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多文化共生の実験室 髙谷 幸(編著) - 青弓社
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多文化共生の実験室 (タブンカキョウセイノジッケンシツ) 大阪から考える (オオサカカラカンガエル)

社会一般
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発行:青弓社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ19mm
重さ 363g
304ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7872-3504-6   COPY
ISBN 13
9784787235046   COPY
ISBN 10h
4-7872-3504-4   COPY
ISBN 10
4787235044   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年3月28日
書店発売日
登録日
2022年2月18日
最終更新日
2022年4月30日
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紹介

大阪で民族的マイノリティを支える教育や制度、その担い手に光を当て、「反差別」や「人権」という対抗的な理念に基づき共生を目指す実践としてそれらを再評価する。大阪の先駆的な取り組みから、全国で進められる多文化共生を批判的に分析する。

目次

まえがき 髙谷 幸

第1部 教育の実践

第1章 大阪の多文化共生教育――公立学校の外国人教育研究組織に着目して 榎井 縁
 1 在日朝鮮人教育論の起源――日教組教育研究全国集会で扱われた「民族」言説
 2 大阪の公立学校での外国人教育問題の顕在化
 3 大阪市での外国人教育研究組織の成立
 4 教育運動の変動期と府外教の設立
 5 府外教の中心概念としての「ちがいを豊かさに」と「多文化共生教育」
 6 多文化共生の日本語教育
 7 高校進路保障への取り組み

第2章 共に生きる「仲間」を目指して――大阪府豊中市の「進路保障」を事例に 安岡健一
 1 大阪府豊中市という教育の場
 2 豊中市の「進路保障」運動
 3 「生き方」としての進路――「地元育成」と「進路公開」

第3章 紐帯はどのようにして育まれたか――大阪市中央区での多文化家族支援の実践から 原 めぐみ
 1 多文化な繁華街・大阪ミナミ
 2 組織内の紐帯の形成
 3 外部との橋渡し機能
 4 コロナ禍で発揮される「弱い紐帯の強さ」

第4章 教育分野での人権運動・政策の変化――多文化共生をめぐる歴史的・社会的背景 髙田一宏
 1 同和教育の課題
 2 同和教育の展開――一九九〇年代始めまで
 3 同和教育から人権教育へ――一九九〇年代後半から二〇〇〇年代前半にかけて
 4 人権教育の動揺――二〇〇〇年代後半以降

コラム1 「民族のほこりと自覚」をもって生きるから「自分のルーツを肯定し、ありのままに生きる」へ 朴洋幸

コラム2 朝鮮学校無償化裁判で何が問われたか 丹羽雅雄

第2部 実践の担い手

第5章 多文化共生を牽引する在日コリアンの教育実践運動の役割――いま生かされつつある「民族学級」というアイデア 金光敏
 1 ニューカマーの子どものそばで
 2 民族学級の現場の声を韓国政府に届けて
 3 ブラジル学校の支援から見えてきた日本社会のいま
 4 外国人学校支援
 5 ブラジルの子どもたちとの運命的な出会い
 6 民族学級というアイデア
 7 「多文化共生」を語る筆者の思いと戸惑い

第6章 無条件の生の肯定 ラボルテ雅樹/稲葉奈々子
 1 通り過ぎていっただけの社会運動
 2 「多文化教室的なもの」がなかった時代
 3 進学
 4 社会に対して声を上げる権利
 5 従順な労働者を製造する工場のような大学への疑問
 6 大学中退
 7 原発いらない八尾市民の会
 8 生存権を取り戻す
 9 ルーツ=名乗りたい名前を名乗る権利
 10 フィリピン
 11 ユニオンぼちぼち
 12 とよなか国際交流協会
 13 「いま、ここ」での無条件の生の肯定

第7章 アクティビストの不正義感覚と運動ネットワーク 髙谷 幸
 1 アクティビストの不正義感覚・運動ネットワーク・制度
 2 アクティビストの不正義感覚

コラム3 社会の疑問や怒りを「共生」のエネルギーに変えるカフェcomm cafe 岩城あすか

コラム4 マジョリティも問題解決の当事者だ!――「みんなで住民投票!」の問いかけ 小野潤子

第3部 理念/規範的考察

第8章 公正を重視する大阪の公教育理念 志水宏吉
 1 ルーツ――同和教育・解放教育
 2 在日外国人教育――展開1
 3 障害児教育――展開2
 4 大阪の教育を貫くもの
 5 変化の兆し

第9章 承認の観点からみた大阪の民族学級 河村倫哉
 1 承認をめぐるこれまでの議論
 2 民族学級の歴史と現在
 3 ほかの外国人生徒に対する教育との統合について
 4 本名を名乗ることについて
 5 日本人の参加について

第10章 民主的実践としてのシティズンシップと多文化共生 遠藤知子
 1 民主主義と公正な社会
 2 フレイザーの三次元的正義と「代表」の位置づけ
 3 民主的実践としてのシティズンシップと多文化共生
 4 民主的実践としての多文化共生の意義

第11章 反ヘイトと多文化共生――大阪市と川崎市の比較を通じて 樋口直人
 1 移民政策の先進都市の復活?――問題の所在
 2 多文化共生と傍観者的態度――「訓練された無能力」の現在
 3 反ヘイトでの多文化共生の位置――大阪市と川崎市の場合
 4 川崎の反ヘイトと多文化共生
 5 鶏肋としての多文化共生を超えて――結語にかえて

コラム5 コロナ禍で見えてきた外国人労働者の生活実態 勝部麗子

あとがき 髙谷 幸

版元から一言

近年、行政を中心に「多文化共生」が叫ばれるが、歴史的にマイノリティ集住地域である大阪の多様な実践は、大阪独自のものとして見過ごされてきた。大阪での先駆的な取り組みや歴史ある営みから、今日的な共生のあり方にどのような示唆を得ることができるだろうか。

民族教室など母語/母文化を重視するとともに進路保障にも力を入れる公教育、同和教育の実践と蓄積、民族的マイノリティの権利保障を目指す運動、外国人住民への支援、ヘイトスピーチ対策――大阪で民族的マイノリティを支える教育や制度、その担い手に光を当て、「反差別」や「人権」という対抗的な理念に基づき共生を目指す実践としてそれらを再評価する。

近年の大阪の諸政策に見る民族的マイノリティへの差別的な側面など、大阪の共生をめぐる現実が抱える問題点も指摘して、「多文化共生の実験室」といえる大阪の様々な営みから、全国レベルで進められる多文化共生を批判的に検証する視点を浮き彫りにする。

著者プロフィール

髙谷 幸  (タカヤ サチ)  (編著

東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専攻は社会学、移民研究。著書に『追放と抵抗のポリティクス』(ナカニシヤ出版)、編著に『移民政策とは何か』(人文書院)、共著に『多様性との対話』(青弓社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。