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Fishing Café VOL.71
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年4月10日
- 書店発売日
- 2022年4月15日
- 登録日
- 2022年3月4日
- 最終更新日
- 2022年6月29日
紹介
「皮に恋して、骨まで愛する」魚食民族ニッポンのSDGs
「鮭のまち」として知られる新潟県村上市三面川流域では、サケの調理法が100種類を超えるといわれ、平安時代には遠く京の都にサケが献上され、越後村上藩の主要な財源となっていた。しかし、江戸時代後期になると、乱獲により不漁が続く。そこでサケの母川回帰性を発見した越後村上藩の下級武士・青砥武平治(あおとぶへいじ)は、三面川に産卵に適した分流"種川"を設け(種川の制)、サケの産卵を助けることでサケの回帰を促した。三面川に産卵に適した分流“種川”を設け(種川の制)、サケの産卵を助けることでサケの回帰を促した。これは養殖でもなければ、単なる漁獲でもない。まさに江戸時代に行われたSDGs、持続可能な取り組みだ。さらに明治12(1879)年に欧米式のサケ・マスの孵化放流を種川の制が進んだ三面川で行うと、5年後の1884年には、それまでの約5倍の約73万7千匹を漁獲。単一河川では、日本の最高記録となっている。やがて、昭和23(1948)年に発足した近畿大学水産研究所では、「養殖用原魚は天然資源に依存しない人工種苗を使うべきだ」という理念のもと、1970年に水産養殖種苗センターを設立。枯渇が予想される水産資源を補うため、世界に先駆け18魚種の種苗生産に成功している。こうした種苗、栽培、養殖といった水産資源の増産技術の背景には、「頭や内蔵、中骨や皮に至るまで捨てることなく、大切に味わう」という日本独自の魚食文化がある。
目次
3 ◎巻頭インタビュー 音尾琢真―逃がした魚は、大きくない!―
13 ◎特集:美しい国ニッポンの育む魚、活かす釣り「魚・釣り、人・未来」
15 ◎21世紀の水産危機を救う「ブルーレボリューション」
21 ◎「サクラマスの聖地」 環境保全活動
27 ◎海上釣り堀を魅了するオリーブハマチ
31 ◎原種の野生イワナが豊富に泳ぐ川 長野県・雑魚川
35 ◎ 釣魚の揺りかご「アマモの森」
39 ◎先端技術の開発に取り組み養殖の未来を切り拓く
●連載コラム
43 太公望万歳! 末広恭雄(農学博士)
45 新連載 『釣・魚画帳』入門/宮田亮平
47 新連載 釣音(つりおと)/宮沢和史
53 釣人たちの輪舞曲/錦織則政
60 【釣具物語】 釣具、漁具の歴史とその変貌
64 同じ水、同じ流れの中で/土屋守
68 フィッシング・カフェ・クラブ Fishing Café CLUB
前書きなど
クロマグロを筆頭に、海釣りで人気の魚18種の種苗や完全養殖を行う近畿大学水産研究所。 釣り人たちの強い環境保護意識から始まった福井県・九頭竜川のサクラマス保護。淡路島の海上釣り堀で人気のオリーブの葉を飼料に育てたハマチ養殖。海の稚魚たちの海藻の揺りかご、アマモの森の再生に尽力する海洋環境学者の試み。自然河川で天然イワナの原種が自然胞卵し、繁殖している信州・雑魚川の取り組み。先端技術で魚を育て、養殖の新たな未来を追求する人々など……。今、豊かな釣り場環境の構築と地球全体の持続可能な水産資源の維持を目指し、さまざまな試みが行われている。そこで今号の特集では、持続可能な「魚・釣り、人・未来」をテーマに最先端の現場をレポートする。
版元から一言
『フィッシング・カフェ』は、釣りを愛するすべての人に、これから釣りを始めてみようという人たちも、気ままに集ってお茶でも飲みながら釣りについて語り合う「カフェ」――そんな思いを込めました。
上記内容は本書刊行時のものです。