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表現のエチカ 桂 英史(著) - 青弓社
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表現のエチカ (ヒョウゲンノエチカ) 芸術の社会的な実践を考えるために (ゲイジュツノシャカイテキナジッセンヲカンガエルタメニ)

芸術
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発行:青弓社
四六判
縦194mm 横131mm 厚さ24mm
重さ 385g
320ページ
上製
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-7872-7427-4   COPY
ISBN 13
9784787274274   COPY
ISBN 10h
4-7872-7427-9   COPY
ISBN 10
4787274279   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0070  
0:一般 0:単行本 70:芸術総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年1月27日
書店発売日
登録日
2019年11月15日
最終更新日
2020年6月15日
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紹介

芸術家は、なぜ、自らの表現を発表することで社会に何かを伝えようとしたり、表現を歴史化しようとしたりするのか。「行為の芸術」としてのインターメディアを出発点として、同時代芸術で発揮されているさまざまな表現の実践を、エチカ=倫理の観点から論じる。

目次

序 章 芸術実践論の条件
 社会
 お金
 歴史
 倫理学

第1章 表現衝動と社会実践
 歌うドイツ人
 教養としての芸術
 個人の道具化
 近代社会での「社会との相互作用に基づく芸術」
 構想される「新しいパブリック」
 前衛芸術と社会的実践
 都市の矛盾に応答するアート
 「キッズ・オブ・サバイバル」
 アートは「絆」や「つながり」のためにあるのではない
 表現衝動の行き場
 自己理想を読み取らせる
 公共圏の倫理
 不平等な公共圏
 ヘゲモニーとしての国宝
 闘争の回路としての検閲
 社会的実践は「合意」によってつくられるのか
 「ディセンサス」という想像力の刷新
 「現れ(appearance)の空間」としての芸術
 「倫理的な公共圏」としての同時代芸術
 搾取される「市民」や「地域」
 社会的実践が存続する条件

第2章 資本主義リアリズム
 レクチャー・パフォーマンス
 市場化と情報化
 「わかる」を問うこと
 間主観性と教育劇
 時間を奪還せよ
 あえて「前衛」を再インストールする
 挑発(provocation)のゆくえ
 アートが社会を搾取するとき
 「これはパフォーマンスではない」
 「批判的であること」に失敗すること
 「関係」を伝えるということ
 「戸惑い」や「混乱」の正体
 プロトコルとしてのパーティー(communal celebration)
 なぜ「お高くとまっている」のか
 「敵対性」と「参加」
 受容者実験というアートフォーム
 リアリズムの背景
 「分けること」の実践
 倫理という帰納的推論
 資本主義リアリズムとしての芸術実践

第3章 路上の倫理学
 都市の祝祭性
 顕示的な消費財としての芸術
 「一瞬の裂け目」としての同時代
 疎外論とユートピア主義が生んだ芸術運動
 ユートピアは夢想家の妄想ではない
 あらゆる専門家が職業化していく
 「何を表現するのか」あるいは「何を表現しなければならないか」
 風景という倫理
 手続きの消費者
 プロジェクトをめぐる哲学
 コミットメントという衝動
 メディア化する祝祭
 道徳と倫理
 侵犯の技芸
 嫌悪の正体
 「多くの人々」の暴力性
 生け贄にされる表現
 「一瞬の裂け目」をつくりだす
 遊びをせんとや生まれけり

第4章 ポスト・アーカイヴ型アーキテクチャをめぐって
 棚の論理というアーキテクチャ
 個人アーカイヴ
 主題アーカイヴ
 機関アーカイヴ
 コールド・ストレージの資本論
 世界は洞窟でつくられる
 世界のつくりかた
 イザベラ・デステの明るい洞窟
 壁面という支持体
 アーカイヴ型アーキテクチャ
 自然は機械によってつくられた
 複製技術と記憶術
 「アトム―ビット―人間」
 知のパラダイムとしての情報
 ビットウエアの超越性

第5章 歓待のゲーム
 クレーマーおじさん
 錯綜する「寛容と不寛容」
 『カレーの市民』
 善の構想
 ロダンのメタ・モニュメント
 平和祈念像
 記憶に「正しさ」はあるのか
 浦上燔祭説
 そして「おじさん」が座っている
 「おじさん」の彫刻は何を表象しているのか
 「パラ」の政治学
 台座が語る寛容
 寛容の芸術史について
 多様性について
 社会を造形する
 寛容を丸呑みする「お金」
 芸術は拡張されたか
 トリックスターとしての芸術家
 「五歳のママ」
 芸術ゲームの倫理的転回
 侵入者の超越性
 「ゾレン sollen」の芸術実践

あとがき

版元から一言

芸術家は、なぜ、自らの表現を発表することで社会に何かを知らせようとしたり、自らの表現を歴史化しようとするのか。
いまや世界中で一般的になっているインスタレーション、ミックスドメディア、パフォーマンス、インプロビゼーションなどの現代芸術特有の表現形態、さらにはトリエンナーレや芸術祭などのプロジェクト型の芸術活動なども、「行為の芸術」としてのインターメディアという考え方を基本にしている。いわゆる現代美術は、「行為の芸術」の社会実験としての役割を果たしてきた。だからこそ、政治、経済、科学技術、福祉あるいは環境とも関わらざるをえない。

本書は、「行為の芸術」としてのインターメディアを出発点として、「芸術とは何か」「芸術が存在する世界とは何か」という問いと向き合った論考である。とりわけ、同時代芸術で発揮されているさまざまな表現の実践を、エチカ=倫理の観点から論じる。

著者プロフィール

桂 英史  (カツラ エイシ)  (

1959年、長崎県生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科教授。図書館情報大学大学院修士課程修了。ピッツバーグ大学客員研究員、東京造形大学造形学部助教授、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科助教授などを経て現職。専攻はメディア論、芸術実践論、図書館情報学。著書に『人間交際術――コミュニティ・デザインのための情報学入門』(平凡社)、『東京ディズニーランドの神話学』『メディア論的思考――端末市民の連帯意識とその深層』(ともに青弓社)、『インタラクティヴ・マインド――近代図書館からコンピュータ・ネットワークへ』(岩波書店)、『図書館建築の図像学』(INAX)、監修に『美しい知の遺産 世界の図書館』(河出書房新社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。