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松下圭一 日本を変える
市民自治と分権の思想
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年11月
- 書店発売日
- 2014年11月7日
- 登録日
- 2014年10月15日
- 最終更新日
- 2021年7月7日
書評掲載情報
2014-12-07 |
毎日新聞
評者: 伊東光晴(京都大学名誉教授・経済学) |
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紹介
政治学者・松下圭一は、自治体と国家は対等であることを説き、自治体改革やシビル・ミニマムという言葉と理論を創造し、戦後の政治と社会を大きく変革した。また憲法は国家統治の道具ではなく、市民自治のためのものであると主張し、東大を頂点とする日本の法学界に衝撃を与えた。研究室をついに持たなかった、行動する政治学者・松下圭一の思想と行動の全貌を論じ、偏狭なナショナリズムを超えて、私たちが目指すべき市民政府の姿を明らかにする。
目次
まえがき
序 章 松下圭一とは
多面的な存在 強く現実に働きかける 私との半世紀にわたる関係 この時代に松下圭一を読むということ
第一章 出発まで
空襲と大地震 最初の論文「習慣について」 発禁本もあった「市民文庫」 「東大学生新聞」編集長として 『政治学事典』の編集会議
第二章 ロック研究
1 ロック思想の前提
最初の著作『市民政治理論の研究』 ルネサンスと宗教改革 ホッブズ、ロック、ルソーの社会契約論の展開
2 ロック研究――『市民政府論』を中心に
ロックの市民政治理論のエッセンス 『市民政府論』をめぐる三つの争点 自然状態における個人について 政府機構をどうつくるか 市民社会とは何か 自由・宗教・革命の関係
第三章 大衆社会論争から構造改革論へ
1 市民政治理論の現代的展開
ロックからベンサムへ 「市民社会」から「大衆社会」へ
2 大衆社会論争
大衆社会とは何か 五年以上続いた論争 「社会民主主義の危機」 上田耕一郎との論争 松下と上田の理論的射程の差
3 構造改革論に向かって
江田三郎との出会い 一九六〇年前後の政治状況 派閥抗争の激化と江田三郎の敗北 構造改革論とは何だったのか
第四章 自治体改革、シビル・ミニマム、都市政策
1 自治体改革と革新市長の群生
自治体はムラと変わらない 自治体改革の三原則・五課題 革新自治体の群生
2 シビル・ミニマム
美濃部都政のシビル・ミニマム計画 シビル・ミニマムの思想とは シビル・ミニマム計画の具体化 四〇年後の理論再編
3 都市政策の構築
都市構造の改革 新しい都市の新しい生活様式 都市化の歴史的考察 都市政策の科学的思考とビジョン 都市政策の思考方法の転換 自治体計画のつくり方 市民はどのように参加するか――「武蔵野方式」
第五章 市民自治の憲法理論
1 市民参加と法学的思考
時代錯誤の官治・集権型の憲法論 『憲法』違反の行政法学をどう変えるか 市民共和国をつくるために
2 戦後憲法学――その理論構成と破綻
「国民主権」の意味 シビル・ミニマムを『憲法』に活かす 地方公共団体から自治体へ 戦前を継承する戦後憲法学
3 憲法理論の再構築にむけて
憲法理論の八つの問題性
4 「整憲」の重要性
今もつづく時代錯誤の憲法学 自治体基本条例もまた憲法である
第六章 市民文化の可能性
1 〈市民〉的人間型
「市民」の歴史的意味と可能性 市民の自由と自発性
2 婦人問題への着目
新しい「婦人理論」の必要
3 市民参加、職員参加
集権的権威との対決 職員参加の理論構成
4 市民文化の可能性
行政に文化はつくれない 政治概念としての市民文化 市民文化の自律と水準
第七章 政策型思考と制度型思考
1 政策型思考とはなにか
雄大な構想 市民が政策形成するために
2 制度型思考の構造転換
政策法務の必要 自治体法務は自治体財務を要請する
3 基本条例と自治体再構築
不可欠な自治体基本条例 自治体再構築のために
第八章 市民法学の提起
1 官僚内閣制から国会内閣制へ
日本の政治の分水嶺 官僚法学転換のきざし 行政の驚くべき劣化 政治と行政の峻別 国会改革のための七つの提言
2 政治学と法学の分裂
なぜ講壇法学に陥るのか 市民法学を生むために
終 章 成熟と洗練――日本再構築に向けて
独自の思索はいかにして生まれたか 救いはあるか
確かな希望
私の仕事 松下圭一
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。