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臨床スポーツ心理学 中込四郎(著) - 道和書院
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臨床スポーツ心理学 (リンショウスポーツシンリガク) アスリートのメンタルサポート (アスリートノメンタルサポート)

スポーツ・健康
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発行:道和書院
A5判
288ページ
上製
定価 3,400円+税
ISBN
978-4-8105-2125-2   COPY
ISBN 13
9784810521252   COPY
ISBN 10h
4-8105-2125-7   COPY
ISBN 10
4810521257   COPY
出版者記号
8105   COPY
Cコード
C3075  
3:専門 0:単行本 75:体育・スポーツ
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年8月
書店発売日
登録日
2013年7月2日
最終更新日
2013年9月5日
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紹介

アスリートは、アスリートとして活躍すること(現実適応:パフォーマンスの向上)と自分らしく生きること(個性化:パーソナリティの発達)という、時には同時には解決しがたい二つの課題を抱えている。また、周囲のアスリートに対するイメージや期待が、競技活動のエネルギーとなっていく者もいれば、本来の生き方を見失ってしまうアスリートを生み出すこともある。このようなアスリートが抱えるストレスや課題に対し、臨床スポーツ心理学の立場からサポートしていく方途を、さまざまな事例の分析を通じて探る。

目次

序章 アスリートの心理サポート1
第一章 臨床スポーツ心理学の方法とその展開(その1)
第二章 臨床スポーツ心理学の方法とその展開(その2)
第三章 内界探索型メンタルトレーニングプログラムの開発
第四章 内界探索型メンタルトレーニングの検討
第五章 チームスポーツへのグループ箱庭の適用
第六章 メンタルトレーニングとカウンセリングの連携
第七章 アスリートが語る「身体」の治療的意味
第八章 運動部活動での不適応を抱えたアスリートの特徴
第九章 アスリートの相談事例に見られる「自己形成」の特徴
第十章 スランプに陥ったアスリートの相談事例
第十一章 夢を介した競技引退アスリートのサポート事例

前書きなど

 臨床心理学の専門的トレーニングを受けた体育・スポーツ心理学領域の一部の仲間たちの間で、明確な定義づけを施すこともなく「臨床スポーツ心理学」あるいは「スポーツ臨床」といった名称を用いるようになり、20年以上の年月が経過した。最近では、心理臨床の専門誌で特集が組まれたり、スポーツ心理学事典における解説項目群の大きな領域の一つとして位置づけられるなど、その当時から考えると比較にならない扱いとなり、臨床スポーツ心理学が確実にアイデンティティを得つつあるとの思いを深めている。スポーツ心理学に「臨床」を冠したことで、当初、周囲からはかなり偏った見方や時には誤解をされることがあったが、このことで、やがては臨床スポーツ心理学の体系化の課題に自覚的に取り組むようになっていった。この間の歩みで、筆者自身の中でも臨床スポーツ心理学の輪郭をより具体的に描けるようになってきたことは言うまでもない。そして、それらは筆者の50代の歩みと重なるものであった。
 新たなこの領域について、周囲からの理解を得るための第一歩である輪郭づくりは、「研究方法」と「研究対象」(展開)の二つの側面から着手した。本書の中では、「〝臨床〟を病理、アブノーマルそして問題を意味する特定の研究対象として捉えるのではなく、ベッドサイドに臨むといった研究対象との関わり方を特徴とし、アスリートのカウンセリングだけに限定せず、〝個の全体性〟(生き方)、〝関係性〟そして〝意味〟といった理解の方法」として臨床を位置づけた。そしてそれは、臨床スポーツ心理学が「既存のスポーツ心理学の細分化というよりも、スポーツ心理学、運動学、スポーツ教育学、コーチング学、スポーツ医学等を中心とした領域横断的な研究領域になること」を期待してのことであった。

 第一・二章は、本書のタイトルとして採用した「臨床スポーツ心理学」の研究方法や研究対象を通して、この領域の特徴づけをはかっている。今後さらに研究・実践が積み重ねられることによって、臨床スポーツ心理学がこれまでのスポーツ心理学の単なる分化として位置づけられるのではなく、スポーツ科学における領域横断的な新たな研究領域としての独自性がより明確となり、さらに確かなアイデンティティを獲得していくことを期待している。この二つの章は言うまでもなく理論的説明で終始しており、それ以後の実践例に触れていただいた後に読まれる方が理解しやすいのではないかと思う。
 次の第三章から六章は、競技力向上・実力発揮を目的とした、「内界探索型メンタルトレーニング」と称したサポートの実践例より構成されている。筆者はこれまで受けた心理療法のトレーニングやスポーツカウンセリングルームでの臨床経験の影響から、欧米での標準的な心理技法の指導とは異なる立場からのアプローチを行うようになっている。それはアスリートの「心理的成熟・成長」によるパフォーマンス向上への道筋を期待してのアプローチである。
 残りの第七章から一一章も大きく一つに括れるよう構成している。これらの章では、カウンセリングルームでの相談事例が主要な資料となっている。事例の紹介にあたっては、匿名性に配慮しながら事実を大きく曲げない範囲で部分的に創作を加えている。それぞれの事例を通してアスリートのカウンセリングの独自性を示そうと意図した。その中でも特に、相談の中で彼らが語る「身体」の治療的意味ならびに、カウンセラーとクライエントであるアスリート双方の立場から、競技生活における「現実適応」(パフォーマンス向上)と「個性化」(パーソナリティ発達)の二つの二律背反的とも捉えられがちな課題の積極的繋がりないしは意味の一端を伝えようとした。そして、第一〇章と一一章では、相談過程の詳細を記述しており、アスリートのカウンセリングの実際に触れ、理解を深めていただきたい。

著者プロフィール

中込四郎  (ナカゴミシロウ)  (

1951年山梨県韮崎市生まれ 博士(体育科学)・臨床心理士・認定スポーツカウンセラー・スポーツメンタルトレーニング指導士。
東京教育大学大学院体育学研究科修士課程修了。北海道教育大学教育学部助手、講師を経て、現在、筑波大学体育系教授(体育・スポーツ心理学、スポーツカウンセリング論担当)。筑波大学スポーツクリニック・メンタル部門ならびに筑波大学心理相談室心理相談員、国立スポーツ科学センター客員研究員、等で心理臨床活動を行っている。

上記内容は本書刊行時のものです。