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質的心理学研究 第17号 2018/No.17 日本質的心理学会(編) - 新曜社
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質的心理学研究 第17号 2018/No.17 特集 レジリエンス

発行:新曜社
B5判
256ページ
並製
価格 3,000円+税
ISBN
978-4-7885-1555-0
Cコード
C1011
教養 単行本 心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2018年3月
書店発売日
登録日
2018年2月20日
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紹介

◆多様なレジリエンスを読み解く
  厳しい現実に人びとはどのように向き合い、乗り越えてゆくのか――。近年の社会情勢に呼応するように、レジリエンス研究が急速に発展しています。研究領域の拡大とともに概念の捉え方も多岐にわたり、レジリエンスを「回復力」といった個人の特質に帰する見方がある一方で、環境との相互作用過程と捉えた研究も数多く行われるようになってきました。本特集では、異なるアプローチからの挑戦的な論考3本を掲載。書評特集では、概念の広がりとともにわかりづらくなったと言われるレジリエンスを6名の評者が読み解きます。その他、魅力的な一般論文8本を収録。

目次

質的心理学ハンドブック 目次
巻頭言 永田素彦 スタンダードを超えて

 特集:レジリエンス
(責任編集委員:松嶋秀明・伊藤哲司)

■安藤成菜・松本光太郎
「ろう者の行動・生活実践」に「立ち会う聴者」の観点から探るろう文化と聴文化
■花嶋裕久
ひきこもりの息子をもつ親の体験プロセス
  ─ひきこもりへ移行してから危機的状況を脱するまで
■平野真理・綾城初穂・能登眸・今泉加奈江
投影法から見るレジリエンスの多様性
  ─回復への志向性という観点

 一般論文

■渡辺恒夫
他者になる夢の現象学的解明
  ─フッサール志向性論に基づく主題分析
■上原美穂
外国籍生徒の学校適応と進路選択
  ─日系人青年の語りから
■中川善典・桑名あすか
民芸・民具の作り手のライフ・ストーリー研究
  ─高知県芸西村の竹の子笠を事例として
■香川七海
教室において生活のリアリティを問うということ
  ─テレビドラマ『鈴木先生』の映像分析を事例として
■大瀧玲子
成人期にある知的障害を伴わない発達障害者のきょうだいの体験に関する一考察
  ─ある姉妹の「羅生門」的な語りの分析からきょうだいの多様性を捉える試み
■水谷亜由美
幼児はいかに友達と食べ物を分かち合うか
  ─「森のようちえん」のお弁当場面にみる食の自律性
■浅井亜紀子
職業アイデンティティ・ショックと対処方略
  ─来日インドネシア人看護師候補者の自己をめぐる意味の再編過程
■横山草介
「意味の行為」とは何であったか?
  ─J. S. ブルーナーと精神の混乱と修復のダイナミズム

 BOOK REVIEW

■《書評特集》? レジリエンス
「レジリエンス」ってなんでしょう?(松嶋秀明)

「心」の問題にとどまらないレジリエンス概念の広がりを(評:伊藤哲司)
  枝廣淳子(著)『レジリエンスとは何か─何があっても折れないこころ,暮らし,地域,社会をつくる』
非行からの立ち直りにリジリエンスはどう作用するのか(評:河野荘子)
  S. T. ハウザー・J. P. アレン・E. ゴールデン(著),仁平説子・仁平義明(訳)
  『ナラティヴから読み解くリジリエンス─危機的状況から回復した「67分の9」の少年少女の物語』
悲嘆を科学する(評:川野健治)
  G. A. ボナーノ(著),高橋祥友(監訳)『リジリエンス─喪失と悲嘆についての新たな視点』
ある若手医師のリジリアンス(評:小森康永)
  F. モラン(著),改田明子(訳)『がんサバイバー─ある若手医師のがん闘病記』
万華鏡の光と陰(評:矢守克也)
  清水美香(著)・山口和也(写真・絵)『協働知創造のレジリエンス─隙間をデザイン』
しなやかな復活力(評:やまだようこ)
  A. ゾッリ・A. M. ヒーリー(著),須川綾子(訳)
    『レジリエンス 復活力─あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何』

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表紙デザイン 臼井新太郎

前書きなど

質的心理学研究 第17号 巻頭言

スタンダードを超えて
  2017年9月に首都大学東京で開催された日本質的心理学会第14回大会で,「質的研究評価基準への展望─『Sage質的研究キット』とAPAにおける議論を手がかりに─」というシンポジウムが行われた。“APAにおける議論”というのは,アメリカ心理学会(APA)がついに2014年から質的研究の専門学術誌「質的心理学」(Qualitative Psychology)の刊行を始めたが,それに伴って質的研究の評価基準を整備しようという動向を指しており,その後「アメリカン・サイコロジスト」(American Psychologist)の2018年1月号に20ページ超におよぶ詳細な評価基準が掲載された(ちなみに同誌の同じ号には,心理学における量的研究の評価基準も掲載されている)。

 このようなスタンダードが登場したことは,質的研究の裾野が拡大を続けていることの表れであり,意義深いことである。これまで以上に質的研究を体系的に学ぶ(あるいは,教える)手引きにもなるだろう。しかしスタンダードを満たせばただちによい研究になるかといえば,そういうわけでもない。

 質的心理学は,まだそのような呼称をもたない黎明期から,既存のスタンダードに抗い,その枠を広げ,創意工夫を凝らして自由に研究をすることに価値を置いていたように思う。そのような姿勢が,数多くの独創的な論文を生み出してきた。もちろんスタンダードは無用だとか,それを無視しろと主張したいわけではない。しかしこれだけ質的心理学の裾野が広がりスタンダードができたからこそ,そのスタンダードの枠を広げ,超えるような挑戦を続ける『質的心理学研究』でありたいと願っている。

 独創的で挑戦的な論文の投稿をこころからお待ちしています。

編集委員長  永田素彦

上記内容は本書刊行時のものです。