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〈色盲〉と近代 馬場 靖人(著) - 青弓社
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〈色盲〉と近代 (シキモウトキンダイ) 十九世紀における色彩秩序の再編成 (ジュウキュウセイキニオケルシキサイチツジョノサイヘンセイ)

芸術
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発行:青弓社
A5判
縦216mm 横152mm 厚さ24mm
重さ 503g
320ページ
上製
定価 4,000円+税
ISBN
978-4-7872-7429-8   COPY
ISBN 13
9784787274298   COPY
ISBN 10h
4-7872-7429-5   COPY
ISBN 10
4787274295   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C1370  
1:教養 3:全集・双書 70:芸術総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年2月27日
書店発売日
登録日
2020年1月7日
最終更新日
2021年4月2日
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紹介

18世紀末から19世紀末までの近代ヨーロッパと20世紀前半の日本における〈色盲〉という概念の形成や色覚検査器具の開発の歴史をたどる。近代的な〈色盲〉概念の系譜を明らかにして、きたるべき「色覚多様性社会」の構想をも指し示す画期的な成果。

目次

はじめに

序 章 視覚玩具としての石原表――色盲の両義性
 1 〈できる/できない〉の配分体制
 2 石原表の両義性――〈できる/できない〉の転倒
 3 石原表の「起源」――十九世紀の生理学と色盲
 4 石原表の遊戯性
 5 色盲者の〈昼〉と〈夜〉

第1部 「青」の時代――色盲の前近代

第1章 ジョン・ドルトンの「青」――色盲者の言語の発明
 1 ドルトン以前の色盲
 2 ドルトンによる色盲の観察報告
 3 「青」の過剰――色盲者の言語の発明

第2章 ゲーテの「青」――色盲者の色世界の可視化
 1 ゲーテと「青色盲」
 2 ゲーテの色盲観察法
 3 「青」の欠如
 4 『色彩論』における「青」と「青色盲」の位置
 5 ロマン主義の「青」

第3章 シャルル・メリヨンの〈青〉――色盲者の記憶の寓意
 1 ベンヤミンのまなざしを通してメリヨンを見る
 2 色盲の病跡学
 3 地層化する記憶
 4 〈青〉の消失と色盲の近代の夜明け

第2部 十九世紀における色彩秩序の再編成――知覚と言語の弁証法

第4章 色盲の「名」をめぐる論争――DaltonismeとColour Blindness

第5章 ショーペンハウアーにおけるカント哲学の生理学化――「経験的=超越論的二重体」としての色盲者の誕生
 1 ショーペンハウアーによるカント哲学の生理学化
 2 ショーペンハウアーの色盲論
 3 ショーペンハウアーと生理学の発展

第6章 ヘルムホルツ対ヘリング――生理学的な「原色」の探究
 1 生理学における色盲への関心の増大
 2 ヤング=ヘルムホルツ説とヘリング説の対立
 3 次世代への矛盾の継承

第7章 ラーゲルルンダ列車事故の衝撃――ホルムグレンの方法をめぐって
 1 ラーゲルルンダ列車事故とホルムグレン羊毛法
 2 「現行信号システム」の正当化
 3 「ラーゲルルンダ伝説」の再検証
 4 ホルムグレンの「ペテン」

第8章 カント主義の哲学者としてのシュティリング――知覚と言語の対立から仮性同色表へ
 1 ヘルムホルツ対ヘリング論争におけるシュティリングの立ち位置
 2 シュティリングのカント主義的色盲論
 3 シュティリング表の誕生――文字と色彩の綜合

第3部 石原表と「近代」のほころび

第9章 石原忍体制の成立――戦時科学と色盲
 1 ヘルムホルツ説とヘリング説の「綜合」
 2 戦時下の規律と三つの身体モデル
 3 『日本人の眼』における色盲の位置
 4 総動員体制と職業制限の崩壊
 5 新国字研究と「健康上完全無欠な眼」

第10章 いかにして色盲を「治療」するか――「補正練習法」と規律の技法
 1 「色盲治癒言説」の回帰
 2 精神から身体へ――「練習」の布置の変遷
 3 補正練習法の空間構造

第11章 石原表のゲシュタルト崩壊――石原体制の内破
 1 「数字の流動」の経験から出発して
 2 石原表の中心化/脱中心化
 3 草間彌生の水玉、石原表の色班、新印象派の絵具
 4 世界の色を塗り替える

終 章 色盲者の言葉を取り戻すために
 1 色彩の流謫と帰還
 2 色盲者が「飛ぶ方法」

参考文献一覧

あとがき

事項索引

人名索引

版元から一言

一般的には「異常」や「障害」としてネガティブにとらえられがちな〈色盲〉。だが、そういったイメージは「近代」によって作られたものにすぎなかった――。

ドルトン、ゲーテ、メリヨン、ブルースター、ショーペンハウアー、ヘルムホルツ、ヘリング、スーラ、ホルムグレン、シュティリング、そして石原忍……。18世紀末から19世紀末までの近代ヨーロッパと20世紀前半の日本で〈色盲〉という概念の形成や色覚検査器具の開発に関わった有名無名の哲学者、芸術家、科学者たちの言説を渉猟することによって、現代の私たちが知るものとはまったく異なる〈色盲〉の姿を浮かび上がらせる。

哲学・医学・生理学・社会学・芸術学・メディア論など、様々な領域にまたがる豊富な資料を横断的に読解しながら、きたるべき「色覚多様性社会」の構想をも視野に収めた画期的な成果。

著者プロフィール

馬場 靖人  (ババ ヤスヒト)  (

早稲田大学総合人文科学研究センター招聘研究員、博士(文学)。専攻は科学思想史、メディア論、視覚文化論。論文に「「経験的=超越論的二重体」としての色盲者――J・シュティリングのカント主義的生理学と仮性同色表」(「表象・メディア研究」第9号)、「いかにして色盲を「治療」するか? ――「補正練習法」について」(「社会学年誌」第57号)など。

上記内容は本書刊行時のものです。