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〈焼跡〉の戦後空間論 逆井 聡人(著) - 青弓社
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〈焼跡〉の戦後空間論 (ヤケアトノセンゴクウカンロン)

歴史・地理
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発行:青弓社
四六判
縦194mm 横150mm 厚さ23mm
重さ 380g
356ページ
上製
定価 3,400円+税
ISBN
978-4-7872-3439-1   COPY
ISBN 13
9784787234391   COPY
ISBN 10h
4-7872-3439-0   COPY
ISBN 10
4787234390   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年7月31日
書店発売日
登録日
2018年6月14日
最終更新日
2020年6月15日
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書評掲載情報

2018-10-28 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 福間良明(立命館大学教授)
2018-10-13 日本経済新聞  朝刊
評者: マイク・モラスキー(日本文化研究者)
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紹介

焼跡や闇市を表象する小説や映画、批評を検証することを通して、私たちがもつ戦後日本という歴史認識や国土イメージをあぶり出す。「戦後日本」という枠組みから「冷戦期日本」という歴史認識へのパラダイムシフトを提起する挑発的な日本論。

目次

はじめに

序 章 〈焼跡〉・〈闇市〉を問い直す
 1 戦略爆撃と記号としての〈焼跡〉
 2 焼跡に立つ闇市
 3 〈焼跡〉と〈闇市〉
 4 中心―周縁構造と都市論
 5 「日本ならざるもの」の生活空間
 6 敗戦後の日本社会を冷戦空間に置き直す
 7 本書の構成

第1部 焼跡・闇市のイメージ編成

第1章 語られない焼跡――戦後日本映画批評と焼跡表象
 1 戦略爆撃と焼跡
 2 戦後映画と「戦争の惨禍」としての焼跡
 3 戦後日本映画批評のなかの『東京五人男』
 4 箱庭的ユートピアと敗戦のリアリズム――小津安二郎『長屋紳士録』
 5 焼跡がはらむ加害責任
 6 小結

第2章 過去が憑依する場――『二十年後の東京』と『野良犬』に見る戦災復興
 1 『二十年後の東京』と戦災復興計画
 2 戦災復興計画の評価と用地接収
 3 連続性を示す空間としての闇市
 4 黒澤明『野良犬』での闇市の役割
 5 小結

第3章 闇市とレイシズム――闇市の構造と取り締まりにおける対象変遷
 1 「闇市」という語の起源
 2 闇市の構成
 3 GHQによる闇市の取り締まり
 4 小結――日本の外縁としての闇市

第4章 物語のなかの闇市
 1 「戦後日本」と闇市表象
 2 敗戦直後の文学と闇市
 3 大江健三郎「万延元年のフットボール」
 4 被災と責任の記憶――野坂昭如、井上ひさし
 5 記憶の起点として――浅田次郎、梁石日
 6 ミステリーとしての闇市

第2部 戦後日本から冷戦期日本へ――国民的地景(ルビ:ナショナル・ランドスケープ)と異郷

第5章 田村泰次郎「肉体の門」論――「新生」の物語と残余としての身体
 1 「肉体の門」の「書きえない領域」
 2 田村泰次郎の「肉体」観と少女たち
 3 「獣性」の身体
 4 獣性・思想・肉体
 5 小結

第6章 〈焼跡〉が闇市を周縁化する――石川淳「焼跡のイエス」論
 1 「日本」の「戦後」
 2 「新興民族」の「今日的規定」
 3 国土回復とヘテロ/ホモセクシュアルな欲望
 4 〈焼跡〉という記号
 5 小結――〈焼跡〉という国民的地景(ルビ:ナショナル・ランドスケープ)

第7章 「居たたまれなさ」を越えて――宮本百合子「播州平野」をめぐる「戦後」の陥穽
 1 宮本百合子と戦後の文脈
 2 「播州平野」評価の変遷と六全協
 3 「播州平野」の朝鮮人表象
 4 移動を内包するテクストとしての「播州平野」
 5 小結

第8章 「異郷」の空間性――金達寿「八・一五以後」
 1 「八・一五以後」発表時の「新日本文学」と金達寿評価
 2 フィクションの形式と人物類型
 3 改稿の問題と運動主体
 4 「異郷」の内実――帰郷と同化のはざまとしての闇市
 5 「異郷」にとどまることの可能性
 6 小結

第9章 「おかみさんたち(ルビ:アジモニドゥル)」のたたかい――民族教育と濁酒
 1 金達寿の占領期小説、「在日同胞生活史」という枠組み
 2 「四斗樽の婆さん」と「前夜の章」への検閲
 3 民族教育の展開と阪神教育闘争
 4 「お内儀(ルビ:かみ)さん」たちの闘争
 5 濁酒取り締まりと「第三国人」神話
 6 母と息子のすれ違い
 7 小結――〈異郷〉としての冷戦期日本

終 章 〈焼跡〉の抱擁から離れて
 1 闇市から見る占領期日本
 2 国民的地景(ルビ:ナショナル・ランドスケープ)から〈異郷〉へ
 3 「冷戦期日本」の射程

初出一覧

おわりに

版元から一言

敗戦直後からの戦後日本をたどるときの出発点として、焼跡や闇市は位置づけられ、語られてきた。

焼跡や闇市を表象する小説や映画、批評を検証することを通して、私たちがもつ戦後日本という歴史認識や国土イメージをあぶり出す。

そして、田村泰次郎や石川淳、宮本百合子、金達寿らの文学テクストから当時の人々の息づかいを丁寧に読み解き、日本だけではなく冷戦期東アジアや旧植民地が抱える問題群が焼跡や闇市のイメージに含まれていることを指摘する。

「戦後日本」という枠組みから「冷戦期日本」という歴史認識へのパラダイムシフトを提起する挑発的な日本論。

著者プロフィール

逆井 聡人  (サカサイ アキト)  (

1986年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程修了。博士(学術)。現在、東京外国語大学世界言語社会教育センター特任講師。専攻は日本近現代文学、比較文学、表象文化論。共著に『盛り場はヤミ市から生まれた』(青弓社)、論文に「原罪に代わるもの――戦後道徳と荒正人」(「言語態」第14号)、“Fight for the Right to Live: Kim Tal-su’s Novels and ‘Third Country National’ Discourse” (Literary Intervention and Political Culture in South Asia) など。

上記内容は本書刊行時のものです。