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価値生理学序論 田中 健滋(著) - 青弓社
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価値生理学序論 (カチセイリガクジョロン) 坂口安吾、太宰治、亀井勝一郎を読み解くことから (サカグチアンゴ ダザイオサム カメイカツイチロウヲヨミトクコトカラ)

文芸
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発行:青弓社
A5判
縦216mm 横154mm 厚さ40mm
重さ 1055g
720ページ
上製
定価 6,000円+税
ISBN
978-4-7872-9250-6   COPY
ISBN 13
9784787292506   COPY
ISBN 10h
4-7872-9250-1   COPY
ISBN 10
4787292501   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年12月25日
書店発売日
登録日
2019年10月29日
最終更新日
2020年6月15日
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紹介

似た境遇で同時期に活躍した著述家3人の作品から他者との関わり方とその結果生じるストレスの耐性の差異を読み解いて、人には生理的に規定される価値観があることを推論する。さらにカントや村上春樹をも対象にして時代を超えた価値観の3類型を提示する。

目次

はじめに

第1部 坂口安吾と太宰治と亀井勝一郎

第1章 青少年期までの亀井勝一郎と坂口安吾
 1 亀井勝一郎の軌跡
 2 青少年期までの軌跡から推定される亀井勝一郎の特性
 3 坂口安吾の軌跡
 4 青少年期までの軌跡からわかる安吾の諸特性

第2章 青少年期までの二人の軌跡からの「対人ストレス耐性」の導入
 1 「対人ストレス耐性」の導入
 2 「対システムストレス耐性」の導入
 3 対人ストレス耐性から推定される人生の軌跡

第3章 対人ストレス耐性大である亀井
 1 亀井が対人ストレス耐性大と推定されること――主に二十代前半までの軌跡から 
 2 亀井の青年期以降の対人ストレス耐性大としての軌跡
 3 対人ストレス耐性大である亀井勝一郎

第4章 対人ストレス耐性小か無である安吾
 1 安吾は対人ストレス耐性小か無と推定――主に二十代前半までの軌跡から
 2 青年期以降の安吾の軌跡――対人ストレス耐性小か無の軌跡
 3 安吾の理念性――対人ストレス耐性小か無の無理念性あるいは弱小理念と強大理念否定
 4 安吾のアナーキスト性――対人ストレス耐性小か無
 5 安吾の現実主義(反理想主義)――対人ストレス耐性小か無
 6 安吾の社会運動性小か無――対人ストレス耐性小か無
 7 安吾の信仰性小か無、祈り親和性小か無
 8 安吾の歴史・伝統・文化意識小か無、死後の名誉・業績評価小か無――対人ストレス耐性小か無
 9 安吾は対人ストレス耐性小か無

第5章 太宰の生い立ちと青春期まで――対人ストレス耐性中と推定
 1 対人ストレス耐性中――太宰の登場
 2 太宰の幼少期からの成長体験
 3 太宰の青年期までの軌跡
 4 大理念(「大きな物語」)であるマルクス主義への太宰の反応
 5 青年期までの外形的・内面的軌跡から、太宰は「対人ストレス耐性中」と推定

第6章 「対人ストレス耐性中」についての一般論
 1 対人ストレス耐性中に適合的な「他存在を信じる強度中」である「信頼」「信義」
 2 対人ストレス耐性中が準拠する「中集団」
 3 対人ストレス耐性中の「中理念」
 4 「対人ストレス中」と「対人ストレス耐性中」
 5 対人ストレス耐性中での罪責性認識大、罪責性認定中、罪責性意識中
 6 対人ストレス耐性中での信仰性中、祈り親和性中
 7 対人ストレス耐性中での連帯性中、社会運動性中
 8 対人ストレス耐性中での歴史・伝統・文化意識中、死後の名誉・業績評価中
 9 対人ストレス耐性中の特徴のまとめ

第7章 青年期以降の太宰の軌跡――対人ストレス耐性中
 1 大理念(「大きな物語」)・大東亜共栄圏思想への反応――中理念、中集団側性、連帯性中
 2 太宰は中集団側――対人ストレス耐性中
 3 太宰の「他存在を信じる強度中」である「信頼」「信義」そして「友情」「同情」「人情」の重要視――対人ストレス耐性中
 4 太宰の中理念性――「準強理念性」「中間原理」、「相反価値止揚理念性」と「折衷主義」:対人ストレス耐性中
 5 太宰の罪責性認識大、罪責性認定中、罪責性意識中と、「人間(対人ストレス耐性中)失格」
 6 太宰の信仰性中と祈り親和性中
 7 太宰は連帯性中、社会運動性中
 8 太宰の歴史・伝統・文化意識中、死後の名誉・業績評価中
 9 対人ストレス耐性中である太宰のまとめ

第8章 亀井、太宰、安吾の相互批評――対人ストレス耐性大/中/小か無の相互批評
 1 相互批評の生理
 2 太宰と亀井の相互批評
 3 太宰と安吾の相互批評
 4 亀井と安吾の直接的ではない相互批評
 5 対人ストレス耐性大/中/小か無からの相互批評のまとめ

第2部 世界へそして現代へ

第1章 「価値生理学」序論――「対人ストレス耐性三類型論」がもつ意義
 1 「対人ストレス耐性三類型論」とは
 2 「対人ストレス耐性三類型論」の意義

第2章 「対人ストレス耐性三類型論」の応用――日本近現代文学
 1 対人ストレス耐性大だろう夏目漱石
 2 対人ストレス耐性小か無だろう遠藤周作
 3 対人ストレス耐性大だろう大江健三郎
 4 対人ストレス耐性小か無だろう村上春樹

第3章 「対人ストレス耐性三類型論」の応用――世界の哲学、思想
 1 対人ストレス耐性大だろうカント
 2 対人ストレス耐性中だろうヘーゲル
 3 対人ストレス耐性小か無だろうニーチェ
 4 対人ストレス耐性によって規定される哲学内容
 5 対人ストレス耐性大だろうマルクス

第4章 「対人ストレス耐性三類型論」の応用――現代日本の哲学、思想
 1 対人ストレス耐性小か無だろう中島義道
 2 対人ストレス耐性中だろう小林よしのり
 3 対人ストレス耐性小か無だろう古市憲寿

第5章 「価値生理学」序論――「対人ストレス耐性三類型論」のまとめ
 1 第1部のまとめ――対人ストレス耐性大の亀井勝一郎、対人ストレス耐性中の太宰治、そして対人ストレス耐性小か無の坂口安吾
 2 第2部のまとめ

あとがき

版元から一言

「常に仲間と夢を追うタイプだ」「1人で過ごすほうが落ち着く」。好みや性格までを左右する価値観は当然ながら人によって異なる。それは育った時代や環境によって経験的に培われる。――しかし、もしその価値観が人に生まれつき備わっていて、生理的に規定されていると考えるとしたら、作品の読み方も変わってくる。

同時期にともに日本の北方の富裕な家庭に生まれた坂口安吾、太宰治、亀井勝一郎の3人に焦点を当てて、マルクス主義運動や第2次世界大戦などの時代背景も踏まえながら、それぞれの思想や主張を丁寧に整理していくと、彼らの価値観のなかに基準があることが見えてくる。

社会での人との関わり方とその結果生じるストレスに対する生理的な耐性というものから、人間の価値観の3つの類型を推論し、そのタイプによって価値意識や価値判断が異なることを明らかにする。さらに、カント、ニーチェから大江健三郎、村上春樹など古今東西の思想家・著述家をも対象にして、その3類型が時代や環境を超えて見て取れることを明らかにしていく。

人々の分断が叫ばれる現代社会で、あらためて人間の価値観とは何かを考えさせる重厚な一冊。

著者プロフィール

田中 健滋  (タナカ ケンジ)  (

1953年、北海道生まれ。精神科医、前電気通信大学教授。専攻は精神医学。著書に『日本人の利益獲得方法』(新曜社)、『統合的分裂病病態論――精神病理学と生物学的精神医学の統合的理解』(創造出版)、共著に『大学生のための「健康」論――健康・運動・スポーツの基礎知識』(道和書院)、『分裂病症状をめぐって』(星和書店)、『第5回読売論壇新人賞入選論文集‘99』(読売新聞社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。