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孤立し漂流する社会を生きる私
- 初版年月日
- 2016年6月
- 書店発売日
- 2016年5月27日
- 登録日
- 2016年4月14日
- 最終更新日
- 2016年5月27日
紹介
憲法を変えようという動きが強まっていますが、本当にいいのでしょうか? まず、くらしの足元にたちかえって、のびのびとおだやかに、平和に自由に生きていく上で、憲法が果たしている役割を考えます。そして、お年寄り、若者、女性、子どもに寄り添いながら、何ができるかを考えます。
目次
はじめに 大野和興
第1部 足元の現実
1 食べられない
2 終いの住み処はどこに
3 夢をみてはいけない子どもたち
4 姥捨てと介護心中のはざまで
5 働けど働けど
6 生きづらさを生きる女たち
7 それでもここで生きたい
8 いつでもどこでもお医者さんに
9 生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!
10 この国は恐ろしい国
第2部 人らしく生きるために
1 運動の現場から
「新・人間裁判」で生存権を問う 三浦誠一
食の安全は人権 水原博子
遺伝子組み換え食品は憲法違反だ 天笠啓祐
台所からいのちと平和を考える──コープ自然派生協の場合 纐纈美千世
対抗軸としての「社会的経済」 若森資朗
反貧困の砦をつくる 荒川茂子
主権者の目覚め──「お母さん革命」から「選挙に行こうよ」へ 杉浦陽子
沖縄は憲法を共有する 安次富浩
TPPは基本的人権を具体的に侵害する 山田正彦
そこのけそこのけリニアが通る 浅賀きみ江
安保法制違憲訴訟 西沢江美子
災害復興の主役は被災者であり、基本は憲法にあります 津久井進
2 あたりまえの労働運動へ
──働くものの権利と人権を守る 武 建一
[補論]未組織労働者の海へ 仲村 実
3 インタビュー 戦争と平和
──憲法にいま何が起ころうとしているのか 清水雅彦
4 対談 一人ひとりが考え、行動すれば、社会は変わる
──消費者・生活者として大切にしたい憲法 太田啓子・纐纈美千世
おわりに 富山洋子
日本国憲法(関連条文)
前書きなど
はじめに 大野和興
改憲がこれほど切実に眼前にあらわれるとは数年前まで思ってもいませんでした。文字通り「あれよ、あれよ」という感じで事態は進んでいます。秘密保護法制定、集団的自衛権行使閣議決定、そのことを法的に裏づけるための戦争法(安保法制)の制定。これで完全に外堀は埋まり、あとは憲法改定を国会に出すだけ、というところまできているのです。憲法の危機は、それだけではありません。すでに私たちのくらしの足元では憲法がなくなってしまっているという事実を見逃すことはできません。
この20年、経済や企業活動のグローバル化が進む中で、格差の拡大、貧困層の増大が目に見えて進みました。並行して、安心して食べる権利、労働者の働く権利、中小零細業者の生業の権利、教育を受ける権利、健康で文化的な生活を営む権利、搾取と貧困・抑圧を受けない権利、地域でくらす権利、すべてがこわれています。思想・信条の自由や知る権利が抑圧され、社会は息苦しさが増しています。憲法が足元で空洞化しているのです。
日本消費者連盟はその50年近い歴史を、「すこやかないのちを未来につなぐ」を合言葉に、「消費者・生活者の権利」を掲げて活動してきました。活動の根拠はすべて憲法にありました。憲法の平和主義のもとで、「健康で文化的な生活」を営み、個人が尊重され、おだやかに、のびのびと自由に、尊厳をもって働き、生きることができる社会をめざして活動を積み上げてきたのです。
その憲法が危うくなってきていると感じた2014年秋、日本消費者連盟が軸となって呼びかけ、「消費者・生活者9条の会」を多くの人たちと立ち上げました。憲法をくらしの足元から改めて見つめなおし、自分のものにしていく活動を積み上げなければならないと考えたからです。
本書は、そうした思いを込めて編みました。多くの方々に手に取っていただき、草の根から憲法を取り戻し、活かす運動の道連れとなっていただけましたら、うれしい限りです。本書作成に当たっては、多くの方々、団体のお世話になりました。ありがとうございました。あわせて、困難な出版状況にもかかわらず、本書の刊行をお引き受けいただきました七つ森書館のスタッフの皆様にお礼を申し上げます。
編者(日本消費者連盟/消費者・生活者9条の会)を代表して 2016年5月3日 憲法集会の日に
上記内容は本書刊行時のものです。