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東アジアのフィールドを歩く
女子大学生がみた日・中・韓のすがお
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年6月
- 書店発売日
- 2014年6月6日
- 登録日
- 2014年6月2日
- 最終更新日
- 2014年6月2日
紹介
本書は、恵泉女学園大学で行われているユニークな平和教育プログラム、東アジア社会コース体験学習(以下、東アジアFS)の学生による体験報告集。東アジアFSとは、国境を越えて日中韓のフィールドを実際に歩いて、それぞれの歴史や文化を比較体験し、また現地の若者や市民とのの交流を目指すトランスナショナルプログラム。
この本は女子大学生が、見て歩いて感じた12日間の東アジアの体験記。
目次
はじめに 李泳采、楊志輝、齊藤小百合
1 わたしたちのフィールドスタディ―日・中・韓をめぐる12日間
第1日福岡・佐賀―朝鮮半島への架け橋 /コラム・福岡の強制連行から考える戦後責任
第2日釜山・ソウル―朝鮮半島の玄関「釜山港」/コラム・戦後日韓関係と「韓流」の歩み
第3日DMZ・春川―終わらない朝鮮戦争の現場 /コラム・第1のデートスポット「ナミ島」
第4日ソウル― 植民地支配の遺産 /コラム・韓国はなぜ「反日」なのか
第5日ソウル・仁川―近代港からアジアの港へ /コラム・韓国映画は北朝鮮をどう描いてきたのか
第6日北京― 歴史の真実と記憶 /コラム・愛国教育から考える日中国交正常化
第7日北京― 1000年を語る文化の都市 /コラム・北京オリンピックの華麗な花火とその影
第8日北京・上海―中国の心臓部 /コラム・中国の運命を背負う新世代の指導者たち
第9日上海― 多文化の街 /コラム・中国における日系企業の現況
第10日上海―経済成長の「新天地」 /コラム・中国の経済は今後どうなるの?
第11日釜山― 周辺から目指す中心都市 /コラム・釜山から韓国社会の行方が見える?
第12日福岡―東アジア共同体を拓く /コラム・環黄海会議って何?
2 それぞれのフィールド―見て、聞いて、考えた
*女性雇用の利点を考える―サムスン電子における女性積極採用策―秋元美穂
*中国における日系企業の労働事情―若者はなぜすぐ離職するのか―稗田美幸
*韓国社会における南北統一問題への関心―若者の認識を中心に―中村桃子
*中国における物流サービス業―日系物流サービス業の現状と課題―張璐穎
*韓国の非正規雇用の現状と課題―「ホームエバー・ハイパーマーケット」の女労働者問題を中心に―間宮美南海
*韓国民主化運動における女性の活躍―東一紡績工場における女性労働者の闘い―冨下莉子
*中国における水の問題―都市化による水汚染―浅沼玲奈
*在韓軍人軍属裁判(グングン裁判)とは―靖国合祀取り消し問題を中心に―斎藤こずえ
*中国における日本の「動漫」文化―日中友好の架け橋の可能性は?―鴨志田幸穂
*中国の環境問題―大気汚染の現状と日本企業の取り組み―新野華奈
*韓国のK-POPの海外輸出と国家ブランド戦略 奥山友美
*植民地の記憶と現在―釜山・南浦洞を中心に―澤谷志織
3これから―東アジアはわたしたちの未来だ
前書きなど
おわりに
現在、日本・韓国・中国の三カ国は、歴史認識や領土問題などで互いに暗い影を落としている。その緊張した雰囲気の中、歴史的な現場に行くことで、日本国内では感じることができないさまざまな経験をすることができたのが、今回の東アジアFSだ。このFSが本学にとって初めての東アジアFSだったため、三カ国を巡るというイメージが湧かず、不安でいっぱいだった。実際12日間の旅では、途中で体調を崩してしまう人もでたが、互いのサポートと仲間意識に基づく内容の濃いものになったと思う。
帰ってきてからも、秋学期は、文化祭(11月)の展示や報告会、報告書作成などの準備で忙しく、とても大変だったが、それ以上にこのFSで学んだことは大きいものだった。日本の見方だけで歴史をみるのではなく、韓国や中国の視点に立ち、その国の人たちと出会うことで、「東アジア」の繋がりの重要性を改めて感じることができた。またさまざまな人たちと出会うことで、「東アジアは私たちの未来だ!」このことを強く実感した。最後に、このFSの全体のまとめ役李泳采先生、体調の面でもいろいろと気遣ってくれた楊志輝先生、多方面から相談に乗ってくれた斎藤小百合先生にお礼申し上げたい。 間宮美南海
東アジアFSに参加することになり、先輩たちと一緒に勉強して現地を巡ることに最初は緊張したが、互いに協力することで充実したプログラムになった。日中韓を12日間で巡るというハードな日程だったが内容は非常に豊富なものであった。
植民地時代や戦争などを通して日本がどのように中国、韓国と関わってきたか。また現在も過去とたたかっている人々がいる。私たちはその過去について知る必要がある。今回訪れた場所のどこも初めて行く場所であったため、衝撃を受けた。博物館などを巡りながら自分の生まれた国が過去に行った歴史的事実と向き合うことで、日本という国について考える機会にもなった。この本を製作する際も、訪問した場所について新たに勉強することができた。全日程の内容を振り返りながら、いつかもう1度訪問したい、と思った。 中村桃子
韓国で生まれて、日朝・日韓関係を専門領域とし、日本にきて15年が経っている。だが、いまだに日韓・日朝の特徴を一言で引き出すのは簡単ではない。それは、日本と朝鮮半島の日常がいかに密接につながっているかを反映している。これに中国や台湾を加えると、東アジア地域は、ダイナミックな相互関係を持っていることがわかる。
ところが、最近の東アジアの動きは、協力と共存よりは、対立と葛藤の時代に向かっているようにも見える。若い世代に明るい東アジアの未来を作ることができなかった既成世代としての責任は重い。しかし、アジアの若者が互いに交流し、文化や歴史を体験していくことに希望を感じた。12日間という短いアジアへの旅だったが、その参加者全員の変化は目に見えるほど鮮明であった。東アジアには若者の未来がある―その象徴かもしれない。 李泳采
版元から一言
東アジアFSとは、国境を越えて日中韓のフィールドを実際に歩いて、それぞれの歴史や文化を比較体験し、また現地の若者や市民との交流を目指すトランスナショナルプログラム。体験を綴る。
上記内容は本書刊行時のものです。