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女性と闘争
雑誌「女人芸術」と一九三〇年前後の文化生産
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年5月28日
- 書店発売日
- 2019年5月28日
- 登録日
- 2019年4月9日
- 最終更新日
- 2020年6月15日
紹介
1928年から32年まで発行された雑誌「女人芸術」に集結した女性知識人やプロ・アマを問わない表現者に光を当て、彼女たちの自己表現、階級闘争、フェミニズムとの複雑な関係を浮き彫りにする。そして、女性の闘争主体/文化生産者としての一面を明らかにする。
目次
はじめに 飯田祐子/中谷いずみ/笹尾佳代
第1部 左翼思想とジェンダー
第1章 階級闘争におけるセクシュアリティ――女性闘士たちと「愛情の問題」 中谷いずみ
1 無産者解放運動と女性解放
2 「貞操」をめぐるレトリック
3 “個人的なことは政治的なことである”
コラム 洋モス争議と「女人芸術」 中谷いずみ
第2章 女性解放と恋愛至上主義との間――大正・昭和期のコロンタイ言説の受容 呉佩珍
1 大正・昭和期の女性解放運動思潮――女性解放運動と「恋愛至上主義」
2 「コロンタイズム」論争――ブルジョア階級?、それとも無産階級?
3 プロレタリア文学のなかの「コロンタイズム」――高群逸枝の「黒い恋」と徳永直の「『赤い恋』以上」
コラム 一九三〇年前後の台湾の女性雑誌 張文聰
第3章 社会主義運動とモダンガール――韓国近代長篇小説の様式のある秘密 李恵鈴[相川拓也訳]
1 韓国文学研究での近代性言説の浮上と社会主義
2 一九三〇年前後の植民地朝鮮の社会主義運動と長篇小説
3 植民地モダニティ、恋愛/結婚、モダンガール
4 モダンガールと社会主義者の遭遇
コラム 一九三〇年前後の韓国の女性雑誌 孫知延
第4章 闘争の発熱――「女人芸術」のアナボル論争 飯田祐子
1 「女人芸術」のアナボル論争
2 女たちのアナボル論争
3 アナとボル、水平性と垂直性
4 発熱する女の言葉
コラム 「女人芸術」の同時代評 加島正浩
第2部 交渉する表現主体とジェンダー
第5章 目覚めの途上にあること――「女人芸術」の文学作品にみる闘争の周縁 笹尾佳代
1 知識人女性のプロレタリア文芸雑誌であること
2 覚醒の物語
3 「女人芸術」における「芸術」の位相
4 自己変革の物語
5 運動の周縁/共闘の困難
コラム 「女人芸術」の読者共同体 笹尾佳代
第6章 「女人芸術」のインターセクショナリティ――階級・エスニシティ・性意識と「女人芸術」のフェミニズム サラ・フレデリック
1 交差性
2 「女人芸術」の交差性
3 「自伝的恋愛小説号」――「女人芸術」一九二九年三月号
4 中本たか子「赤」――「女人芸術」一九二九年一月号
5 大田洋子「聖母のゐる黄昏」――「女人芸術」一九二九年六月号
コラム 「女人芸術」と外部 飯田祐子
第7章 “閨秀作家”凌叔華の一九三〇年代――戦時下のセクシュアリティと創作 星野幸代
1 戦前日本で好まれた凌叔華
2 武漢での凌叔華とジュリアン・ベル
3 陥落前夜の武漢における作家・凌叔華
4 ヴァージニア・ウルフとの文通
コラム 一九三〇年前後の中国の女性雑誌 楊佳嘉
第8章 「女人芸術」創刊から廃刊、そして「輝ク」 尾形明子
1 「女人芸術」創刊
2 「女人芸術」の時代
3 「女人芸術」はどうしてやめたか
4 「輝ク」を検証するために
コラム 内なる娼婦差別を描き出すこと――若杉鳥子「古鏡」の深淵 林 葉子
版元から一言
モダニズムと左翼思想が隆盛する一方、恐慌や戦争によって不安定な時代に突入した1930年前後。男性の知識人や表現者の活動がこれまで注目されてきたが、同時代の女性たちもまた、多様な闘いの声を上げていた。
1928年から32年まで発行された雑誌「女人芸術」に集結した女性知識人やプロ・アマを問わない表現者に光を当て、彼女たちの自己表現、階級闘争、フェミニズムとの複雑な関係を浮き彫りにする。
東アジアにおける展開も視野に入れ、文学・批評・論争などの文化実践、また政治運動における表現活動をとおして、女性の闘争主体/文化生産者としての一面を明らかにする。
上記内容は本書刊行時のものです。