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近代アジアの映画産業 笹川 慶子(著) - 青弓社
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近代アジアの映画産業 (キンダイアジアノエイガサンギョウ)

芸術
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発行:青弓社
A5判
縦216mm 横152mm 厚さ38mm
重さ 600g
648ページ
上製
定価 8,000円+税
ISBN
978-4-7872-7413-7   COPY
ISBN 13
9784787274137   COPY
ISBN 10h
4-7872-7413-9   COPY
ISBN 10
4787274139   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0074  
0:一般 0:単行本 74:演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年7月
書店発売日
登録日
2018年6月4日
最終更新日
2020年6月15日
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書評掲載情報

2018-08-25 朝日新聞  朝刊
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紹介

欧州とアメリカの映画がアジアの国や地域でどのように広まり、相互に関係し合いながら土着の文化をどう変容させたのか。配給と興行を焦点に、19世紀末から20世紀初頭の実情を多角的に調査・分析し、多種多様なアジア市場の変容を複層的・俯瞰的に読み直す。

目次

はじめに

序 章 ユニバーサル映画のアジア展開――トム・D・コクレンとアジア
 1 トム・D・コクレンの軌跡
 2 ユニバーサル社とアジア市場の開拓

第1部 大阪映画産業の誕生とアジア――帝国キネマ演芸

第1章 日本映画史のなかの大阪――阪東妻三郎と大阪映画産業
 1 阪妻と京都――阪妻というスターイメージの形成
 2 阪妻プロの成立と大阪との関係
 3 阪妻プロの発展と大阪
 4 映画の文化地理学――よりローカルな映画史の地平に向けて

第2章 大阪映画文化の誕生とその変遷――都市の変容と映画館
 1 大阪における映画興行の始まり――舶来の見せ物としての映画装置
 2 映画館の誕生と繁華街の変容――千日前
 3 地域による映画文化の違い――道頓堀と新世界
 4 急増する映画館と映画文化の変容
 5 新たな消費モードの台頭
 参考資料 大阪・千日前界隈の映画館(一九〇七―二六年)

第3章 山川吉太郎と帝国キネマ演芸
 1 帝国キネマ演芸とは
 2 帝キネのルーツ――大阪映画産業の誕生
 3 帝キネの挑戦――日本映画の新しい波と帝キネ
 4 関東大震災と帝キネ――日本の三大メジャーへの飛躍
 5 帝キネの混乱と絶頂
 6 松竹の侵略と帝キネの抵抗
 7 帝キネの終焉

第4章 京城での帝国キネマ演芸の興亡――朝鮮映画産業と帝国日本の映画興行
 1 京城での日本映画市場の形成と発展
 2 南村での帝国キネマの興亡

第5章 帝国キネマ演芸と台湾――京城との比較において
 1 日本での台湾映画興行記録とその問題点
 2 台湾での台湾映画興行記録の混乱――芳野亭/芳乃亭/芳乃館
 3 台湾初の映画館――芳野亭と芳乃亭の関係
 4 芳乃亭と西日本映画供給網
 5 芳乃亭(芳乃館)の帝キネ映画興行
 6 植民地での帝キネ映画興行――台北と京城比較
 参考資料 台北・芳乃亭(芳乃館)興行記録(一九二四年三月―五月)

第2部 横浜での映画産業とアメリカ――大正活映

第1章 大正活映の興亡と大正末期の日本映画産業
 1 大正活映を映画製作面から再検討する
 2 大正活映の創設目的とその背景
 3 大正活映の映画輸入とその配給と興行
 4 競争的興行と映画興行権――売買か賃貸か、それとも興行権か
 5 松竹との提携――企業合同と特約システムの関係
 6 大正活映の残党と外国映画のセカンドラン
 参考資料 大正活映直営・浅草千代田館の上映記録(一九二〇年六月十二日―二二年七月十八日)

第2章 東洋汽船の映画事業参入と近代日本――東洋フィルム会社の創設
 1 東洋フィルム会社とは
 2 大隈重信とハリウッド
 3 渋沢栄一とハリウッド

第3章 二十世紀初頭の世界流通変動とアメリカ映画のアジア市場開拓
 1 イギリス海運とアジア市場のアメリカ映画
 2 アメリカ商務省から見たアジア映画市場とアジアでのアメリカ映画
 3 アメリカの世界映画市場開拓――雄鶏からアジア市場を奪回せよ
 4 辛亥革命と見えないライバル――中国市場をめぐる日米の競合
 5 日本映画市場の開放性と排他性
 6 第一次世界大戦と世界映画流通の大変動
 7 アメリカ映画のアジア市場制覇と日本の地政学的位置
 8 アジア映画市場と東洋汽船

第4章 ベンジャミン・ブロツキーと環太平洋映画交渉――アメリカ、中国、日本
 1 ブロツキー、太平洋を渡って中国へ行く
 2 ブロツキーは映画をアジアへどう運んだのか――船内上映と東洋汽船
 3 中国でのブロツキーの映画興行とその観客
 4 紀行映画『経過中国』のアメリカ興行
 5 ブロツキー、太平洋を渡って日本へ行く

第5章 ベンジャミン・ブロツキーが製作した二つの紀行映画
 1 『経過中国』(一九一二―一五年製作)
 2 『ビューティフル・ジャパン』(一九一七―一八年製作)

第3部 近代アジアでの欧米日の映画産業の興亡

第1章 シンガポール映画市場でのパテ社の進出と日本
 1 シンガポールでの映画興行の始まりと歴史叙述の問題
 2 シンガポール映画興行街の形成と播磨勝太郎
 3 アジア映画配給のグローバル化とシンガポール、そして日本

第2章 パテ社のマニラ進出とマニラ映画文化の変容
 1 マニラ映画興行史探求
 2 パテ社のマニラ進出と世界映画配給網
 3 パテ社進出直前のマニラ映画興行
 4 パテ社のマニラ進出と映画館の開場ラッシュ

第3章 マニラ映画市場での欧米の葛藤――アメリカ映画の台頭
 1 マニラの映画館開場ラッシュとすみ分け
 2 欧州中心の世界映画配給網とマニラ
 3 マニラでのアメリカ映画の台頭

第4章 アメリカ/上海から見る中国映画市場
 1 二十世紀初頭のアジア映画市場とパテ社
 2 アメリカ商務省の報告に見る中国映画市場の様相
 3 グローバル化しローカル化する中国市場――上海を事例として

第5章 アジア映画市場と日本映画――大東亜共栄圏での日本映画輸出
 1 音楽映画というジャンル
 2 日中戦争と音楽映画――大切なのは対国外よりも対国内
 3 大東亜戦争と音楽映画――内地から南方へ、そして内地へ

第6章 フィリピンでの日米映画競争――日比合作映画『あの旗を撃て』の幻影
 1 大東亜映画と南方映画工作――日米映画戦でのフィリピンの重要性
 2 フィリピン映画産業と日本が目指したもの
 3 『あの旗を撃て』の製作と興行
 参考資料 マニラ市の映画会社および映画館一覧(一九三九―四〇年)

主要参照文献

おわりに

版元から一言

アジアの映画産業はどのようにして形成されてきたのか。

本書では、映画制作ではなく、欧州とアメリカの映画がアジアの国や地域でどのように広まり、相互に関係し合って、土着の文化をどう変容させたのか、配給と興行に焦点を当てて、19世紀末から20世紀初頭にしぼってさまざまな方向から調査・分析する。それによって、多種多様なアジア市場の変容を複層的かつ俯瞰的に読み直す。

第1部で大阪、ソウル、台北、第2部で横浜、香港、アメリカ、第3部でシンガポール、マニラ、上海、日本などアジア環太平洋地域の都市を例にあげて、アジア映画市場の複雑な変容のダイナミズムを捉える。さらに、マクロな視点から、ロンドンやニューヨーク、サンフランシスコといった地球規模の映画流通の網目で、アジアと欧州、アジアとアメリカ、そしてアジア内部の関係を重層的に捉え直す。

映画がアジアでどのように流通してどう変化し、アジアにどのような文化変容を引き起こしたのか。多数の珍しい図版を加えて、黎明期をあざやかに照らし出す。

著者プロフィール

笹川 慶子  (ササガワ ケイコ)  (

早稲田大学文学部助手を経て2006年に関西大学赴任。17年に関西大学で博士号取得。関西大学大阪都市遺産研究センター研究員(2010―15年)、早稲田大学演劇博物館招聘研究員(2012年―)、ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員(2013―14年)。専攻は映画史、とくに日本映画産業史、アジア映画交渉史、映画流通史。著書に『明治・大正 大阪映画文化の誕生――「ローカル」な映画史の地平にむけて』(関西大学大阪都市遺産研究センター)、編著に『公益財団法人三菱財団助成研究 日本映画雑誌所在調査報告書』上・下、共著に『東洋汽船と映画』(関西大学出版部)、“The Reception of American Cinema in Japan,” Oxford Research Encyclopedia of Literature (Oxford University Press)、『観客へのアプローチ』(森話社)、共訳にデイヴィッド・ボードウェル/クリスティン・トンプソン『フィルム・アート――映画芸術入門』(名古屋大学出版会)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。