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食卓の危機 安田 節子(著) - 三和書籍
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食卓の危機 (ショクタクノキキ) 遺伝子組み換え食品と農薬汚染 (イデンシクミカエショクヒントノウヤクオセン)

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発行:三和書籍
四六判
232ページ
価格 1,700円+税
ISBN
978-4-86251-412-7   COPY
ISBN 13
9784862514127   COPY
ISBN 10h
4-86251-412-X   COPY
ISBN 10
486251412X   COPY
出版者記号
86251   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2020年9月15日
最終更新日
2023年12月26日
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紹介

日本は食糧自給率が年々減少して、近年では37%まで落ち込んでいます。それをカバーするため輸入食糧に依存する傾向がますます高まっています。この輸入食糧が、安全かどうかという検証と議論が十分になされないまま、私たちの食卓に上がっているのが現状です。安全性を阻害する大きな要素として、農産物の遺伝子組み換えの弊害と、農薬汚染があげられます。これは、世界的な問題として各国が基準強化などの対策を進めつつあります。翻って日本では、この問題に関する情報が乏しいため一般の認識が薄く、政府の対応は安全性の担保とは逆行しているといえます。本書では、日本国民の健康に直結する食の危機に警鐘を鳴らすことを趣旨としています。

目次

はじめに ⅲ
第1章 世界が声を上げ始めた 1
1.ドキュメンタリー「遺伝子組み換え戦争」 2
2.ラウンドアップと遺伝子組み換え作物 5
3.グリホサートの健康障害を示す論文 7
4.世界は声を上げ始めた 12
5.ラウンドアップは、グリホサートのみならず補助剤も強い毒性を持つ 14
6.ラウンドアップ耐性雑草出現と複数の除草剤使用 16
    [コラム]アトラジン(除草剤)/2・4D(除草剤)  18
7.ラウンドアップ耐性雑草とジカンバ耐性GM大豆 19
8.GM大豆の終わりの始まり? 21
9.日本はジカンバ耐性大豆に合わせて残留農薬基準を大幅緩和 26
10.TPP協定に遺伝子組み換えの輸入促進条項 27
11.米国の裁判で立て続けにモンサント社に賠償判決 28
    [コラム]バイエル  31
    [コラム]ドウェイン・ジョンソンvsモンサント  33
第2章 この食品が危ない 35
1.遺伝子組み換え(GM)作物のターゲットは日本 36
2.GMは除草剤耐性か殺虫毒素生成 44
3.世界の流れに逆行する日本:グリホサートの残留基準緩和 46
4.日本におけるグリホサートの食品汚染事例 48
  北米産輸入小麦にグリホサートが残留 48
5.輸入小麦使用の食パンすべてからグリホサート検出 49
6.世界の動きと日本 50
7.カナダ、豆のグリホサート使用を排除するも、小豆は例外 51
8.テレビCM 日本では野放し 52
9.グリホサートは神経毒性のある有機リン系農薬 55
10.空中散布は広く地域を農薬汚染する 56
11.日本人の神経難病が増加 56
12.GM食品の安全性 60
13.GM作物の影響 62
14.GM規制の国々 63
第3章 ミツバチが消えた 65
1.ネオニコチノイド系農薬 66
2.ネオニコチノイド系農薬の特徴は浸透性、残効性、神経毒性 66
  ミツバチが巣に戻らず、大量失踪 67
3.神経毒性のある他の農薬 69
4.禁止や規制に取り組む国際社会 71
5.日本だけは基準を緩和 72
6.クロチアニジンも基準値を緩和 73
7.国産茶からネオニコ農薬の検出 75
8.ネオニコが漁業にも影響 宍道湖でウナギが激減 75
9.日本でネオニコ使用増加とともに発達障害が増加 78
  発達障害と農薬~農薬が胎児に高率で移動 78
10.コメでの使用 80
11.農薬販売中止を求める市民運動 85
  日本での「脱ネオニコ」の動き 86
  要望書に対する企業からの回答 86
  「デトックス・プロジェクト・ジャパン」の毛髪検査の取り組み 87
12.急がれる脱農薬社会への転換 88
  農薬禁止に踏み切るフランス 88
  EUの市民発議 89
  欧州委員会 二〇三〇年までの生物多様性・農業戦略を策定 
  有機農業を二五パーセントに 90
13.有機の食事が農薬を体外排出 98
14.有機農業への転換を急げ 101
  使用農薬表示で有機転換促進を 102
15.有機の学校給食を全国に 102
    [コラム]「モンサント社の履歴」  105
第4章 ゲノム食品は安全か?     107
1.ゲノム編集食品 108
2.オフターゲットの問題 114
3.オンターゲットの問題 116
4.ゲノム編集は遺伝子組み換え(GM) 119
  植物のゲノム編集の場合 119
  動物のゲノム編集の場合 120
5.ゲノム編集の角のない牛に抗生物質耐性遺伝子が存在 121
6.安全を確認できない限りゲノム編集は認められない 125
7.検出困難だから表示不要の論 128
8.ゲノム編集は大企業向けの特許カルテル 129
9.トランプ大統領がGM市場拡大のための戦略策定を命令 131
10.日本の「統合イノベーション戦略」 132
11.ゲノム編集農作物をオーガニックに? 134
12.遺伝子ドライブ技術~生物兵器になるおそれ 137
   [コラム]アシロマ会議  139
   [コラム]<遺伝子ドライブとは>  141
   [コラム]ビル&メリンダ・ゲイツ財団  143

第5章 種は誰のもの? 
  UPOV条約とモンサント法  145
1.生命体に「特許」? 146
2.農民シュマイザーとモンサント社の特許侵害裁判 148
3.モンサント社の損害賠償ビジネス 150
4.自殺する種子・ターミネーター技術 152
5.ターミネーター技術とはどんな技術? 154
6.ターミネーター技術をあきらめないアグロバイオ企業 156
    [コラム]途上国で何が起きているか?  157
7.種の独占はハイブリッド品種から始まった 158
8.種子業界の権利を拡張する植物新品種保護(PVP) 160
9.PVP(植物新品種保護)は途上国の農業を破壊する 162
10.自家増殖を禁止させようとする「モンサント法」 163
11.種子銀行は何のため? 164
12.「緑の革命」がもたらしたもの 166
13.モンサント法案を巡る各国の動き 169

第6章 売国法はいかにして成立したか
  種子法廃止・農業競争力強化支援法・種苗法改正  171
1.種子法とは何か 172
  この種子法廃止、何が問題なのでしょうか 172
2.公的知見を民間に提供せよと迫る農業競争力強化支援法 174
3.山田正彦氏の企業米使用の生産者インタビュー・レポート 177
4.「売国法」がいともたやすく成立した経緯 180
5.種子法廃止で起きる近未来は野菜を見れば分かる 182
6.種苗法改正 183
7.「品種の海外流出を防ぐ」は後付け 185
  「種苗法の一部を改正する法律案」の概要から 185
  農家の自家増殖禁止で何が起きるでしょう? 188
   [コラム]主要穀物はどこの国でも公的管理があたりまえ 192
8.在来種を守れ! 193

第7章 私たちの農と食を殺させない
  今こそ「農本主義」と有機農業を  197
1.先進国の中でも最低ラインの日本の食糧自給率 198
2.今こそ“農本主義”を 201
  漢書の「機農」が由来。有機農業という言葉 202
3.化学肥料は土を壊す 203
  化学肥料は環境を破壊する 204
4.近代化農業は効率が良いのか? 207
5.健康な土作りが有機農業の基本 210
6.有機学校給食は日本を有機農業国に転換させる原動力になる! 213

あとがき 216

前書きなど

 グローバリゼーションによる自由貿易体制は巨大アグリビジネスが作り上げた食糧システムです。新型コロナウイルスのパンデミックによる国境封鎖で、この食糧システムのサプライチェーンが崩壊しました。輸入に依存するリスクが浮き彫りになったと言えます。
 日本は貿易自由化を推進し、農産物輸出大国からの工業的大規模農業による安い輸入農産物への依存を高めてきました。その結果、国内農業は衰退し、一九六五年に七三パーセントあった食料自給率が二〇一七年は三七パーセントに落ちています。
 米国政府の背後にいるアグリビジネスが送り込んでくる農産物は、遺伝子組み換えやポストハーベストの農薬残留など安全リスクのあるものです。日本は、米国より厳しい基準は貿易障壁になるとして積極的に規制緩和をしてこれらを受け入れ続けています。アグリビジネスの利益のために国民の健康を差し出していると言えるのです。また輸入食品の高濃度の農薬残留を許すだけでなく国内においても単位面積あたりの農薬使用量が世界トップクラスにあります。
日本の医療費は増大し続け、二〇一七年度は過去最高の四二兆円を超え五〇年前と比べて一〇〇倍です。医療が進歩しているのに病人が増え続け国民の健康が悪化しているのです。
 私たちは、今、まさに転換点に立っています。世界は多用されてきたグリホサートやネオニコチノイド系農薬を禁止する流れになっています。専門家たちからは、化学合成農薬そのものの使用を止めなければ間に合わないとの指摘が出ています。本書ではこうした流れを具体的に示しました。
 国連を中心に「持続可能な農業」が呼びかけられています。欧州委員会は、二〇三〇年までの一〇年間で、公正で健康的で環境に優しい食料システムを目指す「農場から食卓戦略」を採択しました。目標には化学農薬の五〇パーセント削減、有機農業を二五パーセントに拡大することが掲げられています。
 日本も有機農業による自給国家を目指そうではありませんか。

版元から一言

 アメリカをはじめとした世界各地から輸入されてくる食糧は、大規模栽培によって大量に収穫された農産物が多くの比率を占めます。従来の栽培法とは異なって、化学肥料を大量に撒いたり、収量を大幅に増加するために遺伝子を組み換えた品種を使ったりしています。そこには、人間の健康に害を及ぼす要素が少なからず存在しています。その影響の大きさが、近年だいぶ明らかになってきています。また、巨大農業企業による種子の寡占も将来の禍根となる可能性が大です。ただ、これらの情報はじゅうぶんに認知されていないのが実情で、先行きが非常に懸念されます。この前代未聞の食糧の危機を喚起するために制作した本書の一読をお勧めします。

著者プロフィール

安田 節子  (ヤスダ セツコ)  (

食政策センター ・ビジョン21代表
NPO法人「日本有機農業研究会」理事
一般社団法人 アクト・ビヨンド・トラスト理事
日本の種子を守る会常任幹事

1990年~2000年 日本消費者連盟で、反原発運動、食の安全と食糧農業問題を担当。
1996年~2000年 市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」事務局長。表示や規制を求める全国運動を展開。
2000年11月「食政策センター ・ビジョン21」設立。情報誌『いのちの講座』を創刊し発刊中。
2009年~2013年 埼玉大学非常勤講師
<著書>
『食べものが劣化する日本』(食べもの通信社)
『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』(平凡社新書)
『わが子からはじまる食べものと放射能のはなし』(クレヨンハウス・ブックレット)
『消費者のための食品表示の読み方―毎日何を食べているのか』(岩波ブックレット)
『遺伝子組み換え食品Q&A』(岩波ブックレット)
『食べてはいけない遺伝子組み換え食品』(徳間書店) 他

上記内容は本書刊行時のものです。