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父のパンツ 子どものパンツ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2009年12月
- 書店発売日
- 2009年12月24日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
40代半ばにして職を離れ、痴呆の進む父親を介護し、障害を持つ息子を見守ってきた著者の10年間をつづったエッセー集。介護保険制度、障害者自立支援法など現代の多くの生活者が抱える問題に向き合ってきた著者は、その矛盾や運用の問題点を鋭く指摘する。ふつうの人間が、当たり前に暮らしていくとはどういうことなのか。生きる喜び、悲しみ、そして怒りが、静かに行間に滲む。
目次
はじめに
見えを捨てて再出発の日々
グループホームでゆっくり見守る
お年寄りの世話、臨機応変が必要
岡山空襲の事実、正確に伝えたい
介護者の自己実現も大切
父を気遣いつつ家をリフォーム
失業してわかる家庭人の役割
Ⅰ 男の介護
薬が多すぎて戸惑う高齢者
登録ヘルパーをめざして
主夫の七カ月、山あり谷あり
介護保険に望む改善点
父のパンツ子どものパンツ
高齢者虐待の防止法制定を
介護者の思い、改革に反映を
施設への入所、父がやっと同意
苦く味わい深い人生の滋味
父と過ごしたつらい十年間
他界した父の心の弱さ思う
高齢者も働ける社会環境の整備を
父を許そうと思った
年金を目標に辛抱重ねた母
介護療養型病床の存続を
Ⅱ 男の育児
相談しながら親もまた成長
障害の息子の学童保育を断念
ダウン症長男、地元小に入学
おやじの出番、児童と交流
主夫の孤独
社会で子どもを育てる政策を
特殊学級の補助にボランティアを
斬新な制度も国の補助が必要
全力をあげて子どもの相手を
ダウン症の長男の「感性」を守りたい
育児の支援策に自治体も知恵を
安全な遊び場、子どもに必要
子どもを一層地域で守ろう
鬼太郎大好き、次は何に興味
子どもが地域を結ぶかすがい
発達障害の少年事件をどう裁く
障害児の発達へ継続的支援を
教科書再利用ぜひ検討して
子ども育成の支援予算を削らないでほしい
障害児支援策に財政の裏付けが必要
Ⅲ 障害者福祉の行方
障害者支援費制度の充実を望む
障害者福祉の低下、とても不安
混乱予想される障害者自立支援法案
障害者を包括せず個別な支援が必要
自立支援法でサービス中止
説明打ち切る市の対応疑問
障害者の就労、岡山県は把握を
県は障害者団体の要望に応えてほしい
障害児教育の支援を手厚く
非情な障害者自立支援法
弱者の声なき声を聴いて
障害者サービスへの提言
Ⅳ 本・映画・人
子どもはみんなスペシャルだ
アンパンマンの「心」がわかった
明石さんの本に元気もらう
月給一万円からの脱出
仕事と介護の両立考える
山田洋次監督、次回作楽しみ
人間の幸せを気づかせるもの
ダウン症の兄と落語家の弟
障害のある受刑者、『獄窓記』で知る
ロケ地が美しい、映画『蝉せみしぐれ』
蓮池さん翻訳、日韓懸け橋に
ワーキングプアを救え
痴漢冤えん罪事件はなぜ起きる?
純粋で力強い渡辺さんの写真
最も見苦しい政治家のうそ
家族の世話と自由な人生
前書きなど
私の長男も、成人すれば授産施設か作業所へ通うことになるだろう。自信がつけば、家を出てグループホームで暮らすようになるかもしれない。
長男が二は十ちた歳のとき、私は六十、妻は五十八である。それまでに新法が施行され、せめて生活保護を受けずに暮らせればと思う。
私は、生活保護の受給を恥ずかしいとは思わない。恥ずべきは、国と行政がそこまで弱者を放っておくことである。Aさんの年収は八十四万円なのだ。生活保護が「最初で最後のセーフティネット」になってはいけない。
こんなことを細こま々ごまと書いたのは、福祉制度の細部が次々と変わるからだ。書いておかなければ忘れてしまう。しかし、細部にとらわれて全体を見失ってはいけない。
上記内容は本書刊行時のものです。