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ピアノ、その左手の響き 歴史をつなぐピアニストの挑戦

芸術 ラノベ

智内 威雄(著)
発行:太郎次郎社エディタス

四六判   224頁  上製
価格 1,800円+税

ISBN 978-4-8118-0789-8   C0073
在庫あり(出版社情報)

奥付の初版発行年月 2016年2月
書店発売日 2016年2月19日
登録日 2016年2月1日

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書評掲載情報

2016-04-22 週刊読書人  
評者:鷲野彰子=ピアニスト

紹介

バッハ=ブラームスの行間、スクリャービンの希望、ラヴェルの華麗──。
三百年の歴史を持つ、知られざる豊かな響き、左手のピアノ音楽がよみがえる。

病によって、戦争によって、右手の自由を失ったピアニストたちが、
それでも表現することをあきらめずに
ひとすじの細い道をつないできた左手のピアノ音楽。
それはまったく新しい豊かな響きをピアノにもたらした。
多彩な音色と高い音楽性──片手演奏のイメージを180度変える希望の音楽である。

少年時代から人に音楽を聴かせることに喜びを見出していた若いピアニストは、
ジストニアの発症によって左手の音楽に目覚める──。

ETV特集「左手のピアニスト〜もうひとつのピアノ・レッスン」をはじめ、
各種メディアで注目を集める"左手のピアニスト"が、
新しい響きを生みだすまでの歩みを縦糸に、左手音楽の歴史を横糸に、
はじめて書き下ろす、未知のピアノ体験。

目次

第0話●響きを創造する——プロローグ
響きによる空間芸術/ピアニストとは登山家のようなもの
左手が生みだすピアノの響き/骨格をもった演奏家、もたない演奏家
鍵盤をもったことの意味/低音の響きこそピアノの魅力

column■ピアノとはどういう楽器か——鍵盤とペダル

第1話●ピアノの下にゆりかご——ピアノが子守歌だった幼少期
真夏の誕生日/運命づけられた名まえ
ピアノをはじめた理由/祖父母のこと
智内家の価値観

column■ウィトゲンシュタインと左手のピアノ曲

第2話●早朝練習とラジコン・マニュアルの日々——小学生のころ
寝ぼけ練習の効用/早朝の音と香り
東京音大の付属教室に通いはじめる/友だちとよく遊んだ毎日
ラジコンと現代音楽/学校行事の合唱祭でピアノ伴奏
「グールドの月光」の衝撃/まちがえたふりをして月光に取り組む

column■左手のための二つのシャコンヌ

第3話●没頭少年と疾走するピアノ——思春期の挑戦
放課後の音楽室で、休み時間の体育館で/ファゴットの魅力
振りきれそうなほどの疾走感/メトロノームに限界まで挑戦

column■楽器の響きを引きだすということ

第4話●図書館が世界への扉だった——聴きまくり弾きまくる高校生
音楽図書館という宝庫と出会う/リヒテルの「熱情」とワッツの「ラ・カンパネラ」
音楽の歴史・系譜にたどりつく/楽譜は身体の動きをあらわしている
歌うように吹くように身体を使う/はじめてのイタリアで学んだこと
高校生活の最後に「さすらい人幻想曲」を弾く

column■戦争と音楽家、左手のピアニスト

第5話●イタリアへ、ドイツへ——ピアニストへの道を選ぶ
演劇や映画、美術鑑賞の日々/舞台、音、味を堪能したイタリア体験
ミケランジェリのアップライトピアノ/「幻想ポロネーズ」と「展覧会の絵」
ネックレベルク先生との出会いからハノーファーへ/国際コンクール中心の日々に突入

column■名ピアニスト、ディヌ・リパッティと「左手のためのソナチネ」

第6話●ジストニアから学んだこと——留学時代、難病から再起まで
ドレミファソラシドが弾けない/局所性ジストニアの診断を受ける
リハビリ治療という選択/指一本を動かすことから
強制送還のピンチ!/心やさしい怪獣のような友人
あのリハビリはなんのためだったのか/ふたたび楽譜をひらく
針路をみさだめる

column■スクリャービン「左手のための二つの小品」

第7話●左手のピアニストへの道のり——関西に移り住むまで
左手で弾くための格闘/喝采と落胆
転換点となったラヴェルの協奏曲/左手のピアニストとしての「資格」
あるメモリアルコンサートで弾く/人の輪に囲まれた関西に

column■ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」

第8話●「左手のアーカイブ」の活動——ピアノのための道をつくる 169
左手の入門から上級までの道を/演奏・映像・音声のチームができる
演奏を一曲まるごと映像公開する/活動の三つの柱
左手曲の歴史と困難/楽譜を伝え残していく意味
教える人を育てる/ワンハンド・ピアノフェスタ!
左手の輪を広げるために

あとがき

資料■左手のために作品を書いた作曲家たち

著者プロフィール

智内 威雄(チナイ タケオ)

1976年、埼玉県蕨市生まれ。東京音楽大学ピアノ演奏科コース卒業。
大学在籍中にミラノにても研鑽を積む。日本では小林出氏と前島園子氏に、ミラノではアニータ・ポッリーニ氏とアダ・マウリ氏に師事。2000年、ドイツ・ハノーファー音楽大学に入学。E. S. ネックレベルク教授に師事。グリーグ国際コンクール入賞、マルサラ国際コンクール3位入賞。
留学中に局所性ジストニアを右手に発症するが、スクリャービンの「前奏曲」と「夜想曲」、バッハ=ブラームスの「シャコンヌ」など左手の音楽世界と出会い、左手のピアニストとして音楽活動を再開。左手だけで質の高い演奏を得るために、本格的に奏法の研究をおこなう。
現在、左手のピアニストとして各地でソロ活動をおこなっている。左手の音楽普及のため2010年に「〈左手のアーカイブ〉プロジェクト」を立ち上げ、2014年には片手演奏の教育プロジェクト「ワンハンド・ピアノレッスン」を立ち上げる。

上記内容は本書刊行時のものです。