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新渡戸稲造に学ぶ近代史の教訓
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年6月10日
- 書店発売日
- 2022年6月10日
- 登録日
- 2022年4月28日
- 最終更新日
- 2022年6月9日
紹介
「敬虔なクリスチャン、人格主義の教育者、平和主義の国際人」
……こうしたイメージは新渡戸の一面に過ぎない!
従来の評伝では書かれていない
「植民学の専門家として台湾統治や満洲問題に深く関わった新渡戸」に焦点を当てたユニークな新渡戸稲造論
新渡戸稲造の生涯と近代史の流れをたどりながら、戦後日本の問題点とこれからの歩む道を考える
◎新渡戸は日本の近代化と国際化の過程でどのような役割を果たしたのか
◎『武士道』は新渡戸の愛国心が書かせた
◎台湾の産業振興に貢献した
◎排日移民法に「二度とアメリカの土を踏まない」と厳しく非難
◎満洲問題の国際化に悩む新渡戸
◎日本の軍部にも米国の世論にも批判的に臨んだ
目次
第1章 新渡戸稲造の知られざる顔
1 「クリスチャン、教育者、国際人」は新渡戸の一面に過ぎない
新渡戸の専門分野は?/植民政策研究の第一人者/占領政策に洗脳された日本人
2 新渡戸に関する誤解
新渡戸の愛国心/『武士道』は新渡戸の愛国心が書かせた/新渡戸は「敬虔なクリスチャン」?/新渡戸は「平和主義者」?
3 新渡戸を通して日本の近代史が見えてくる
植民政策との関わりについて/農学への志/アメリカとドイツで最先端の学問を学ぶ/日本で最初の農学博士/日米関係との関わりについて
4 全体像から見えてきた新渡戸の素顔
高い志/弱者への眼差し/愛国心と国際心/優れたバランス感覚
第2章 新渡戸稲造と植民政策
1 台湾の産業開発への貢献
日本の台湾統治の始まり/後藤新平とはどういう人物か/後藤と新渡戸の初対面/「糖業改良意見書」の提出/臨時台湾糖務局長に就任/新渡戸から見た児玉と後藤/行政官から大学教授に転出
2 日露戦争と朝鮮・満洲
日露戦争とは何か/日露戦争は突然始まったのではない/なぜ韓国を併合したのか/満洲経営という新しい課題/満洲の農業振興と新渡戸の中国観/新渡戸の朝鮮観
3 日本の植民学の学統
東京帝大植民政策講座の初代教授に就任/植民学の学統/北大人脈の海外雄飛/東京帝大の植民政策研究
4 海外雄飛の勧め
東洋協会植民専門学校の学監/「島国根性を捨てて、世界的精神を養え」/「歴史談、修養談、植民談」/「個人として強かれ」
5 新渡戸の植民思想
東京帝大での植民政策講義とは/植民とは何か/新渡戸は植民地主義者か?/「原住民の利益を重んずべし」/「植民は文明の伝播である」
6 日本の植民政策の特徴
植民の動機は安全保障/対朝鮮政策とロシアの脅威/台湾統治の五つの基本原則/台湾発展の具体例/「内地延長主義」/朝鮮統治について伊藤博文に進言/朝鮮統治の課題と対応/日本の朝鮮統治に対する評価
7 誰のために統治するのか
「漸進的同化主義」/創氏改名について/誰のための統治か/台湾と朝鮮の対日感情の違い/朝鮮の反日的歴史観
第3章 新渡戸稲造と日米関係
1 カリフォルニアの日系移民排斥
日米間の利害対立/カリフォルニアの日系移民排斥/渋沢栄一の民間外交/新渡戸が日米交換教授として訪米/アメリカの日本研究に貢献した『日本国民』/新渡戸のアメリカ講演の成果と国内の反応
2 悪化する日米関係の改善への努力
新たな対立と相互理解への取組/東京帝大にヘボン講座/新渡戸とデモクラシー/カリフォルニアで排日運動が再燃/日米間の対話集会/ワシントン会議と国際協調主義
3 排日移民法の衝撃
排日移民法の成立/排日移民法が成立した本当の理由/排日移民法の影響/「二度とアメリカの土を踏まない」/太平洋問題調査会の発足
第4章 新渡戸稲造を悩ませた満洲問題
1 満洲経営の体制
「東西文化の出会点」/「文装的武備」/後藤新平の指導力
2 国際問題化する満洲
昭和の日本/日中対立の背景/幣原外交の破綻/新渡戸の危機感/京都での第三回太平洋会議/排日移民法提唱者の転向/移民法見直しの動き
3 満洲事変から満洲国建国へ
満洲事変の勃発/事変前の満洲で何が起こっていたか/新渡戸の問題意識/満洲事変直後の第四回太平洋会議/幻の満洲訪問/満洲国の建国
4 新渡戸の軍部批判
軍部の独走とジャーナリズムの扇動/松山事件/窮地に追い込まれた新渡戸
5 アメリカ世論との対決
アメリカへの講演旅行/全米向けの演説と厳しい反応/アメリカのさまざまな顔/日米間の認識ギャップ/なぜ日本は軍事力に訴えるのか?/独走する軍部/国際連盟からの脱退/「見る人の心ごころにまかせおきて……」
6 不寛容な国際社会への警鐘
「連盟は過ちを犯した、日本も……」/天皇に帰国報告/第五回太平洋会議/世界情勢の二つの危険な兆候/国際社会への警鐘/志半ばでの客死
第5章 日本の敗戦と占領政策
1 大東亜戦争への道
泥沼の支那事変から日米開戦へ/日本側の失敗の原因/なぜ日米開戦を阻止できなかったのか/満洲国の終焉/植民学のその後
2 GHQによる日本弱体化政策
ポツダム宣言と天皇制の存続/歴史・伝統の否定/左翼政党の大躍進/占領下での教育の舵取り/占領政策の転換/国家意識の欠如/国家の「独立と自尊」/日本とドイツの違い/日本の自立
第6章 日本の「自立」に向けて
1 日本を誤らせた左右の全体主義
過去の歴史から学ぶ/分断された戦前日本のエリート/日本人の西洋理解
2 日本の民主主義の原点は「五箇条の御誓文」
戦後日本の歩み/「五箇条の御誓文」に示された近代日本のビジョン/基本理念は自由主義と国際協調主義/「新日本建設に関する詔書」に込められた昭和天皇の思い/「日本は戦前から民主主義であった」/「国民統合の象徴」の意味/戦後民主主義の課題/日本型民主主義への期待
3 道義国家としての品性
なぜ伝統や文化を尊重するのか/世界で活躍する日本人/外国人を魅了する日本文化/現代に生きる武士道精神/ローカルな文化がグローバルな価値を生み出す/「文明の伝播」が世界を豊かにする/「インターナショナル・ナショナリスト」を超えて
4「学問の目的は、高等なる判断力を養うこと」
俯瞰する力/欧化主義の功罪/「中庸」を貫いた新渡戸/教育の目的は「品性を高めること」/「新しい野蛮人」/歴史観、世界観、人生観を身につける/古典に学ぶ
5「和を以て貴しと為す」
日本人の平和思想を表明した「十七条憲法」/「武士道の理想は平和」/「治にいて乱を忘れず」/「一身独立して一国独立」/「ノブレス・オブリージュ」/「手近な義務を果たす」
上記内容は本書刊行時のものです。