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ホッケースティック幻想 A.W.モントフォード(著) - 第三書館
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ホッケースティック幻想 (ホッケースティックゲンソウ) 「地球温暖化説」への異論

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発行:第三書館
A5判
450ページ
上製
価格 4,800円+税
ISBN
978-4-8074-1575-5   COPY
ISBN 13
9784807415755   COPY
ISBN 10h
4-8074-1575-1   COPY
ISBN 10
4807415751   COPY
出版者記号
8074   COPY
Cコード
C0044  
0:一般 0:単行本 44:天文・地学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年4月
書店発売日
登録日
2016年4月11日
最終更新日
2016年4月27日
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紹介

地球の体温グラフは20世紀に入るまではなだらかな低下をたどっていた。
それ以降急に上昇して、ホッケースティックの先端状を呈していると喧伝されている。
しかし、この地球上を席巻している温暖化進行中という“常識”は「ホッケースティック幻想」にすぎないと証明する話題の書。

目次

1部.「ホッケースティック」の解明への取り組み
1章.「ホッケースティック」の出現 1
A.IPCC 設立までの経緯 1
B.過去の気候について 4
1節.IPCC の第一次評価報告書(1990) 4
2節.中世の顕著な温暖期の下方修正 7
3節.地質学者による過去の気候の研究 8
4節.IPCC の第2 次評価報告書(1995) 10
C.ホッケースティックの出現とその反響 11
1節.「ホッケースティック」の論文(1998) 11
2節.1 つのチャートの構成 13
3節.マスコミの反応 15
4節.論文の改訂版(1999) 16
5節.IPCC の第3 次評価報告書(2001) 17
2章.解明に必要な科学 20
A.古気候学 20
1節.過去の気温 20
2節.気温の推定に用いられる代替記録 21
3節.代替年代記単一法による温度再現 23
4節.代替年代記多重法による温度再現 25
B.主成分分析 26
1節.主成分分析の歴史 26
2節.主成分分析は何を行うのか 27
3節.各年代記の全期間平均の標準化 29
3章.解明への取り組み 33
A.難解なマンの論文との巡り合わせ 33
1節.“ 気候懐疑論者 ”サイト 33
2節.マンの論文解明に取り組むマッキンタイア 35
B.マンの論文の概要と古気候学の問題 37
1節.マンの論文の概要 37
2節.温度年代記のデータ 38
3節.関係付けの方法 39
4節.20 世紀後半に於ける乖離 40
C.MBH(99)の中間結果のマッキンタイアによる検定 41
1節.概要 41
2節.温度と代替記録のひどい嘘同士の関係付け 42
3節.MBH99 に用いられたデータの問題点 44
4節.マッキンタイアによる生データの収集と照合 45
D.MBH(98)の代替記録データ中に見出された問題点 47
1節.マンへのデータ請求 47
2節.ホッケースティック状データの欠如 49
3節.広域区分法と期間不足データ 50
4節.データ群に於けるコピーと貼り付け 54
5節.代替記録として用いられた温度測定データの改竄 56
6節.降水年代記データの身元不明 56
7節.公文書の新版の代わりに旧版の使用 58
E.マッキンタイアの結果とマンの結果との比較 58
1節.一広域の場合 58
2節.マンの計算法の推定 60
3節.推定されたマンの計算法と訂正されたデータによる温度再現 62

2部.マッキンタイアの二人組と科学界の対決
4章.発覚した偽装を論文発表 64
A.マッキンタイアらの論文発表 64
1節.マッキンタイア陣営 64
2節.マッキトリックと共に論文への書き換え 65
3節.論文の仕上げと雑誌の掲載 67
B.マンの代弁者からの反論とFTP サイト 69
1節.マンの代弁者からの反論 69
2節.マッキンタイアの返答 71
3節.FTP サイトの研究 72
C.マッキンタイアとマンの応酬 74
1節.不一致に対するマンの説明 74
2節.マッキンタイアらによる反撃 77
3節.マンへの新たな問い合わせ 78
5章.解明した偽装工作をネイチャー誌に投稿 79
A.マッキンタイアによる更なる研究 79
1節.継ぎ足す前のPCs の発見 79
2節.PC プログラムの発見 80
3節.短期平均標準化法がPC に及ぼす影響 82
B.ネイチャー誌に論文の提出 90
B1.論文の提出と査読結果 90
1節.論文の提出 90
2節.査読者からの改訂要請 92
B2.マンの応答内容 92
1節.マンの主張の概要 92
2節.五葉松の年輪 93
3節.マンが提案したPC 計算回避法 97
B3.査読意見 98
1節.統計学者による査読 98
2節.古気候学者による査読 99
B4.改訂論文の提出と査読意見 100
1節.ネイチャー誌編集者との遣り取り 100
2節.拒絶通知と査読意見 101
C.ネイチャー誌にマンの不足資料の請求 104
1節.1 回目の請求 104
2節.2 回目の請求とマンから拒否の返事 105
D.マンの不正行為とその弁解 106
1節.データの選別 106
2節.データの中世に近い開始部分の切り捨て 109
3節.2 度以上使用されている年代記 109
4節.旧版の使用 110
5節.PC 計算の変則化とデータの穴埋め 110
E.マンが作成した正誤表の掲載 111
1節.マンによる不完全な正誤表 111
2節.正誤表発行への道 113
3節.マンが作成した正誤表の掲載 115
F.マンの番犬によるその後の一幕 116
6章.別誌用2 論文に改訂増補 118
A.2 編の論文提出計画とポスター発表 118
B.GRL 誌への提出論文 119
1節.短期平均標準化法がPC 分析に及ぼす影響 119
2節.プライゼンドルファの規則N 121
3節.検定統計量 123
4節.統計上の有意な相関が無意味な場合 125
5節.マンへの検定統計データの請求 126
6節.有意かどうかを判別する評価基準 128
7節.マンの評価基準の検討 129
C.EE 誌への提出論文 130
1節.ガスペとNOAMER 130
2節.PC に於ける上下の反転 133
3節.ガスペとNOAMER が温度再現を支配する理由 134
4節.極めて重要な年代記の信頼性 136
D.論文の掲載予告 141
7章.ブログ合戦とマスコミ報道 142
A.発表前のブログ合戦 142
1節.マン陣営の“ 実態気候” の立ち上げ 142
2節.新しいメディア戦争 143
3節.“ 実態気候” 上でのマンによる攻撃 145
4節.マッキンタイアのブログ“ 気候監査” の新設 146
5節.両陣営の直接対決 147
B.発表後のマスコミ報道 148
1節.科学誌に掲載されたクロークの論文 148
2節.WSJ 誌に掲載された記事 151
3節.マッキンタイアの大々的な報道 152
8章.反論してきた4 論文を論破 155
A.MM05(GRL)への反論と応答 155
A1.シュトルヒとソリタ 155
A2.ヒュイバース 157
1節.概要 157
2節.SVD 法、共分散行列、及び相関行列 158
3節.全期平均標準化法に対するヒュイバースの誤解 162
4節.RE の評価基準は0 とのヒュイバースの主張 163
A3.リトソン 164
A4.アマンら 165
1節.アマンについて 165
2節.マッキンタイアらの講演直前に於けるアマンらの記者発表 165
3節.アマンらの論評(GRL) 166
4節.アマンらの論文(CC) 168
5節.GRL に於ける政変 170
B.2つの重要な出来事 172
1節.IPCC の引用文献の期限の切迫 172
2節.AGU の秋季会議(05)での発表 173
C.アマンらの2論文の復活に向けて 175
1節.論評(GRL)と論文(CC)の再出発 175
2節.GRL の改訂版への正式な応答 176
3節.論文(CC)と検定統計量 178
4節.論文(CC)の投稿後の経緯 178
5節.論文(CC2)の結論の有意性の説明 179

3部.世界の檜舞台での二人組の活躍
9章.ワシントンの2つの対立パネルでの発表 181
A.バートン議員の質問状とマン陣営の返答 181
1節.バートンが注目したこと 181
2節.バートンの質問状 182
3節.質問状に対する反応 183
4節.プログラムとデータについての返答 184
5節.検定統計量についての返答 186
B.対立する2 つのパネルの立ち上げ 188
1節.NAS パネルの立ち上げ 188
2節.バートンの反撃 190
C.NAS パネルの公聴会 191
C1.この学術団体 191
C2.講演と議論 191
1節.地層と氷河による温度再現 191
2節.データの開示拒否 192
3節.元データの選別 194
4節.年輪と温度との乖離問題 195
5節.五葉松 198
6節.検定統計量と信頼区間 198
7節.MBH と同一結果の論文の存在 200
C3.報告書 201
1節.マッキンタイアによる報告書の提出 201
2節.NAS パネルによる報告書 202
D.バートン陣営による調査 207
1節.ウェッグマン報告書 207
2節.バートン陣営の公聴会 210
E.幕間に起こった興味深いこと 214
1節.ゴアのグラフの出所 214
2節.リトソンの再挑戦 217
3節.パネルの即興演奏的討論 218
10 章.主流派の各種論文の監査 220
A.概説 220
B.ホッケースティックを示す各種論文の監査 222
B1.ジョーンズら(1998) 222
1節.概説 222
2節.ブリッファによる極地ウラル年輪年代記 224
3節.極地ウラルに代わるヤマール年輪年代記 229
4節.ブリッファによるトルネトラスク年輪年代記 230
B2.クローリー(2000) 233
1節.クローリーの2つの論文 233
2節.中世の温暖時期が一致しない年代記の調査 235
 2.1節.中国に於ける降雪日の記録 235
   2.2節.キリアンの年輪年代記 236
   2.3節.熱帯山岳のドゥンデ氷柱コアー 237
3節.計器測定温度で補完した温度再現 238
B3.エスパーの論文(2002) 239
1節.概要 239
2節.選別と論文の模倣 241
B4.ラザフォードらの論文(2005) 243
B5.モバーグ(2005) 245
1節.概説 245
2節.データ全般について 246
3節.中世の温暖期を引き下げた一部の代替記録 248
B6.オスボーンとブリッファ(2006) 249
1節.不適切な代替記録を用いた著名な論文 249
2節.未だに選別の実施 250
C.第三者によるMBH の批判 253
1節.ホッケースティックを示す各種論文の欠陥 253
2節.MBH の脆弱性を指摘した論文 253
   2.1節.ロエールの論文(2007) 253
   2.2節.ビルガーとキュバッシュの論文(2005) 257 
11 章.IPCC の報告書(2007)の査読 260
A.IPCC での査読方針とその実態 260
B.一次案の査読 262
1節.未発表データの請求 262
2節.一次案の査読意見の提出 264
C.一次草稿と一次案・査読意見集に基づく討論 265
1節.代替記録の信頼性について 265
2節.ホッケースティック捏造事件について 266
D.二次草稿の査読で分かった問題点 270
1節.一次草稿・査読意見集の非公開 270
2節.締切日に遅れた論文の引用 270
3節.差し替えられたヘガールらの論文 271
4節.ブリッファの新しい多重折れ線グラフ 272
5節.ホッケースティックについて 274
6節.乖離問題の回避 277
E.主筆者会議と新しい指針 278
F.報告書の発行 279
1節.政策作成者向けの要約版の発行 279
2節.作業部会Ⅰの報告書“ 物理科学の基礎” 281
12 章.IPCC による規定違反 285
A.アマンの論文に関して 285
1節.論文(CC2)の実情 285
2節.論評(GRL)から論文(CC3)への変更 285
3節.アマンの評価基準の算出法の出現 287
B.報告書の仕上げ作業に関係する情報の請求 289
1節.二次草稿・査読意見集が公開されるまでの経緯 289
2節.裏ルートでのアマンの寄稿の疑い 291
3節.気候監査の新会員による情報公開の請求 291
13 章.五葉松のデータ更新 296
1節.更新の遅れに対するマンの説明 296
2節.マッキンタイアによる年輪採取 298
3節.年輪データを更新したアバブネの博士論文 302
14 章.マンの新しい論文への反論 308
A.マッキンタイアらによる気候学への貢献 308
B.マンの新しい論文とそれへの反論 309
1節.新しい論文の発表 309
2節.マンの公表資料中の問題点 310
3節.論評提出に向けての徹底的調査 314
4節.論評の提出 316

4部.科学の堕落
15 章.「ホッケースティック」が意味すること 319
A.論文の査読と再現 319
1節.査読の歴史 320
2節.査読は何の為なのか 321
3節.健全な科学 323
B.地球温暖化仮説にとってのホッケースティック 327
1節.仮説について 327
2節.ホッケースティックの存在意義の有無 329
C.IPCC が販促品に利用したホッケースティック 330
1節.その影響の及んだ範囲 330
2節.我々への教訓 331
D.IPCC はホッケースティックだけが問題なのか 335
16 章.古気候学の大家によるデータ改竄 338
1節.ヤマールのブリッファ版 338
2節.タイミールのブリッファ(2008)版 341
3節.マッキンタイアによるヤマールの改訂版 343
17 章.気候研究の総元締から情報の流出 346
A.懐疑派の論文の出現への対処 346
1節.スーンとバリウナスのCR 論文(2003) 346
2節.マッキンタイアとマッキトリックのEE 論文(2003) 352
3節.マッキンタイアとマッキトリックのGRL 論文(2005) 358
B.中世の温暖期に関して 360
1節.“ 中世の温暖期の一掃” について 360
2節.中世の温暖期の存在について 362
C.報告書(2007)への最新論文の強引な引用 363
1節.ワールとアマンの論文と論評に対する特別待遇 363
2節.締切後のヘガール論文の受理 370
D.データの開示拒否について 371
1節.データの開示拒否について 371
2節.情報公開法の解釈とそれへの対策 372
3節.中間データの提出を拒否したサンテール 373
4節.データ提出の義務化について 375
5節.シュトルヒの主張 376
6節.マンから彼の仲間へのデータ提供 377
E.疑わしい年輪に対する見解 377
1節.五葉松について 377
2節.公開されたヤマールのデータ 379
F.報告書(2007)中でのホッケースティックについて 381
G.我々はどういう時代にいるのか 383

補遺.炭酸ガスの施肥効果の補正の実態解明 385
A.CO2 の施肥効果の補正値について 385
1節.補正の有無に関する意見の対立 385
2節.マンの説明とマッキンタイアによる実態解明 385
B.3 種類の補正値算出コード 393
1節.マッキンタイアによる発見 393
2節.シベリウスによる研究成果 393
C.中世からの勾配の調整 398
1節.補正前のグラフ 398
2節.段階的温度再現法について再確認 400
3節.3 種の補正値算出版を適用した結果の比較 403

年表と要約 408

Ammann とWahl の共著論文(CC,GRL)の経緯、
       及びIPCC が引用出来る論文の条件 426

前書きなど

 この本の原著が2011 年に出版された直ぐ後のことだが、本のタイトル(“Hockey Stick
Illusion”)、それに著者のモントフォード(Montford)と本文中のマッキンタイア(McIntyre)の略歴を見て、専門外の彼らに、地球温暖化に関して議論されている最重要問題が分かるのかと疑問に思った。しかし、マスコミ報道に反する彼らの結論は、宇宙気候学上の観測結果や、世界各地の研究機関の観測記録に一致しているので、この原著に興味を持ち直ぐに取寄せた。これを読んでみると、マッキンタイアの検証方法が極めて厳密で適切であることに驚嘆した。
 ところで、気候変動の分野でホッケースティックと言うのは、11 世紀から20 世紀末ま
での世界の平均気温を示したグラフの内、20 世紀直前迄のなだらかな低下傾向と、それ以
降の急激な上昇を示すもののことである。この様なグラフがそう呼ばれるのは、ホッケーの先端の曲がったスティック(棒)の形状に似ているからである。この様なグラフが多くのデータから得られたと最初に発表したのは、マイケル・マン(M. Mann)とその協力者達であった。そして、このグラフは、IPCC の報告書(2001)で大々的に採用され、その後、世界に広まったのである。
 このマンのグラフに疑問を抱いた人は、マッキンタイアだけでなく世界の各地に沢山居た。しかし、マッキンタイアは、疑問を抱くだけでなく、元になるマン達の論文を世界で初めて徹底的に調べ上げたのである。マンが用いたデータと、その元となった公文書館のデータを取り寄せ、両者の比較から間違いを見出したのである。そして、全てが最初から最後まで揃っていた訳ではないマンのデータでも処理出来たマンの非正規の統計処理法は、公開されなかったので、それを試行錯誤で見出したのである。その見出した処理法と訂正済みのデータを用いて計算をし直した結果、マンのホッケースティック--- 即ち、20 世紀の急激な温度上昇--- は得られず、20 世紀に勝る中世の温暖期が出現したのである。即ち、マンの非正規の統計処理法でも、正しいデータを用いれば、ホッケースティックは得られないことが示されたのである。
 マッキンタイアによる検証は、この様に厳密であるだけでなく、計算が難解であり、そ
の上、関連する物も含めると7 年にも及ぶ膨大なものであった。その為に、なかなか一般
の人がその全体像を理解し把握することは出来なかったのである。そこでモントフォードは、これらの内容を理解した一市民の義務として、彼自身が著書にまとめ上げることを決意し、検証の厳密性を崩さずに整理して一般の人にも分かり易いように解説し、更にそこに、現代の科学についての歴史的展望と、クライメートゲート事件での流出情報を加えたのである。
 翻って日本の現状を見てみると、“地球温暖化”と呼ばれる現象を多くの人々が誤解している傾向に有り、政府の地球温暖化対策も間違ったIPCC の報告書に基づいている。この様な現状にあるので、モントフォードの著書の翻訳が切に望まれた。その翻訳を買って出たのが青山洋氏であった。この度、その出版が遅まきながらも実現されることとなったのは喜ばしい限りである。        
 気候変動の分野だけでなく、科学全般について言えることであるが、私たちが或るテーマについて研究する場合、偏見を持ったり、ある意図を抱いたりして観測データを操作し、その偏見や意図につながるように結論を持って行くことは、厳に禁じられている。これは科学研究に於けるモラル(moral)に関わる重大な問題で、私たち全てが心しなければならないことである。この翻訳書を多くの方に見て頂き、科学者の守るべき義務とは何なのかについて、改めて考え直して頂けるきっかけとなれば大変有難いことである。
 最後に、翻訳者である青山洋氏の御努力に感謝したい。

著者プロフィール

桜井 邦朋  (サクライ クニトモ)  (監修

1933年埼玉県生まれ。現在、早稲田大学理工学術院総合研究所客員顧問研究員、横浜市民プラザ副会長、アメリカアラバマ州ハンツビル市名誉市民。1956 年京都大学理学部卒、理学博士。京都大学工学部助手、助教授、アメリカNASA 上級研究員、メリーランド大学教授を経て、神奈川大学工学部教授、同学部長、同学長を歴任。研究分野は高エネルギー宇宙物理学、太陽物理学。
著書:『移り気な太陽』(恒星社厚生閣)、『太陽-研究の最前線に立ちて』(サイエンス社)、『天体物理学の基礎』(地人書館)、『宇宙プラズマ物理学』(恒星社厚生閣)、『天文学を作った巨人たち』(中央公論新社)、『日本列島SOS』(小学館)、他100 冊余り。

青山 洋  (アオヤマ ヒロシ)  (

1944年兵庫県生まれ。技術翻訳家。1966年兵庫農科大学(現神戸大学農学部)農芸化学科卒業。塩水港精糖(株)で省エネ等の技術業務に携わる。情報処理1 種2 種、環境・一般計量士。
翻訳書:『省エネのためのピンチ解析法』(Linnhoff)(シーエムシー)、『“不機嫌な” 太陽』(Svensmark & Calder)(恒星社厚生閣)。食品工業誌掲載:宇宙気候学(Svensmark)(2 回)、結晶学入門(Phillips)(47)、検糖計の砂糖目盛の新しい基準値について、商取引の右側通行による等価交換と複式簿記(2)、多重効用缶とピンチ解析(12)。

上記内容は本書刊行時のものです。