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鞍馬天狗のおじさんは 竹中 労(著) - 七つ森書館
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鞍馬天狗のおじさんは (クラマテングノオジサンハ) 聞書・嵐寛寿郎一代 (キキガキアラシカンジュウロウイチダイ)

芸術
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発行:七つ森書館
四六判
420ページ
並製
定価 3,200円+税
ISBN
978-4-8228-1652-0   COPY
ISBN 13
9784822816520   COPY
ISBN 10h
4-8228-1652-4   COPY
ISBN 10
4822816524   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0074  
0:一般 0:単行本 74:演劇・映画
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2016年3月
書店発売日
登録日
2016年2月9日
最終更新日
2016年5月25日
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書評掲載情報

2016-04-03 朝日新聞
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紹介

「ゲイジュツ、関係おまへんおや」とアラカンが繰り返し言うこの聞書は、竹中労の怨筆と相まって、私を夢中にさせた。──ともに無頼の竹中とアラカンが“合体”したとも言える絶品の快作を心ゆくまで堪能してほしい。(佐高信「解説」より)

目次

世界一面白い本や マキノ雅弘

序 章 嵐寛寿郎の他に神はなかった
 聞書・1 生い立ちの記

第1部 ああ、サイレント時代
 聞書・2 天狗、売り出す
 聞書・3 山中貞雄のこと
 聞書・4 さらば無声映画
 レポート・Ⅰ マキノ・東亜・寛プロ
        (活動写真よろしかった)

第2部 雲の上から地の涯てへ
 聞書・5 かくて、神風は吹かず
 聞書・6 戦争あきまへん
 聞書・7 女難・剣難の巻
 レポート・Ⅱ 日活~三社統合・敗戦
        (ほてからに、ほてからに)

第3部 化天の中をくらべれば
 聞書・8 あらかん天皇紀
 聞書・9 老兵・路頭に迷うの巻
 聞書・10 君知るや南大東島
 総括・A かえりみれば半世紀
 聞書・11 老いらくの章
 総括・B==嵐寛寿郎名作劇場

あとがき・ファンの皆さんに 竹中 労
解説 佐高 信

前書きなど

あとがき──ファンの皆さんに(竹中 労)

 ようやくこんな形で、“アラカン一代”を活字にすることができました。寛寿郎さんとお約束したのは、一九七三年六月ですから、まる三年以上かかったことになります。書店等を通じて、出版社への問いあわせは数百に及び、私自身にも直接手紙や電話で、「いつ本になるのか?」と度々のご叱声が寄せられました。
 けっして怠けていたわけではなく、完璧な書物にしたい、とりわけて[マキノ・東亜・寛プロ]=鞍馬天狗・むっつり右門の原点というべき時代を、できるだけ正確に記録するために、思わぬ歳月を要してしまいました。資料の収集・整理だけで、『美空ひばり』に何層倍する労力を、ついやさねばなりませんでした。オールド・ファンの方々には、それでもご満足をいただけない、不備脱落があると思います。昭和初年生まれの私にとって“無声映画の黄金時代”は、いうならば空想旅行の世界に属します。一世代前の人々には現実であり、追憶である映像が、私には夢でありまぼろしです。僅かに残された断片的なフィルム、出版物などで、辛うじて継ぎあわされる壊れた玻璃の器なのです。つまりは、これが精一杯の営為であるのだと、ご寛恕をいただきたい……
 あの永田雅一はん、“松竹・東宝戦争”の記述など、俳優の伝記には無用のことと考えられる方々もあるのではないか? 著者の独断・もしくは偏見で、寛寿郎さんご自身が迷惑するのでは、と。そうかもしれません、しかし私も、まぎれもないアラカン・ファンであり、ファンにはそれぞれの恣意的な思い入れがあるのです。そもそも、「嵐寛寿郎の他に神はなし」と、あられもなく口走ること自体、アラカンに何の興味もない人々には、まさに独断であり偏見であり、狂気のサタであります。ファンとはスターにとって大抵、有難迷惑な存在なのです、竹中労もまたその例外ではないのだ、とご理解下さい。断わるまでもなく、この書物の責任はすべて著者が負わねばなりません。寛寿郎さんは、「おまかせをいたします」といわれて、ゲラにも眼も通されませんでした。何卒、こんな本は気に入らない、ウソが書いてあるとお思いになる方は、寛寿郎さんご当人にではなく、著者にお申し越しを。

 ……この書物に収録した写真は、故・南部僑一郎所蔵のスチール等に、「映画と演芸」「映画スター全集」「キネマ旬報」の口絵、グラビア復写を加えました(ささやかな私のコレクションも何点か)。写真がボケているじゃないか、印刷が汚いと思われるむきも、おそらくあるでしょう、これは復写・拡大のためです、美しさよりも記録のほうに重点を置いて選んだのです。作品名・共演者など、推定でキャプションを付したものも、すくなからずあります。誤まりがございましたら、ぜひご指摘をおねがいします、再版の機会に訂正いたします。
 新潟の渡辺才二さんから、新聞雑誌のスクラップ、上映館のプログラムその他、貴重な資料と助言をいただきました。後援会を取材しなかったのは、『美空ひばり』のときでも同じで、全国のアラカン・ファンに、いわば白紙の心境で、この書物をうけとってほしいと考えたからです。スターの伝記、“著者”と称するものの中には往々、所属をしている会社・プロダクション、あるいは後援会とのタイアップで、出版される場合があります。まちがっているとはいいませんが、“自由なもの書き”としては、どのような影響にも、予断にもとらえられたくない。寛寿郎さんの後援会が、「親衛隊」というジャリ・サクラ集団を煽動して、宣伝・営利に結びつけようという類のものとは、まったく性格が異なることを承知で、やはり遠慮をさせていただきました。“自由なファン”として、きびしいご批判をお寄せ下さい。
 マキノ稚弘、仁科熊彦、並木鏡太郎、稲垣浩、青山正雄(嵐寿之助)の諸氏、そして森光子さん、アラカンゆかりの方々のご協力を心から感謝します。とくに、マキノ監督には序文=談話を寄せていただきました、有難うございました。“近刊予告”を何度もして、ファンの皆さんに叱られながら(?)、長いあいだ辛棒してくれた、白川書院の方々にもお詫び、お礼申し上げます。「キネマ旬報」白井佳夫編集長、「日本映画縦断」担当吉田成己君にも、あらためて──

  昭和五十一年九月二十五日

*寛寿郎さんのたってのご希望に、この本の定価は、どうしても添えないことになりそうです。それは、「嵐寛寿郎名作劇場」をくわえた私に、責任のあることなのです。予定の枚数を百五十枚もオーバーしたので、映画料金と同額ではとうてい採算がとれないと、編集部からいま申入れがあったところです。
 寛寿郎さんにも、ファンの皆さんにも申し訳ございませんが、“指定席”よりは安いということで、お恕しをいただきたいと存じます。

著者プロフィール

竹中 労  (タケナカ ツトム)  (

ジャーナリスト、ルポライター
1930年5月30日、東京・神楽坂で生まれる。
父は昭和初期その幻怪妖美の挿絵で大衆画壇の頂点に立った竹中英太郎。
週刊誌「女性自身」の記者となり、芸能人の「直撃インタビュー」「独占手記」などの芸能ジャーナリズムの手法を開拓。評論、ルポルタージュ、小説、映画製作、など幅広い分野で活躍をする一方、沖縄の歌に魅せられ、その普及に努めた。
1991年5月19日死去。遺骨は沖縄の海に散骨され、その一部は甲府市のつつじが崎霊園に埋葬されている。
主な著作に、『山谷・都市反乱の原点』『美空ひばり』『琉球共和国──汝、花を武器とせよ』『日本映画縦断Ⅰ~Ⅲ』『たまの本』など。

嵐 寛寿郎  (アラシ カンジュウロウ)  (

1902年~1980年。映画俳優、映画プロデューサー。
戦前期~昭和期に活躍した時代劇のスーパースターで、300本以上の映画に出演し、「アラカン」の愛称で親しまれた。本名・本名高橋照一(たかはし・てるいち)
「時代劇六大スタア」(阪東妻三郎、大河内伝次郎、片岡知恵蔵、市川右太衞門、長谷川一夫)のトップといえる。当たり役は鞍馬天狗(シリーズ40本)と『右門捕物帖』(シリーズ36本)の「むっつり右門」。新東宝の『明治天皇と日露戦争』では、俳優の中で初めて天皇を演じた。

上記内容は本書刊行時のものです。