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インプロをすべての教室へ キャリー ロブマン(著) - 新曜社
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インプロをすべての教室へ 学びを革新する即興ゲーム・ガイド

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発行:新曜社
A5判
232ページ
並製
価格 2,100円+税
ISBN
978-4-7885-1481-2   COPY
ISBN 13
9784788514812   COPY
ISBN 10h
4-7885-1481-8   COPY
ISBN 10
4788514818   COPY
出版者記号
7885   COPY
Cコード
C1037  
1:教養 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
20105
書店発売日
登録日
2016年4月28日
最終更新日
2016年10月17日
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紹介

◆子どもがぐんぐん伸びる即興ゲーム集
 子どもの学力をどう向上させるか、先生方は日々心を砕いています。教壇から授業するだけでは、いくら工夫をしても限界があります。いま先端的な企業では、イノベーションをもたらす「集団的知性」が合い言葉になっています。教室も同じです。子どもたち全員を巻き込んだ、集団的な学びが重要なのです。それを可能にするのが、即興的にパフォーマンスするインプロゲームです。インプロは、いまでは企業でも活用されるようになってきましたが、本書は、さまざまな教科を創造的に学ぶ、教室で使うために周到にデザインされたインプロゲームを100以上も載せています。そして、ふさわしい学年レベル、かかる時間、必要な道具が示され、評価、学級の安全、特別支援の必要な子など、教師が直面する問題にも配慮されています。これからの学校で、教師が座右において活用する本です。

目次

インプロをすべての教室へ 目次
序  文
まえがき
謝  辞

1章 インプロと学習――なぜ学級でインプロを?
   人間とはインプロする存在
   インプロって何?
   やり方を知らないことをする
   ヴィゴツキーと発達の最近接領域
   学習とインプロ
   誰もがパフォーマー
   環境とは何か?
   グループとは何か?
   インプロ実践家としての教師

2章 インプロとは何か? その方法は?
   インプロの基本原則
     オファーを提供し、受け取ること
     否定しないこと
     アンサンブルを良く見せること
     「はい、そして」
   舞台と小道具をインプロする
     「はい、そして」みんなでつくる物語
   活動の選択
   観客パフォーマンス
   安全の責任は誰にあるか?
   活動の・ミ介
     ヒント
     声かけ
     発展
     振り返り
   インプロのスキルと用語を(他の)授業に持ち込む
   評価
   全員でインプロを行なう
     恥ずかしがる子、嫌がる子
     障がいのある子
   インプロ用語集

3章 アンサンブルをつくる
   グループづくりのスキルをみがく
   感情の発達
   準備
    ユニゾンによる活動
     音ボール
     ピン!ポン!パン!
     ヒュー!
     パルス送信
     シンクロ手拍子
     鏡
     マー
     どこまで数えられるかな?
     私の歌、みんなの歌
     みんなでフリーズ
     はい、~しようよ
     何してるの?
     集団彫刻
     機械をつくろう
     静止画
     リモコン
   感情と遊ぶ活動
     叫んでみよう
     ジェスチャー
     感情/運動
     表情パス
     感情旅行
     感情コーチ
     感情鍋
     感情オーケストラ
     お邪魔虫ゲーム
     楽観/悲観

4章 話す・聞く・読む・書くをインプロする
   言語学習
   読み手や書き手としてパフォーマンスする
   アンサンブル活動としての読み書き
   読む、書く、話す、聞くを結びつける
   言語を創造する
   いつでも即興で読み書きする
     「はい、そして」みんなでつくる物語と、
     「はい、そして」を使ったその他の発展
     「昔々……おしまい」
     「ごめん、◯◯って言った?」
     なまイラスト
     1分間おとぎ話
     作家登場
     ほにゃ、ほにゃ、ほにゃ……
     どどんパ!どん!どん!どん!
     デタラメうた
     この意味、なあんだ?
     頭をそろえて
     おおげさ上等
     もう一回、読んで
     嘘八百
     おもしろ作文
     インプロ俳句
     みんなで綴ろう
     前置詞体操
     これ何だって?
     聖徳太子
     舞台監督
     ばかげたディベート
     案内所

5章 算数をインプロする
   遊びとしての算数
   算数の言語
   算数のパフォーマンスを創造する
   算数的な会話をインプロする
     算数オタク系女子/男子
     正確奉行
     エモい算数
     「ごめん、別の説明は?」
     算数用語ゲーム
     数学的「はい、そして」
     生活に現れた文章問題
     即興文章問題
     私たちは正方形
     彫刻をつくろう
     人間釣り合い
     ぎゅうづめ
     半分時間
     一日の時間
     共通性発見
     グループお手玉
     仲良しクマさん
     混ざれ!
     パターンダンス
     大慌て(並べ替えゲーム)
     位取りゲーム
     奇数か偶数か
     算数マラソン
     算数三昧
     ピン!ポン!パン!(算数バージョン)

6章 教科学習におけるインプロ
   理科と社会科のパフォーマンス
   あなたの未来をパフォーマンスしよう
   意味のつくり手としてパフォーマンスすること
   即興と知識
   この章の構成
   教科学習全般における活動
     私たちみんな……
     ごちゃまぜ文章
     抽選箱
     空気の読めないやつ
     説得
     聖徳太子(教科学習版)
     みんなで旅行ガイド
     三つ頭の専門家
     何でも売っちゃうぞ
     社会科の活動
     愛しの仲間
     職業
     タイムスリップ
     もし~だったら?(歴史バージョン)
     文通
     ボロクソ・ベタボメ
     活人画
     パーティー
     歴史バス
     過去からの訪問者
     トークショー
     二人羽織
     理科の活動
     三つの変化
     生態系
     国境
     雨音
     心臓の音
     私は木
     宝袋
     変身
     電話網
     降っても晴れても
     スライドショー

7章 もっと進んだシーンワーク
       幼い子の教師のための注意書き
  上演してみよう!
     最悪!
     もし~だったら?(シーンワーク・バージョン)
     フリーズ
     何でもハップン
     秘密の単語
     座って、立って、ひざまずいて
     スローモーション・オリンピック
     見えないサッカー

訳者あとがき
インプロゲーム和英対照表
レベル別インプロゲーム一覧
対象学年別インプロゲーム一覧
別の教科でも使えるインプロゲーム一覧
文献

装幀=新曜社デザイン室

前書きなど

インプロをすべての教室へ 序文
 創造性は21世紀の合い言葉になっています。ニューヨークタイムズのコラムニストで『フラット化する世界』の著者トーマス・フリードマンや『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』のダニエル・ピンク等のベストセラー作家は、創造的な人々と創造的な社会がトップに立つような、以前とはまったく違うグローバル経済を描いています。『クリエイティブ資本論』のリチャード・フロリダは、今日の経済における創造的な事業の特徴を調べて、最もイノべーションが起きるであろう国や地域の、カギとなる特徴について述べています。

 最近、ワシントンの識者と大企業重役たちがサミットを催し、2つの影響力のある報告書を発刊しました。2005年に、米国競争力協議会は『米国を革新する』を発刊し、今ひとつの影響力のある団体ビジネスラウンドテーブルは『米国のポテンシャリティーの放出――イノベーションのための教育イニシアチブ』を発刊しました。2つの報告者は、すべての米国の大企業CEOと大学総長にイノベーション問題の重要性を突きつけることになりました。その結果、法制化にはいたらなかったものの、超党派の上院議員団が「国家イノベーション法2005」(上院第2109号議案)と呼ばれる議案を上程しました。

 これらの、非常に目立つ報告書や議会審議に欠けているのは、誰もが認めると思いますが、これらを可能にするとても重要なリンクである、教育者の声です。子どもの創造性を育てる学級や活動をつくれるのは、教師だけなのです。創造性教育を奨励したり、ものすごく新しいメソッドを支援できるように、学校を変えられるのは、管理職だけなのです。米国の「落ちこぼれゼロ法」で課される、出たとこ勝負のようなテストを改め、創造性をほったらかしにしないようにできるのは、教育委員会や教育局だけなのです。テストで事実の記憶と手続きの暗記だけを測るとしたら、学校と教員が教室で創造性を扱う余地などまったく・ネくなるのです。

 創造性の学校を建てるための一番確実な方法は、パフォーマンスアートを参考にすることだと考えます。そもそも、教育はずっとパフォーマンスに喩えられてきました。教員は教室前方で「舞台の上に」に立ち、観客という子どもたちに向かいます。授業計画と教科書は、パフォーマンスのための「台本」です。教師は授業の「リハーサル」をします。役者である教師は、観客の子どもたちの注意を引きつけるために、セリフのきっかけ、板についた振る舞い、喝采などを大事に使います。これらの比喩が表しているのは、教師にとっても大事なスキルである、立ち居振る舞い、発声、声の調子、動き、そしてタイミングです。それでも、パフォーマンスとしての教育という比喩は重大な問題をはらんでいます。教師が一人芝居の役者で、台本を読んでいるだけでは、子どもたちは受動的な、見ているだけの観客となってしまいます。

 今あなたが手にしている本書で、キャリー・ロブマンとマシュー・ルンドクゥイストがこの問題への解決法を提案しています。教えることはインプロによる即興的パフォーマンスであると考えてみてください。インプロする教師がクラスの子どもたちとやりとりし、応答するのです。授業の流れは予測不可能なものとなり、むしろ教師も子どもたちも同じように参加しての全員のアクションから生まれてくるのです。子どもたちは、座って一人芝居の教師を受け身で見ているのではなく、パフォーマンスの創造的参加者となるのです。この本は、即興的な学級を創造しようとする教師に、はっきりとした、具体的なアドバイスを与えるのです。

 インプロについて知っておくべき一番重要なことは、それがアンサンブルで行なうアートだということです。台本なしで、事前にどうするか話しあいもなしで、数人の俳優が舞台に上がります。1時間から2時間くらい、登場人物のキャラ、互いの関係、話の筋、ありそうな会話をつくりあげて、観客を楽しませるのです。俳優は誰一人として制限されません。かわりに、俳優たちはグループの知恵を信頼するように、そして会話の流れから予期できない、予測不能な関係の変化や話の筋のねじれが起こることも受け入れるように、訓練されるのです。

 「集団的知性」とか「集合知」は、今日のインターネットコミュニティーの合い言葉になっています。一番熱い会社は、ソーシャルネットワークサイトであり、数千の人々が友人や同僚とリンクするのを可能にして・「ます(MySpaceやFacebookやLinkedIn)。DelichiousやGoogle等のサイトは、私たちが必要とする情報を的確に見つけるのを助けるのに集団的知性を利用しています。今日の経済におけるイノベーションは、どれもが協同的活動であり、これが私たち教師が、子どもの創造性を生みだすために、協同的な創造性を涵養しようとしている理由なのです。インプロは、ただ劇場にある、目立たないジャンルではないのです。それは集団的知性を何よりも代表するものなのです。

 本書で、ロブマンとルンドクゥイストは、困難な課題をやり遂げました。2人は、教師のための、読みやすいハンドブックを書き上げました。2人が述べるように、本書は「インプロのマニュアル」です。ここ数十年の間、俳優のためにインプロの練習やゲームに関する参考書が多数出版されてきました。しかし、そういう本は教師には役に立ちません。というのも、そういう参考書は、劇場での経験を前提に書かれており、学習を促進するために特別にデザインされていないからです。本書は、教員たちが教室の自分の机の上においておきたくなる参考書です。グループの信頼やグループの心をつくるような、とても一般的なインプロの練習から始まり、さまざまな教科内容に特有のものに広がっていきます。読み書き、算数、社会科、そして理科へと広がります。プロの俳優とは違って、本書のゲームは、観客のいる舞台向けではなく、教室で使うためにデザインされています。著者は、どのゲームにも、ふさわしい学年レベルと、かかる時間、必要な道具を示しています。ロブマンとルンドクゥイストが、自分の学級でもたくさんやってみた経験があるのは明らかです。2人は、評価、学級の安全、特別支援の必要な子など、教師が日々直面する問題にも注意深く触れています。

 同時にこの本は、しっかりとした、最新の研究と理論にもとづいています。インプロはアートまがいの浮ついた活動ではないのです。それは今日のイノベーション経済で成功するのに本当に必要な協同するスキルの中核を、子どもたちに教えるポテンシャリティーをもっています。私自身、学問的著作で、インプロをとおして、教えることが理解でき、教えることを即興することができるようになると論じています(Sawyer, 2004; 2006)。そしてロブマンとルンドクゥイストは、どんな教師にも通じる言葉で、このようなアプローチを追求しているのです。

 必要とされ、学問的にも揺るぎなく、何よりも教・tにとって助けとなる本書を書いた、キャリー・ロブマンとマシュー・ルンドクゥイストを賞賛します。

            ――R. キース・ソーヤー、ワシントン大学(セントルイス)

上記内容は本書刊行時のものです。