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飯舘村 小澤 祥司(著) - 七つ森書館
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飯舘村 (イイタテムラ) 6000人が美しい村を追われた (ロクセンニンガウツクシイムラヲオワレタ)

社会科学
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発行:七つ森書館
四六判
240ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-8228-1249-2   COPY
ISBN 13
9784822812492   COPY
ISBN 10h
4-8228-1249-9   COPY
ISBN 10
4822812499   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2012年3月
書店発売日
登録日
2012年2月22日
最終更新日
2013年2月22日
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紹介

福島原発事故によって飯舘村は全村民6,000人が計画的避難を余儀なくされた。後方支援チームのスタッフとして、すべてを見てきた渾身のドキュメント。

目次

プロローグ 未曾有の大震災そして津波
       マグニチュード九・〇
       冷却機能喪失
       原子力緊急事態宣言

第1章 風下の村
     までぇな村づくり
     東北太平洋沖地震 
     四四・七マイクロシーベルト
     理想の土地を捨てて
     逃げられない人々
     ホットスポット飯舘村

第2章 原発通り
     アトムズ・フォー・ピース
     正力松太郎と中曽根康弘
     原発通り

第3章 生かされなかったデータ
     放射性物質
     出てこなかったSPEEDI
     手書きの調査データ
     33番、長泥十字路
     防護服の男たち
     原子力防災指針とEPZ
     同心円状の避難区域
     無責任体制

第4章 振りまかれた安全・安心
     直ちに健康に影響はない
     コスト・ベネフィット論
     リスクの過小評価
     一〇〇ミリか二〇ミリか
     放射線健康リスク管理アドバイザー
     ミスター一〇〇ミリシーベルト

第5章 放射能汚染の広がり
     放射能汚染調査チーム
     毎時三〇マイクロシーベルト
     雨そして雪
     東京にも死の灰は降った
     幸運に過ぎなかった東京
     葛藤
     国の変化
     年間二〇ミリシーベルト

第6章 安全神話と原子力ムラ
     原子力発電
     ブレーキのないクルマ
     技術者たちの変質
     原発は潜在的抑止力
     電源三法交付金
     ゼロエミッション電源
     再生可能エネルギー
     オール電化攻勢
     プルサーマル
     陥れられた知事
     原子力ムラ
     マニフェスト
     民主党政権
     二〇二〇ビジョン
     想定外の地震と津波

第7章 計画的避難
     負げねど飯舘
     ばらばらの避難
     健康手帳
     二〇〇万人健康追跡調査
     誰が放射能を扱うのか
     「当面住めない」発言
     除染は可能なのか
     莫大な予算
     あべこべの除染計画
     帰りたいが帰れない
     除染利権
     三・一一が明らかにしたもの
     半年後
     安らぎの土地

あとがき
参考文献

前書きなど

プロローグ 未曾有の大震災そして津波

■マグニチュード九・〇
 二〇一一年三月一一日金曜日、琵琶湖畔の大津市内で昼過ぎに打ち合わせを終えた私は、東京に戻るため京都駅から新幹線のぞみ号に乗車した。無線LANの使える車両だったため、すぐにパソコンを広げメールとツイッターをチェックし始めた。列車が緊急停止したのは、そろそろ岐阜羽島駅に差しかかろうかという時だ。車内放送は緊張した口調で告げた。「東北地方で地震が発生し、関東地方でも大きな揺れがあったとの連絡が入りました。東京─三島間で線路の点検を行うためこの列車はしばらく停止いたします」。
 その前後から、ツイッターのタイムラインは「揺れた」「大きい」のつぶやきであふれた。  一四時四六分発生、震源は東北沖の太平洋、東日本各地で大きな揺れ……、メディアのサイトを含め続々入る情報は断片的なものだったが、ただならぬ事態であることは伝わってきた。
 「これは阪神淡路を超える大震災になる」と直感すると同時に、もう一ついやな予感が頭をよぎった。青森県下北半島から茨城北部の太平洋岸は、北から東通、女川、福島第一・第二、東海第二と一五基もの原発が海沿いに立ち並んでいるのだ。これら原発への地震の影響はないのか。震源地が海なら大津波が押し寄せるかもしれない、それらが津波に呑みこまれたらどうなるのか。
 居ても立ってもいられぬ思いだったが、停車中の新幹線の中では何もできなかった。携帯電話は通じず、インターネットの情報は断片的で、何がどのように進行しているのかわからない。結局そのまま五時間車内に缶詰になった後、のぞみ号は夜一〇時半ごろようやく新横浜駅までたどり着いた。在来線が止まっていたため帰宅はままならず、待合室で大型テレビに映し出される衝撃的な映像を見ながら、一睡もできず夜を明かしたのだった。……

著者プロフィール

小澤 祥司  (オザワ ショウジ)  (

 静岡県生まれ。環境ジャーナリスト/環境教育コーディネーター、「季刊ソーラーシステム」エディター。執筆・研究テーマは、生物多様性保全、再生可能エネルギー、環境エネルギー政策、持続可能な地域社会、環境保全活動や企業の社会的責任(CSR)など。
 自宅には、3kWの太陽光発電、240リットルの太陽熱温水器とペレットストーブを導入。
 日本太陽エネルギー学会、NPO法人エコロジーアーキスケープ、西多摩自然フォーラム、トウキョウサンショウウオ研究会、ペレットクラブ、各会員。
 3.11以降、福島第一原発事故による汚染に見舞われた福島県飯舘村の後方支援活動に取り組む。
 著書に『メダカが消える日』『コミュニティエネルギーの時代へ』(以上、岩波書店)『マグロが減るとカラスが増える? 』(ダイヤモンド社)『太陽エネルギーの大研究』(PHP研究所)他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。