版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
泣いた牛 高橋文子(著) - てらいんく
....
詳細画像 0
【利用可】

書店員向け情報 HELP

泣いた牛 (ナイタウシ)

児童図書
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:てらいんく
A5判
108ページ
上製
定価 1,400円+税
ISBN
978-4-86261-082-9   COPY
ISBN 13
9784862610829   COPY
ISBN 10h
4-86261-082-X   COPY
ISBN 10
486261082X   COPY
出版者記号
86261   COPY
Cコード
C8093  
8:児童 0:単行本 93:日本文学、小説・物語
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2010年12月
書店発売日
登録日
2010年11月15日
最終更新日
2013年4月8日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

 小学低学年以上を対象にした創作。
 今は、無人の島、八丈小島で、生まれ育った著者の子ども時代。昭和30年代の離島での暮らしを3姉妹を通して描く5つの物語。 電気もない、お店もない、交通手段は、牛にたよる生活環境のなかで、こころ寄せ合って明るく、温かく、強く大自然のなかで生きる島の人々。

目次

岩のり採り
台風が来た
台風のおくりもの
ツバキの花咲くころ
泣いた牛

前書きなど

 東京から南へ二百九十キロメートル離れた伊豆七島の南端、八丈島の北西七・五キロメートルの海上に、面積三・一平方キロメートルの小さな島があります。八丈島の二十分の一にもみたない小島ですが、最盛期には五百人ほどの人びとが住んでいました。
 島の肌は、太平洋の黒潮の荒波に、日夜洗われています。その孤島こそが、私が生まれ育った八丈小島なのです。
 生活条件の厳しさもあり、過疎化の流れは止まらず、老人と子どもだけの島になりつつありました。そこで、ついに昭和四十四年、全島民九十一人が島を離れました。その後、無人島として新たな歴史を刻んでいます。
 昭和三十七年、私は、大自然豊かな島のなかにたくさんの思い出を残し、中学二年生修了と同時に、親元から旅たちました。
 ここに収めた作品は、私が小学生の、昭和三十年代初め、八丈小島がまだ光り輝いていたころの出来事を題材として、物語風にまとめあげたものです。
 当時、病院の無い八丈小島では、学校の先生方がお医者さんの代りになっていました。
 商店は一軒も無かったので、日常必要な品物は、月に数回の定期船で、八丈島の商店から仕入れ、運んでもらっていました。
 水道もありませんので、雨水を貯水タンクにためて使っていました。車も、ありません。
 第一、走る道路がないのです。荷物の運搬は人びとが背負い、バッテリー電池など重いものは牛で運んでいました。電気もありませんので、ランプ生活でした。
 初めて小島を訪れた人は、驚くことばかりだったでしょう。テレビ、洗濯機、冷蔵庫がもてはやされていた時代のことですから・・。
 でも、生まれ育った私たちにとっては、それが当然のこととして、慣れ親しんできたので、「大変だ」とか「苦労」とかいう言葉は、あまり目にしませんでした。
 一つの小さな村が、一つの大きな家族として、助けあって生きることを、子どものころから自然と身につけていたからなのです。
 私にとっての、そんな貴重な体験が、現代の多くの小・中学生の皆さんの目には、どのように映ることでしょうか。
 ほんのわずかでも、孤島生活の一端を理解していただければ幸いに思います。
 私の中学時代、へん地教育を志して八丈小島に赴任された若き漆原智良先生。あれから五十年の歳月が流れた現在は、児童文学作家として活躍し、私を含めた、教え子たちに温かい眼差しを注いでくださっています。
                                        (高橋 文子)

 2010年11月 晩秋

版元から一言

 家族の絆、生きる力、大自然、愛 すべてがきらきらひかる物語です。
 無人の島の今も、明るく、温かく、元気に生きた島の人々の楽しそうな笑い声が聞こえてきます。

著者プロフィール

高橋文子  (タカハシフミコ)  (

1947年八丈小島に生まれる。 
1969年八丈小島全員離島。
著書に「思い出の八丈小島」(文芸の森社刊)
「詩集 八丈太鼓」(銀の鈴社刊)がある。
「とっくんこ」「やまもも」「一軒家」同人。

上記内容は本書刊行時のものです。