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糖鎖生物学 北島 健(編) - 名古屋大学出版会
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糖鎖生物学 (トウサセイブツガク) 生命現象と糖鎖情報 (セイメイゲンショウトトウサジョウホウ)

自然科学
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A5判
重さ 550g
306ページ
上製
価格 5,400円+税
ISBN
978-4-8158-0981-2   COPY
ISBN 13
9784815809812   COPY
ISBN 10h
4-8158-0981-X   COPY
ISBN 10
481580981X   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C3045  
3:専門 0:単行本 45:生物学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年2月28日
書店発売日
登録日
2020年1月27日
最終更新日
2020年3月9日
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紹介

生体内で多様な情報を担う糖鎖は、DNA鎖、ポリペプチド鎖に続く「第3の生命鎖」として注目を集めている。受精・神経・免疫・癌・感染などの生命現象における糖鎖の役割を中心に、基礎から最先端のトピックまで解説した本書は、理学・農学・医薬系などの大学院生・研究者必読。

目次

はしがき

第I部 糖鎖生物学概論

I-1 生物と糖鎖
1.1 生体分子としての糖質
1.2 糖鎖の存在分布:糖鎖は細胞の全領域に存在する

I-2 糖鎖の構造
2.1 糖質とは
2.2 単糖
2.3 グリコシドと糖鎖
2.4 オリゴ糖、多糖、複合糖質

I-3 糖鎖の生合成と分解
3.1 糖転移酵素
3.2 グリコシダーゼ
3.3 N型糖鎖の生合成
3.4 O型糖鎖の生合成
3.5 糖脂質の生合成

I-4 糖鎖の機能
4.1 糖鎖の役割
4.2 物性を変化させる役割
4.3 認識分子としての役割

I-5 糖鎖の多様性と不均一性
5.1 糖鎖構造の多様性
5.2 糖鎖構造の不均一性
5.3 糖鎖利用の生物学的メリット

コラム1 糖鎖の構造と発現解析
コラム2 糖鎖の有機合成
コラム3 糖鎖ライブラリーの構築と利用

第II部 糖鎖情報の形成

II-1 糖代謝情報
1.1 はじめに
1.2 糖ヌクレオチド代謝
1.3 O-GlcNAc修飾

II-2 タンパク質の品質管理とN型糖鎖
2.1 はじめに
2.2 小胞体における新生糖タンパク質のフォールディング
2.3 小胞体-ゴルジ装置間における糖タンパク質の選別輸送
2.4 小胞体およびサイトゾルにおける変性糖タンパク質の分解
2.5 品質管理機構の破綻に伴う病気
2.6 おわりに:今後の課題

II-3 マイクロドメイン形成
3.1 はじめに
3.2 マイクロドメインの糖鎖生物学的重要性
3.3 新しい細胞膜モデル

コラム4 微量糖脂質の構造解析
コラム5 糖鎖の動的構造解析
コラム6 糖脂質の膜上動態分析

第III部 糖鎖情報の解読

III-1 受精と糖鎖
1.1 はじめに
1.2 受精過程の普遍性
1.3 精子運動と糖鎖
1.4 精子先体反応と糖鎖
1.5 精子-卵外被接着と糖鎖
1.6 先体反応後の精子と卵の融合
1.7 卵表層反応と糖鎖
1.8 おわりに

コラム7 花から見つかった生理活性糖鎖アモール

III-2 発生と糖鎖
2.1 はじめに
2.2 Notchシグナル伝達と糖鎖による調節
2.3 発生現象を制御する糖鎖修飾

コラム8 糖鎖修飾によりホルモンが一人二役を授かる仕組み

III-3 神経と糖鎖(I)――神経発生と再生
3.1 はじめに:神経とネットワーク形成
3.2 神経発生、パターン形成と糖鎖
3.3 軸索ガイダンスおよびシナプス形成と糖鎖
3.4 神経可塑性と糖鎖

III-4 神経と糖鎖(II)――神経機能
4.1 はじめに:神経機能における糖鎖の役割
4.2 ガングリオシドの役割
4.3 加齢や神経変性とガングリオシド
4.4 ガングリオシド欠損マウスが示す糖鎖機能
4.5 細胞膜マイクロドメインとガングリオシド

コラム9 統合失調症とポリシアル酸

III-5 免疫と糖鎖(I)――免疫調節
5.1 はじめに
5.2 NKT細胞による免疫調節
5.3 シグレックによる免疫調節
5.4 TCR上の糖鎖
5.5 IgG上の糖鎖

III-6 免疫と糖鎖(II)――自然免疫の制御
6.1 はじめに:自然免疫とは
6.2 自然免疫の概観
6.3 自然免疫における自己と非自己の識別
6.4 自然免疫における動物レクチンの役割
6.5 MBP/MBLの構造と自然免疫における役割
6.6 おわりに:糖鎖を介する自然免疫と炎症性疾患

III-7 免疫と糖鎖(III)――獲得免疫
7.1 はじめに
7.2 獲得免疫とは
7.3 抗体
7.4 IgG糖鎖のエフェクター機能への影響
7.5 糖鎖抗原
7.6 糖鎖抗原による疾患
7.7 おわりに

コラム10 シグレックと免疫制御

III-8 癌と糖鎖
8.1 はじめに
8.2 細胞の癌化と糖鎖変化
8.3 癌の悪性度の進行と糖鎖変化
8.4 癌関連性糖鎖の臨床応用

コラム11 プロテオグリカンと病気

III-9 感染と糖鎖
9.1 はじめに
9.2 細菌の生存と病原性における糖代謝酵素の役割
9.3 ノロウイルス感染における糖代謝酵素の役割
9.4 細菌のシアリダーゼ
9.5 ウイルスのシアリダーゼ
9.6 トランス-シアリダーゼ
9.7 抗インフルエンザ薬のシアリダーゼ阻害剤

コラム12 糖鎖と植物ペプチドホルモン
コラム13 植物多糖に隠された化学情報

索引

前書きなど

糖質は生体を構成する物質としてタンパク質、核酸、脂質と並んで重要な位置を占めている。たとえば、グルコースは生体エネルギー源として、デンプンやセルロースはエネルギー貯蔵や構造維持材料として、生物に必須であることは周知のところである。また、地球上のすべての生物の細胞では、その外側が糖質によって覆われており、さまざまな生命現象において糖質が重要な役割を果たす事例も枚挙にいとまがない。

遺伝情報はRNA情報からタンパク質情報に変換され、その多様な働きによって生物のさまざまな営みが可能になる。糖質や脂質の合成と分解は酵素としてのタンパク質が制御している。すなわち、糖質情報、脂質情報はタンパク質情報から変換されて生みだされる。そして遺伝情報、RNA情報、タンパク質情報に、糖質情報、脂質情報が有機的に絡み合ったネットワーク化において、生物という秩序ある存在が可能になる。

タンパク質がアミノ酸の鎖状重合体であるのと同様に、糖質は単糖の鎖状重合体であり、しばしば糖鎖と呼ばれる。近年の研究が明らかにしてきたように、糖鎖はさまざまな生物学的現象において、タンパク質・脂質の働きを制御することによって、細胞の集合化と組織・臓器形成、外界から侵入する非自己細胞の認識や排除など、いわば細胞社会のコミュニケーションの重責を担っている。

近年、そのような糖鎖の構造と機能を、生物学という学問体系の中で理解し、医学、薬学、農学、工学領域において応用展開する基盤となる糖鎖生物学が、学問領域として定着しつつある。本書は、この糖鎖生物学の発展を背景にして、さまざまな生命現象において糖鎖情報が果たす役割について、現象別にその基礎や最新の知見を解説する。

全体は「糖鎖生物学概論」、「糖鎖情報の形成」、「糖鎖情報の解読」の三部構成になっており、随所にコラムが挿入される。

第I部の「糖鎖生物学概論」では、糖鎖生物学を研究する上で必要となる基……

[「はしがき」冒頭より]

著者プロフィール

北島 健  (キタジマ ケン)  (

1987年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現 在 名古屋大学生物機能開発利用研究センター教授、理学博士

佐藤 ちひろ  (サトウ チヒロ)  (

1997年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現 在 名古屋大学大学院生命農学研究科教授、理学博士

門松 健治  (カドマツ ケンジ)  (

1988年 九州大学大学院医学研究科博士課程修了
現 在 名古屋大学大学院医学系研究科教授、医学博士

加藤 晃一  (カトウ コウイチ)  (

1991年 東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了
現 在 自然科学研究機構生命創成探究センター教授、薬学博士

上記内容は本書刊行時のものです。