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原発震災 警鐘の軌跡

自然科学 ラノベ

石橋 克彦(著)
発行:七つ森書館

A5判   336頁  上製
定価 2,800円+税

ISBN 978-4-8228-1246-1   C0036
在庫あり(出版社情報)

奥付の初版発行年月 2012年2月
書店発売日 2012年2月1日
登録日 2012年1月20日

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紹介

「私たちは“原発震災前夜”にいる」と訴えてきたが、原子力推進勢力は警告に耳を貸さなかった。災厄は、起こる前に予測し、対策を講じ、防止することこそが肝要なのに起こってみなければわからなかったのだ。

目次

プロローグ いまこそ「地震付き原発」との決別を

第1章 福島第一原発を地震・津波が襲った
     福島原発震災──二度とくり返さないために
     日本列島全域の大地震活動が促進されるか

第2章 地震列島の原発震災
  1 原発震災とは
     原発震災──破滅を避けるために
     巨大地震と原発
     日本列島で懸念される破局的災害
     Genpatsu-Shinsai: Catastrophic Multiple Disaster of Earthquake and Quake-induced
     Nuclear Accident Anticipated in the Japanese Islands
  
  2 浜岡原発震災を防ぐ
     浜岡判決は地震動を著しく過小評価している
     浜岡原発の廃炉と新設──中部電力は震災への自覚がない
     「原発震災」回避が新政権の世界に対する責任
     「駿河湾地震説」小史

  3 柏崎刈羽原発の耐震偽装
     柏崎刈羽原発の想定地震は小さすぎる
     柏崎刈羽原発7号機の運転再開は許されない
     柏崎刈羽原発の「耐震偽装」をあらためよ
     原子力安全委員会の言論抑圧「事件」──柏崎刈羽原発「耐震偽装」

  4 原発震災の背景
     「原発震災」を隠蔽する日本のマスメディア
     原発の地震リスクの諸問題
     「原発震災」を回避するには
     新指針の不備の見直しを急げ
     新耐震指針と審査体制を直ちに見直す必要がある

第3章 科学と科学者の責任
  1 地震学と社会
     災害科学としての地震学のあり方
     現代社会と地震学
     地震は予知できるようになるか──人命を救えるか?

  2 科学者として
     耐震指針検討分科会の委員をなぜ辞任したか
     耐震指針検討分科会における最後の発言
     ある地震研究者の想い出

第4章 安全神話と危機管理
     「原発震災」を回避できるか?
     原子力発電所の危機管理
     鳥取地震は安全神話への警告
     変動帯日本で地層処分は可能か
     高レベル放射性廃棄物処分場に東洋町は明白な不適地

第5章 自然の摂理に逆らわない文化
     自然の摂理に逆らわない文化を
     経済、産業構造から見直そう
     地震と時代
     迫り来る大地震活動期は未曾有の国難
     原発に頼れない地震列島

エピローグ 浜岡原発震災で何が起こるか

「原発震災」に関する著作・論文一覧
「原発震災」に関する講演一覧
初出一覧

前書きなど

プロローグ いまこそ「地震付き原発」との決別を

 「福島原発震災」が発生してから早くも10カ月近くが過ぎて、2012年を迎えた。
 12月26日(以下、とくに記さない限り2011年)には、政府の東京電力福島原発事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長、以下では「政府事故調」)が中間報告を公表した。報告は、今回の事故と被害の大きな要因として、①津波による過酷事故への対策、②原発事故が複合災害になるという視点、③原子力災害の全体像を見る視点、の三つが欠如していたことを挙げている。
 しかし、私が「科学」1997年10月号で「原発震災」という言葉を造って指摘したのは(本書60ページ参照)、まさにこれらのことであった。私は、日本のどの原発でも原発震災(地震・津波・原子力複合災害)が起こりうるから、これからの震災対策は原発震災を抜きにしては考えられないと書いた。また、過酷事故も、想定を超える大津波も、ありうることを述べた。
 それ以来機会あるごとに説明し、私たちは「原発震災前夜」にいると訴えてきたが、原子力推進勢力はもちろん、政治家、中央・地方の行政府、マスメディア・言論界、関係学界・防災専門家などのほとんどが、この警告に耳を貸さなかった。災厄は、起こる前に予測し、対策を講じ、防止することこそが肝要なのに、起こってみなければわからなかったのは、実に残念なことである。
 さて、12月16日に野田首相が、福島第一原発1〜3号炉が冷温停止状態になったとして事故の収束を宣言したが、まったく早計である。炉心が溶融して応急的な循環注水でしのいでいるにすぎない原発が、いつまた重大なトラブルや大規模放射能放出を起こすか、予断を許さない。大地震や津波に再び直撃される恐怖も、超巨大地震の余震域に面している原発だからこそ、まだ何年も続く。
 いっぽう、放射能汚染から避難している人たちは15万人以上といわれ、全国に散らばって厳しい生活を送っている。さらに、避難したくても種々の事情や地域の雰囲気で避難できず、放射線に怯えて暮らし、実際に被曝を強いられている人々が多数にのぼる。いずれ深刻な健康被害が顕在化してくると懸念されるが、住み慣れた土地と家と暮らしを捨てるか、被曝を受忍するかの選択を迫られるとは、なんという非人道的なことだろう。
 除染「事業」が政府・自治体によって大々的に進められようとしているが、基本的に線量が高かったり、再汚染によって効果が疑わしかったりで、避難したほうがよいところが少なくない。原発は安全だとだまし続け、今は、放射能が漏れても除染すれば大丈夫だと偽って、多くの国民の「生」をズタズタにしている政府・御用学者は、かつて、日本は米英に絶対負けないと国民を洗脳し、敗色濃厚になるとバケツリレーや竹槍戦術で勝てると欺いたときとなんら変わらない。
 3・11以来続いている悪夢は、「ただの発電所」であるべき原発という施設が、いったん人間の制御から外れるといかに凶暴に人間を蹂躙するものであるか、大地震・津波という自然現象がいかに簡単に人間の手から原発をもぎ取るかを、白日のもとに晒した。同じ臨海地帯の大型発電所でも、火力発電所は、同じ大地震・津波で多くが損傷したが、人間をほとんど傷つけることなく、かなりの数がすでに復旧して電気を供給している。
 福島第一原発事故は、放射性物質の放出量が最大規模ではなかったが、それでさえ、ちっぽけな日本列島の自然と社会全体と個々人から奪いつつあるものは、遠い将来にわたって計り知れない。もし、この事故並みか、それ以上の原発事故が再び起これば、日本という国は立ち行かなくなるだろう。この国の原発の今後を考えるとき、それを片時も忘れてはならない。
 ……

版元から一言

東海地震説のもとになった「駿河湾地震説」を発表し、1997年には"原発震災"を強く警告。2011年12月に東京電力福島第一原発事故を検証する国会の事故調査委員会の委員に就任した地震学者がまとめる「原発震災」の決定版!

著者プロフィール

石橋 克彦(イシバシ カツヒコ)

1944年生まれ。東京大学理学部地球物理学科卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京大学理学部助手、建設省建築研究所国際地震工学部応用地震学室長、神戸大学都市安全研究センター教授を経て、現在、神戸大学名誉教授。
著書に『大地動乱の時代』(岩波新書)、『阪神・淡路大震災の教訓』(岩波ブックレット』。編著に『原発を終わらせる』(岩波新書)。共著に『巨大地震 権威16人の警告』(文春新書)、『地震の事典』(朝倉書店)など。

上記内容は本書刊行時のものです。