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動かない、動かせない「もんじゅ」 小林 圭二(著) - 七つ森書館
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動かない、動かせない「もんじゅ」 (ウゴカナイウゴカセナイモンジュ) 高速増殖炉は実用化できない (コウソクゾウショクロハジツヨウカデキナイ)

自然科学
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発行:七つ森書館
A5判
88ページ
並製
定価 900円+税
ISBN
978-4-8228-1026-9   COPY
ISBN 13
9784822810269   COPY
ISBN 10h
4-8228-1026-7   COPY
ISBN 10
4822810267   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2010年12月
書店発売日
登録日
2010年12月7日
最終更新日
2011年5月18日
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紹介

12月8日は、1995年にナトリウム漏れの大事故を起こした日です。それ以来、14年間も止まっていた「もんじゅ」は、果たして安全に運転開始できるのでしょうか? ほんとうは、事業仕分けされても当たり前ですが、政治的判断で生き延びています。こんなことで安全は大丈夫でしょうか? 業界イチの専門家がわかりやすく解説します。

目次

刊行にあたって

はじめに

1 世界初の原発計画は高速増殖炉だった

2 実用化に向けた5つの開発段階

3 高速増殖炉の基本的な仕組み

4 高速増殖炉の危険性

5 「もんじゅ」事故

6 改良工事と今後の計画

7 運転再開の問題

8 実用化に結びつかない「もんじゅ」

9 高速増殖炉の世界は撤退の歴史

前書きなど

はじめに

 いま話題になっている「もんじゅ」は日本の原子力政策の中でどういう位置にあるのでしょうか。これをひと口で言うと日本の原子力政策の根幹をなしているということです。
 日本の原子力開発は自前の電力源を持つということでスタートしています。
 これには大きく分けて2つの流れがありました。
 まず、天然ウランで動く重水炉の発電炉を追求する流れがありました。
 当初は濃縮ウランが容易に手に入らなかったからです。これは新型転換炉という形で途中まで進められたわけですが、「ふげん」という原型炉の段階で終わりました。開発にお金はかかるし、維持が大変だということで電力会社に蹴飛ばされまして、立ち消えになったという流れです。
 もう1つが高速増殖炉の流れです。
 これは使用済み核燃料を再処理して得られたプルトニウムを燃料として使用するものです。これが現在の日本の原子力政策の根幹になっています。2005年の「原子力政策大綱」では、つぎのように位置づけられています。
 ① 高速増殖炉を2050年ごろから商業ベースで導入。
 ② その研究開発の中核が「もんじゅ」。
 ③ 日本原子力研究開発機構が中心となり、2015年ごろ高速増殖炉サイクルの実用
  化像を提示。
 2009年12月から、いま動いている軽水炉でプルトニウムを一部燃料として使うプルサーマルという動きが始まっています。
 新聞などを見ると、どの新聞記者も「日本の原子力政策の中核をなすプルサーマル」と書いていますが、これはまったくの間違いです。軽水炉は本来、低濃縮ウランを燃料にするのであって、プルトニウムを使って動かす炉ではないのです。
 なぜプルサーマルが動き出したかといえば、日本の原子力政策が行き詰まった、つまり高速増殖炉開発の見通しが立たなくなった結果であるからです。
 にもかかわらず、高速増殖炉は政策としては手放してはいません。

著者プロフィール

小林 圭二  (コバヤシ ケイジ)  (

1939年、中華人民共和国大連市生まれ。元京都大学原子炉実験炉講師。著書に『高速増殖炉もんじゅ』(七つ森書館)。共著書に『原発の安全上欠陥』(第三書館)『原子力発電の安全性論争』(技術と人間)『別冊宝島81 決定版・原発大論争』『別冊宝島137 研究する人生』(宝島社)『地球環境の危機』(岩波書店)『環境百科 聞きのエンサイクロペディ』(駿河台出版社)『プルトニウム発電の恐怖』(創史者)など。共訳書に『人間と放射線』(J.W.ゴフマン、社会思想社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。