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特高に奪われた青春
エスペランティスト斎藤秀一の悲劇
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年8月
- 書店発売日
- 2017年8月4日
- 登録日
- 2017年6月23日
- 最終更新日
- 2017年8月2日
紹介
新しい「国際語」を創るエスペラント運動を通して反戦平和を訴えた青年教師はなぜ死ななければならなかったのか。
“漢字を制限しローマ字化することで言葉の民主化を推進する”エスペラント運動が日本語抹消論、国際共産主義運動につながるとして山形県特高は徹底的に弾圧した。
特高により捏造された斎藤秀一事件の全容と背景を秀一の日記、警察側の資料、関係者の証言などの分析で明らかにする。
斎藤秀一(1908-1940)
山形県鶴岡生まれ。駒澤大学在学中に日本エスペラント学会会員に。曹洞宗の僧侶。卒業後、郷里の小学校教師に。1932年に検挙され、教師を免職。プロレタリア作家同盟加入。エスペラント運動を通して反戦平和を訴えた。1938年治安維持法違反で検挙。裁判で有罪となり、秋田刑務所に。1940年肺結核の療養中、死去。享年32。
目次
プロローグ
私と鶴岡/本書執筆の端緒となった一本の電話/斎藤秀一取材のため櫛引町を訪れる
第1章 斎藤秀一とエスペラントの出会い
斎藤秀一の短い生涯/山形の禅寺の長男として誕生/駒沢大学でエスペラントと出会う/山下芳太郎と「カナモジカイ」
第2章 新しい「国際語」エスペラント語
エスペラント語の生みの親ザメンホフ/新しい「国際語」をつくる/日本におけるエスペラント運動/プロレタリア・エスペラント運動
第3章 治安維持法と特高
治安維持法の施行/特別高等警察の創設/拷問の黙認/GHQの「人権指令」により特高は廃止/罷免の不徹底に業を煮やしたGHQの「公職追放指令」
第4章 プロレタリア文化運動と斎藤秀一
鶴岡のプロレタリア文化運動/池田勇作、郁夫妻の逮捕と拷問の実態/日本プロレタリア・エスペラント同盟(ポエウ)/エスペラント文学と秀一/秀一の卒業論文
第5章 特高が捏造した斎藤秀一事件
斎藤秀一事件の背景/警察側から見た斎藤秀一事件/事件を捏造した特高係・砂田周蔵
第6章 郷里山形の小学校教師に
大学卒業後の進路に迷う秀一/妹静子の死/学生生活に別れを告げる/大泉小学校大平分教場に赴任
第7章 秀一逮捕
大正末期~昭和初期の情勢/『庄内の旗』の発刊/疲弊する農村と教員弾圧事件/大平分教場を一年で去ることに/さらに奥地の八久和分教場に異動/治安維持法違反で逮捕/秀一逮捕を批判する新聞論調/釈放されるも二度目の逮捕/暗号化された秀一の日記/教師解雇、プロレタリア文化運動に積極的に関わる/庄内方言の研究に打ち込む
第8章 薬包紙に綴った抵抗の詩
友人の石川俊康/悲劇に終わった結婚/一九三六年から三八年にかけての厖大な研究著作/東北帝大図書館に勤める/治安維持法違反で突然の逮捕/獄中で薬包紙に綴った抵抗の詩
上記内容は本書刊行時のものです。