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ワードマップ 現代現象学 経験から始める哲学入門

植村 玄輝(著/文 | 編集), 八重樫 徹(著/文 | 編集), 吉川 孝(著/文 | 編集), 富山 豊(著/文), 森 功次(著/文)
発行:新曜社

四六判   328頁  並製
価格 2,600円+税

ISBN 978-4-7885-1532-1   C1010

奥付の初版発行年月 2017年8月
書店発売日 2017年8月14日
登録日 2017年7月20日

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紹介

◆ふたたびフッサールとともに
 現象学とは、この世界のなかでさまざまな対象に関わる私たちの「経験」を分析し、世界と私たち双方を理解しようとする試みです。いまここの経験を重視する方法論については、存在・価値とは何か、いかなる人生が善いのかといった?哲学の問い?には答えられないとする偏った理解もなされてきました。しかし今、これらの古典的かつ現代的な哲学の難問に取り組む現象学の洞察が再評価されています。本書は、実際に哲学の難問を相手取り、難解とされる現象学の手法を実演しつつ考察する柔らかな入門書です。世界と自分とを理解するため、豊饒な経験の海に漕ぎだす「現象学の旅」へ一緒に出てみませんか。

目次

ワードマップ 現代現象学 目次
まえがき


第1部 基本編

第1章 現代現象学とは何か

  1-1 現象学の特徴

  1-2 出発点としての経験

  1-3 動物実験と現象学の意義

  1-4 現代現象学のもくろみ

第2章 経験の分類

  2-1 経験の現象学的な分類とは何か

  2-2 知覚からはじめる経験の分類

第3章 経験の志向性と一人称性

  3-1 経験の基本的特徴を問うとはどういうことか

  3-2 経験の志向性

  3-3 経験の一人称性


第2部 応用編

第4章 志向性

  4-1 思考と真理

  4-2 意味と経験

    コラム フッサールのノエマ概念

第5章 存在

  5-1 実在論と観念論

  5-2 心身問題

第6章 価値

  6-1 価値と価値判断

  6-2 道徳

    コラム 現象学とケア

第7章 芸術

  7-1 音楽作品の存在論

  7-2 美的経験、美的判断

    コラム 現象学者たちの芸術論

第8章 社会

  8-1 他人の心

  8-2 約束

    コラム 社会の現象学

第9章 人生

  9-1 人生の意味

  9-2 哲学者の生

あとがき

現代現象学をさらに学ぶための文献案内

索引

装幀=加藤光太郎

前書きなど

ワードマップ 現代現象学 まえがき
 現象学とは何か。フッサールの最初期の著作から半世紀も経ってなおこんな問いを発せねばならぬとは、いかにも奇妙なことに思えるかもしれない。それにもかかわらず、この問いはまだまだ解決からはほど遠いのだ。(M・メルロー=ポンティ『知覚の現象学1』竹内芳郎・小木貞孝訳、みすず書房、一九六七年、一頁。)

 メルロ=ポンティがこのように書いてからすでに七〇年以上の歳月が流れたが、「現象学とは何か」は、あいかわらず簡単に答えることができない問題であり続けている。こうした事情の一因は、フッサールによる創始以来、現象学がつねに拡張または拡散を繰り返してきたことにあるだろう。「事象そのものへ!」をモットーとする現象学には、論じられる事象と同じだけ可能性がある。実際、これまでさまざまな学問が現象学の観点・方法を取り込んでおり、『~の現象学』というタイトルの本は枚挙に暇がない。このようにさまざまな展開に対して開かれていることは、間違いなく現象学の魅力の一つである。だが、狭い意味での哲学のなかに収まらない現象学の柔軟さばかりに目をやると、現象学はそもそもどのような哲学なのかということは、ますます掴みどころのないものになってしまうようにみえる。

 こうした状況に一石を投じるべく書かれたのが本書である。現象学は哲学として生まれ、哲学の問いに取り組んできた。本書はそのような哲学としての現象学を現代に蘇らせようする試みであり、現象学を通じて哲学に入門するための手引きである。したがって、フッサールをはじめとした古典的な現象学者の注釈・解釈を目的にはしていない。また、心理学、社会学、教育学、考古学などの人間を対象とする個別科学に方法論として組み込まれているかぎりでの現象学も、さしあたり本書の主題ではない。本書のタイトル「現代現象学」は、現代哲学のなかに現象学を再び位置づけようとする意図をあらわしている。もちろん、これとは別の方針のさまざまな「現代現象学」の可能性が成立しており、本書の立場からもそれらは歓迎されるかもしれない。しかし、執筆者たちは、現代の現象学はさしあたり本書のようなスタイルが望ましいと考え、その姿をなるべくはっきりと描き出してみた。

 本書は、第1部・基本編と第2部・応用編という大きく二つの部分に分かれている。現象学を通じての哲学への入門という本書の目的に応じて、基本編と応用編はそれなりに独立しており、それぞれ異なる役割を担っている。


 第1部・基本編……現象学的哲学の基本的な発想や概念の解説

 第2部・応用編……哲学の諸問題に対する現象学からのアプローチの試み

  
 基本編(第1章 現代現象学とは何か、第2章 経験の現象学的な分類とは何か、第3章 経験の志向性と一人称性)では、現象学的哲学の基本となる事柄を解説する。したがって、現象学についての基本的な知識を必要とする人は、まずは基本編に目を通していただきたい。

 応用編(第4章 志向性、第5章 存在、第6章 価値、第7章 芸術、第8章 社会、第9章 人生)は、哲学の諸問題をあつかう。これらは、哲学の伝統のなかで重要とされてきたテーマの一部であり、現代においてもなお議論されている。本書は、現象学的立場からの哲学へのアプローチとして、あえて伝統的な哲学の諸問題を引き受ける。哲学の諸問題のそれぞれに関心がある人は、応用編から読み始めていただいてもかまわない。応用編のそれぞれの章は独立しており、どの章から読み進めても、理解するのに差し支えない。また、応用編の各章は、たとえば第4章が【4―1 思考と真理】と【4―2 意味と経験】というように、前半と後半との二つの項に分かれている。これらの項もそれぞれがそれなりに独立した内容になっており、どのように読むかについては読者に委ねられている。

 本書は、過去の哲学書の注釈や解説を目的としているわけではないが、フッサールを中心とする古典的な現象学的哲学のテキストを読むときに参考にできるような工夫が施されている(本書の注において、本文の論述と現象学的哲学の主要著作との関連を示すようにしている)。哲学者の書いた文章が、どのような問題や議論のなかを動いているかを知ることは、その哲学者のテキストの読解において大きな意味をもつだろう。哲学の問題や議論をふまえることなしに、哲学書を読むことはできない。

 本書は、通常の現象学の入門書の冒頭で紹介される「現象学的還元」「形相的還元」などの方法にはほとんど言及しない。というのも、方法論から話を始めると議論が抽象的になりがちであるし、手段と目的の関係が転倒してしまうことにもなりかねないからである。泳ぎを覚えるには、座学から始めるのではなく、まず水に入って体を動かしてみるのがよい。本書の目的は、あくまでも哲学の問いを考察することであり、問うべき主題から切り離した現象学の方法をそれ単独で明らかにすることではない。現象学のアプローチの特徴――長所だけでなく短所も含めて――は、さまざまな哲学の問題の考察を通じて示されることになるであろう。

 本書は、現象学的哲学のみならず、哲学一般への入門書を企図して書かれた。本書にこれまでの現象学の入門書とは異なる傾向があるとすれば、問題への志向、特に伝統的な哲学の問題への強い志向によるものであろう。この新しい試みはしかし、現象学をつくりあげた哲学者たちが伝統的な問題を自ら新たに考えようとした人々だったことを考えるなら、正統な現象学を取り戻そうとする試みでもある。本書を通じて、読者が現象学そのものに親しみ、自ら哲学するようになることを願う。

執筆者一同

上記内容は本書刊行時のものです。