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ガラスの蜂
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年12月12日
- 書店発売日
- 2019年12月12日
- 登録日
- 2019年11月1日
- 最終更新日
- 2019年12月23日
書評掲載情報
2020-03-14 |
図書新聞
3440号、3月21日号 評者: 糸瀬龍 |
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紹介
ドローンが赤く光った。
殺意か警告か――不気味な羽音とともに無数に湧きだす透明な〈幽体〉の軍団。
大戦敗北の屈辱に、ドイツ軍の精鋭が幻視した黙示録は、現代の恐怖となる。
2つの世界大戦を通して地獄を見たドイツ最高峰の知性「20世紀のゲーテ」が、およそ半世紀以上も前に《現代のディストピア》を幻視していた!
ユンガーは第一次大戦に出征、死屍累々の惨状からナチス台頭を予見し、第三帝国では森に隠遁して昆虫採集に明け暮れ、戦時はヒトラー暗殺計画の国防軍幹部に宛て極秘回覧文書を起草した。見るべきほどのことは見つ。戦後に洞察したのは恐るべきオートマトン(自動機械)の未来だった。
本書は「ガラスの蜂」全訳に、詳細な訳注(全269項目90ページ)、物語の背景や現代的意義を説く解説「ドローンはSeyn(存在)の羽音を鳴らす」を付す。
目次
ガラスの蜂 3
*
【訳注】 209
〈訳者解説〉ドローンはSeyn(存在)の羽音を鳴らす 299
前書きなど
【本書帯文より】
ユンガーのものを読むのははじめてです。大戦間期のドイツで「敗戦と近代化によってドイツが失ったもの=もう一度蘇らせるべきもの」に固執するユンガーの喪失感に力-ル・シュミットやマルチン・ハイデガーに通じるものを感じました。
モンテロン、ヴィットグレーヴエ、フィルモア、ローレンツといった軍人たちについて、わずかな行数で彼らの相貌をありありと現前させる「ポルトレ」の技にも驚かされました。
僕自身はこれまで大戦間期のフランス知識人のものを多く読んできましたけれど、ここまで濃密な身体性を持った同時代の書き手はフランス人作家には見出し難いと思います。ドイツ・ファシズムの感性的な淵源について、学ぶことが多かったです。
ぜひ多くの読者に送り届けて欲しいと思いました。
訳文もみごとでした。内田樹
上記内容は本書刊行時のものです。