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科学の参謀本部 市川  浩(著) - 北海道大学出版会
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科学の参謀本部 ロシア/ソ連邦科学アカデミーに関する国際共同研究 (ロシアソレンポウカガクアカデミーニカンスルコクサイキョウドウケンキュウ)

自然科学
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A5判
538ページ
上製
定価 12,500円+税
ISBN
978-4-8329-8224-6   COPY
ISBN 13
9784832982246   COPY
ISBN 10h
4-8329-8224-9   COPY
ISBN 10
4832982249   COPY
出版者記号
8329   COPY
Cコード
C3040  
3:専門 0:単行本 40:自然科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年2月1日
書店発売日
登録日
2016年1月22日
最終更新日
2016年3月2日
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紹介

国家と科学の関係性は,ロシア・ソヴィエト史に特殊なものとして冷視されるべきではない。日本では未だ本格的に紹介されていない主にロシアの研究者の論文を数多く所収しており,ソ連邦解体後の科学史研究の展開を知るためにも重要な研究書である。研究の最前線で活躍するロシア・アメリカ・カナダの研究者11人と日本の研究者6人による,科学史やロシア・ソ連史研究者必読の研究書である。

目次

凡  例   
はじめに   市川 浩   

第Ⅰ部 帝国と科学アカデミー   

第1章 科学アカデミーとは何か─「アカデミーと学協会の時代」の起源とその終焉について   隠岐さや香   
1.文化的起源としての「ルネサンス型」アカデミー   
2.制度化される自然科学のアカデミー   
3.黎明期のロイヤル・ソサエティとパリ王立科学アカデミー   
4.18世紀のパリ王立科学アカデミーに見る「アカデミー型」組織の確立   
5.プロイセン,ロシア,スウェーデンの科学アカデミーと「後進的先進性」   
5.1 プロイセン科学アカデミー /5.2 ロシア科学アカデミー /5.3 スウェーデン科学アカデミー 
6.啓蒙思想とパリ王立科学アカデミーの「焦り」   
7.アカデミーの衰退と19世紀における科学の近代的な諸制度の展開─例外としてのロシア   

第2章 18世紀におけるペテルブルク科学アカデミーの歴史から   ガリーナ・イヴァノヴナ・スマーギナ(市川 浩訳)   
1.“完全なる国家機関”としてのサンクト=ペテルブルク帝室科学アカデミー   
2.「科学アカデミー設置に関する布告草案」─科学アカデミーの運営   

第3章 19-20世紀初頭における帝室科学アカデミーの賞与金制度    エカチェリーナ・ユリエヴナ・バサルギーナ(市川 浩訳)   
1.科学アカデミーの伝統的な機能としての顕彰   
2.寄金による学術賞の創設   
3.顕彰事業の実際   
4.十月革命による顕彰事業の中断と再開   

第Ⅱ部 ヴラジーミル・ヴェルナツキー   

第1章 ロシアの第4世代の化学者,科学アカデミー会員としてのヴェルナツキー─地球化学から叡智圏へ,ロシアでの評価   梶 雅範   
1.ロシアの第4世代の化学者   
2.ヴェルナツキーの生涯   
3.ヴェルナツキーの科学的・思想的業績   
3.1 ヴェルナツキーの地球化学 /3.2 生物地球化学─生物圏から叡知圏へ /3.3 『惑星現象としての科学的思考』の成立と出版の経緯 /3.4 『惑星現象としての科学的思考』の内容 
4.ヴェルナツキーのロシアでの評価─「人気」の理由   

第2章 ロシア科学アカデミーにおける科学研究組織化に果たしたヴラジーミル・ヴェルナツキーの役割    ゲンナジー・ペトローヴィチ・アクショーノフ(市川 浩訳)   
1.科学のオーガナイザーとしてのヴェルナツキー   
2.研究機関と国家のスポンサーシップへの期待   
3.ボリシェヴィキ政権下の科学アカデミー“改革”とヴェルナツキー   

[補論] 学問分野別か,課題別か?─科学アカデミー会員ヴラジーミル・イヴァーノヴィチ・ヴェルナツキー    ゲンナジー・ペトローヴィチ・アクショーノフ(梶 雅範訳)   
1.研究所をどのように作るべきか?─ヴェルナツキーの理念   
2.政権への期待と衝突   

第Ⅲ部 スターリンと科学アカデミー   

第1章 ソヴィエト政体を共同制作した科学   アレクセイ・コジェフニコフ(金山浩司訳)   
1.ソ連の科学者たちの「文化権威」   
2.ソ連における科学の重要性   
3.初期のソ連における旧専門家と政権   
4.熱狂的なアマチュアたちの宇宙開発   
5.技術教育を受けた指導者たち   
6.ペレストロイカを先取りした科学者   

第2章 ソ連を代表する物理学者の交代劇─アブラム・ヨッフェからセルゲイ・ヴァヴィーロフへ    金山浩司   
1.ボリシェヴィキ政権とヨッフェ   
2.「上からの革命」の衝撃   
3.セルゲイ・ヴァヴィーロフの出現   
4.国民経済発展への奉仕   
5.弁証法的唯物論への忠誠   
6.危機の時代をくぐりぬけた物理学   

第3章 セルゲイ・ヴァヴィーロフと1930年代ソ連科学アカデミーの組織的転換    コンスタンチン・アレクサンドロヴィッチ・トミーリン(金山浩司訳)   
1.1930年代における科学アカデミーと権力   
2.セルゲイ・ヴァヴィーロフと科学アカデミー物理学研究所の組織   
3.セルゲイ・ヴァヴィーロフと科学史の制度化   

第4章 大テロルはソ連邦科学アカデミーをどう変えたか─常任書記の解任を手がかりに   金山浩司   
1.ニコライ・ゴルブノーフの経歴   
2.アカデミーの内部抗争   
3.解任,そして……   
4.進む再編   

第5章 アレクサンドル・トプチエフ─科学アカデミーにたいする党の統制強化の諸形態(1949-1954年)    ユーリー・イヴァノヴィチ・クリヴォノーソフ(市川 浩訳)   
1.トプチエフの登場─科学者にして官僚   
2.党による科学アカデミー統制の強化とその帰趨   

第Ⅳ部 ルィセンコ事件再考   

第1章 文化革命(1929-1932年)とプレゼント=ルィセンコ間“同盟”の起源    エドゥアルド・イズライレヴィッチ・コルチンスキー   (市川 浩訳)   
1.現代の科学史文献,一般向け文献におけるルィセンコ主義   
2.生物学の“弁証法化”の第一歩   
3.「文化革命」と生物学   
4.ルィセンコとプレゼントの連携の始まり   

第2章 遺伝学研究所はいかにしてルィセンコに乗っ取られたか?   藤岡 毅   
1.ソ連邦科学アカデミー・遺伝学研究所の発足   
1.1 遺伝学研究所の前史 /1.2 遺伝学研究所発足の経緯とモスクワ移転 
2.遺伝学者にたいする不信の始まりと遺伝学研究所の壮大な研究計画   
2.1 ルィセンコの台頭と農業科学アカデミーの再編 /2.2 遺伝学者の巻き返し /2.3 分子生物学,放射線生物学に繋がる遺伝学研究所の体系的な研究計画 
3.「大粛清」時代におけるルィセンコの台頭   
3.1 ヴァヴィーロフのルィセンコへの妥協とルィセンコの影響力の拡大 /3.2 ルィセンコの農業科学アカデミー総裁就任と遺伝学研究所への干渉の始まり 
4.国家指導部の遺伝学研究所への介入と遺伝学者の抵抗   
4.1 遺伝学研究所にたいする人民委員会議の干渉とその影響の評価 /4.2 ケレルの評価報告にたいする遺伝学研究所の所員たちの反応 /4.3 科学アカデミーの再編と遺伝学研究所へのルィセンコの参入 /4.4 科学へのイデオロギー支配の強まりとヴァヴィーロフ逮捕 
5.小  括   

第3章 トロフィム・ルィセンコのふたつの“アカデミー”─科学アカデミーか,農業科学アカデミーか?   齋藤宏文   
1.1930年代終盤におけるソ連遺伝学界のふたつの学派,ふたつのアカデミー   
1.1 ルィセンコとふたつのアカデミー /1.2 ルィセンコ派の拡大を決定づけた出来事─従来の見方 
2.ルィセンコ派による遺伝学研究所への介入の実態   
2.1 遺伝学研究所でのルィセンコの研究室の運営開始をめぐって /2.2 ルィセンコ派の勢力拡大にたいする日常的な抵抗 /2.3 遺伝学研究所にたいする科学アカデミーの態度の“二面性” 
3.戦時期のルィセンコと農業科学   
3.1 遺伝学者側とルィセンコ派の各々に戦時期が持った意味合い /3.2 戦時期におけるルィセンコ派による農法提案 /3.3 農業生物学派内でのルィセンコの提案をめぐる評価 /3.4 政治権力にすがるルィセンコ─権力中枢に宛てた書簡から /3.5 農業科学アカデミー総裁解任を求める嘆願書 

第4章 1948年全連邦農業科学アカデミー8月総会におけるルィセンコ派の勝利─歴史解釈の問題    キリル・オレゴヴィチ・ロシヤーノフ(齋藤宏文訳)   
1.ルィセンコ生物学をめぐる歴史学研究と科学知識への道具主義的アプローチ   
2.科学,および後期スターリン主義の科学政策における“理論”と“実践”   

第5章 ルィセンコ覇権に抗して─ソ連邦科学アカデミー・シベリア支部細胞学=遺伝学研究所の設立をめぐって   市川 浩   
1.「放射線の生体におよぼす影響」研究   
2.“ニコライ・ドゥビーニンの研究所”   
3.ルィセンコ派の妨害と“ドゥビーニンの研究所”   
3.1 ルィセンコ派の妨害 /3.2 党中央委員会“生物学委員会” 

第Ⅴ部 戦争・冷戦と科学アカデミー   

第1章 科学アカデミーの戦時疎開─格差と確執   市川 浩   
1.大学の受難─モスクワ国立大学,とくにその物理学部を中心に   
2.モスクワからカザンに疎開した研究機関   
3.モスクワからスヴェルドロフスクへ疎開した研究機関   
4.レニングラードからカザンその他に疎開した研究機関   
5.モスクワから中央アジアに疎開した研究機関   

第2章 熱核兵器開発におけるソ連邦科学アカデミーの役割    ヴラジーミル・パーヴロヴィチ・ヴィズギン(市川 浩訳)   
1.科学アカデミーにおける出発点(1945-1948年)   
2.物理学研究所の動き(1948-1949年)   
3.水爆に関する政府決定と「科学アカデミーの計算機」   
4.「スロイカ」実験への道─“科学アカデミーの切り取り”   
5.2段式熱核兵器RDS-37─科学アカデミーの側で   

第3章 ソ連版“平和のための原子”の科学アカデミーにおける出発    ヴラジーミル・パーヴロヴィチ・ヴィズギン(市川 浩訳)   
1.“平和のための原子”と科学者,科学アカデミー   
2.カピッツァ,クルチャートフ,ヴァヴィーロフ   
3.“平和のための原子”,国家計画となる   

第Ⅵ部 戦後ソ連社会主義と科学アカデミー   

第1章 ソヴィエト科学の“脱スターリン化”と科学アカデミー─1953-1956年のソ連邦科学アカデミー幹部会議事録・速記録から   市川 浩   
1.哲学者の“封じ込め”   
1.1 “学問分野別討論”と哲学者たち /1.2 科学アカデミーの“哲学離れ”とユーリー・ジダーノフ失脚 /1.3 哲学研究所批判 
2.生物学・遺伝学“正常化”に向けて   
2.1 セヴェルツォフ再評価と『ニコライ・ヴァヴィーロフ選集』 /2.2 「300人の手紙」と物理学者の異議申し立て 
3.科学アカデミーの機構改革について   
4.“脱スターリン化”,光と影   

第2章 ソ連邦科学アカデミー・工学部(1935-1963年)   ボリス・イリイチ・イヴァノーフ(市川 浩訳)   
1.ソ連邦科学アカデミー・工学部の成立と展開   
2.ソ連邦科学アカデミー・工学部の黄昏   
3.ソ連邦科学アカデミー・工学部の廃止ののち   

第3章 パラレル・ワールド─戦後ソヴィエト数学の公式の構造と非公式のメカニズム   スラヴァ・ゲローヴィッチ(市川 浩訳)   
1.旅行の制約─国際交流を制限する   
2.概念的制約─厳格なカリキュラムを押しつける   
3.政治的制約─“望ましからざる人物”を排除する   
4.行政的制約─諸機関をコントロールする   
5.物理的制約─フェンスを設ける   
6.パラレル・ソーシャル・インフラストラクチュア   
7.数学学校   
8.“ユダヤ人民の大学”   
9.研究と発表の代替的な場   
10.オープン・セミナー   
11.パラレル・ソーシャル・インフラストラクチュアの果実   

あとがき   
事項索引   
人名索引   
執筆者紹介

著者プロフィール

市川  浩  (イチカワ ヒロシ)  (

広島大学大学院総合科学研究科教授  博士(商学)

Gennadii P. Aksyonov  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov名 称自然科学史=技術史研究所主任研究員

Ekaterina Yu. Basargina  (著/文

ロシア科学アカデミー文書館サンクト= ペテルブルク支部出版展示課長

藤岡  毅  (著/文

同志社大学嘱託講師 博士(比較文化学)

Slava Gerovitch  (著/文

マサチューセッツ工科大学講師

Boris I. Ivanov  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov自 然科学史=技術史研究所サンクト=ペテル ブルク支部主任研究員

梶  雅範  (著/文

東京工業大学大学院社会理工学研究科教 授 学術博士

金山 浩司  (著/文

北海道大学スラブ・ユーラシア研究セン ター非常勤研究員 博士(学術)

Alexei Kojevnikov  (著/文

ブリティシュ=コロンビア大学准教授

Eduard I. Kolchinskii  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov自 然科学史=技術史研究所サンクト=ペテル ブルク支部・前支部長,サンクト=ペテ ルブルク国立大学教授

Yurii I. Krivonosov  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov名 称自然科学史=技術史研究所科学政策史 問題グループ指導者

隠岐さや香  (著/文

広島大学大学院総合科学研究科准教授  博士(学術)

Kirill O. Rossianov  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov名 称自然科学史=技術史研究所上級研究員

齋藤 宏文  (著/文

東京工業大学国際教育研究協働機構教員  博士(学術)

Galina I. Smagina  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov名 称自然科学史=技術史研究所サンクト=ペ テルブルク支部主任研究員

Konstantin A. Tomilin  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov名 称自然科学史=技術史研究所上級研究員

Vladimir P. Vizgin  (著/文

ロシア科学アカデミー・S. I. Vavilov名 称自然科学史=技術史研究所主任研究員, 教授

上記内容は本書刊行時のものです。