれません。しかし、ビン・ラーディンはサウジアラビア人であって、アフガン人ではありません。強権支配を続けた軍事集団のターリバーン。宗教指導者のオマル。ソ連と闘ったムジャーヒディーンたち。北部同盟の軍事指揮官だったマスード。ターリバーン崩壊後に大統領となったカルザイ。長期の亡命から帰国したザーヒル・シャー。アフガニスタンに関心を持ったことのある人なら、こうした名前を列挙するかもしれません。
残念なことに、戦乱と抑圧のアフガニスタンで、民主主義と女性の権利を求めて闘ってきた女性たちのことは、あまり知られていません。アフガニスタン女性革命協会(ジャミヤット・エンケラービ・ザナーン・アフガニスタン、英語の略称RAWA)は、1970年代に設立されて以来、外国軍による侵略、武装勢力の支配、イスラム原理主義による人権抑圧の下、女性自身による権利獲得の闘いを続けてきました。
ある時は秘密組織として、ある時は国外における難民組織として、またある時は国際社会を駆ける活動家組織として、RAWAはつねに女性の権利を求め、アフガニスタンに民主主義を実現するために前進してきました。内外の支援者の協力を得て、アフガニスタンの乾いた空と大地に、自由と平等と尊厳の歌声を響かせようとしてきました。しかし、アフガニスタンではいまだに女性差別的な原理主義の影響力が強く、女性の権利擁護は期待通りには進んでいません。RAWAの活動には大きな制約があります。
私たちは2004年にRAWAと連帯する会を発足させて以来、RAWAの思想と活動に学び、相互に往来を重ねてRAWAと交流を続けてきました。少人数の弱小団体ですが、命がけで平和と人権を勝ち取ってきたRAWAの志に触発され、屹立する精神に促迫され、活動力に瞠目しながら、RAWAと併走する日々を過ごしてきました。
そこでこの活動の一環として本書を世に送り出すことにしました。アフガニスタンを監獄でも迷路でもなく、女性も男性も互いに認め合える民主的な社会に変えること。日本を傲慢でも卑屈でもなく、マジョリティもマイノリティも互いに尊重し合える民主的な社会に変えること。平和を希求するRAWAの闘いが私たちの闘いとなり、連帯を紡ぐ私たちの闘いが日本に生きるみなさんの闘いとなることを願って。
2019年6月30日 執筆者を代表して 前田 朗
版元から一言
RAWA来日! 2019年10月、東京、大阪、京都、兵庫、北海道でスピーキングツアー開催。
上記内容は本書刊行時のものです。