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きよしへ 氷川きよし博多純情ものがたり
新装版
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2009年4月
- 書店発売日
- 2009年4月19日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2019年2月26日
紹介
芸能生活10年目を迎え、ますます充実した活躍をみせる氷川きよし。高校時代に、彼を見い出した「おじいちゃん先生」が、病床からの祈りを込めて語り下ろした愛の一冊。巻末に編集部編・氷川きよし10年目の誓い&最新ステージフォトを収録。
本書は、「きよしへ 博多純情ものがたり」(2004年弊社刊行)を新装・増補改訂したものです。
目次
新装版刊行にあたって
まえがきにかえて
第1章 15歳の門下生
おじいちゃん先生/芸能塾/お母さん/彼は演歌に向いている/
第2章 二人三脚の日々
ほんなこつか?/キーの違い/演歌はダサい!?/涙の初舞台/うまくなりたい!/コンテスト荒らし
第3章 はじめてのファン
憎みきれないキャプテン/純心/プロの誘い/回生園のこと/おばあちゃん、また来るけんね/山田君の味方/たった一人のおふくろさんに
第4章 いざ東京へ
全国大会出場/ウンと言ってくれ/最初で最後の卒業式/精一杯の笑顔/男が泣くな/
第5章 プロになるために
修行時代/男性演歌歌手として/一人暮らし/見ずには死ねない/内弟子として/福岡に帰ってきなさい
第6章 「氷川きよし」誕生
演歌がだめなら……/わかった、預かる/万雷の拍手/股旅もの/きよし君が来てくれたよ/真の笑顔
第7章 博多っ子の意地
快進撃の始まり/レコード大賞の舞台/老兵は去るべし/遠き思い出/演歌の魂/
あとがきにかえて
氷川きよし10年目の誓い
前書きなど
山田清志君が氷川きよしとして歌手デビューしてから、瞬く間の10年が過ぎようとしている。
思い起こすのは、デビューを3カ月後に控えた山田君から受け取った一通の葉書だ。99年11月だった。
「……プロの歌手としての大変さがわかりました。……」
デビュー曲「箱根八里の半次郎」の事前キャンペーンで各地を飛び回るさなかに、地元九州を訪れた直後のことだ。その短い一文に、22歳の山田君が立ち向かっている壁の大きさを慮(おもんぱか)ったものだ。
神経を張り詰める毎日で、疲労は極限に達していたことだろう。歌手デビューという未知の世界への挑戦は、怯えにも似た不安と隣り合わせでもあったろう。それでも、近況を伝える文面は、いつもの優しい山田君そのものだった。
本書を上梓したのは5年前の2004年のことだ。それ以来、数多くの氷川きよしファンの方たちと手紙のやり取りが始まった。延べにして300通をはるかに超える。
コンサートに出かけることが出来ない私を気遣って、氷川君の様子をその都度、伝えてくれる女性がいた。あるいは、氷川君の表情に疲れが出ているといって、働き過ぎじゃないかと、心底心配する女性もいた。
実の息子のように、実の孫のように氷川君を思い、愛してくれていた。そんなファンに抱(いだ)かれている彼はほんとうに幸せだと思う。
デビュー当時からこれまで、私は氷川君の行く末を案じるようなことはほとんどなかった。伸びやかで、艶やかな歌声に、さらに磨きがかかるのを目にするたびに、彼が大きく羽ばたくことを確信していた。
ただの一度だけ、私は祈ったことがある。「箱根八里の半次郎」が右肩上がりでヒットチャートを駆け上がっていたころのことだ。
演歌の世界では、時として一発屋で消える歌手がいる。巷間、そこかしこで、氷川君の歌声がこだまするなかで、私はひたすら祈った。
「ファンの心を、ずっとずっと、捉えつづける歌手になりますように……」
だが、それは老いたる男の杞憂に過ぎなかった。
氷川君はもっともっと大きくなって、人の心を歌に乗せ、愛され続けるだろう。
氷川君からお見舞いの電話をいただいた。
「会いにいけませんので、電話で……」
齢(よわい)を重ねて87年──。牙(きば)を剥(む)く病にも、どうやら慈悲の心があるようだ。心配はいらない。
氷川君に、そして多くのきよしファンの方々に感謝して筆を擱(お)きたい。
また、デビュー10周年という祝福すべき時期に、新装版という形で本書を世に残してくださったアールズ出版に感謝したい。
平成二十一年四月
本間繁義
上記内容は本書刊行時のものです。