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アジア系アメリカと戦争記憶 中村 理香(著) - 青弓社
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アジア系アメリカと戦争記憶 (アジアケイアメリカトセンソウキオク) 原爆・「慰安婦」・強制収容 (ゲンバクイアンフキョウセイシュウヨウ)

社会一般
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発行:青弓社
四六判
縦194mm 横131mm 厚さ23mm
重さ 401g
330ページ
上製
定価 3,000円+税
ISBN
978-4-7872-3420-9   COPY
ISBN 13
9784787234209   COPY
ISBN 10h
4-7872-3420-X   COPY
ISBN 10
478723420X   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年7月
書店発売日
登録日
2017年5月19日
最終更新日
2020年6月15日
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紹介

「アメリカ帝国」への批判的視座から、日本の植民地支配や戦争犯罪、軍事性暴力を問う北米アジア系の人々の声を、日系や在米コリア系の作家や運動家などの言説をとおして検証する。太平洋横断的なリドレスの希求と連結を開く可能性を探る力作。

目次

凡例

はじめに

序章 二つの戦争展と被害/加害の記憶
 1 スミソニアン原爆展とニコン「慰安婦」展から見えるもの
 2 二重視点と生産的相対化の可能性
 3 連結が開く可能性――複数の暴力を語ること
 4 なぜ「日系とコリア系アメリカ作家」なのか
 5 グローバル世界のなかの「アメリカ・マイノリティ」という存在
 6 本書の構成
 7 太平洋横断で見る戦争記憶(ルビ:トランスパシフィック・ウォーメモリーズ)

第1部 アジア系アメリカと「慰安婦」言説――「日米二つの帝国」という語り

序 「特集号」・決議案・追悼碑――アジア系アメリカの三つの応答

第1章 アメリカで日本軍「慰安婦」問題を言説化すること――「特集号」の問いかけ
 1 一九九〇年代アメリカの人種・ジェンダー・戦争記憶と「慰安婦」問題
 2 複数の暴力と批判的アジア系アメリカ研究
 3 ポストコロニアリズムの問題提起とアメリカのマイノリティ研究
 4 「不安を生じさせる知」――K・チュウと在米アジア系「慰安婦」言説での脱アイデンティティのポリティクス
 5 L・カンと在米コリア系「慰安婦」言説での「アメリカ的主体」であることへの問い
 6 L・ヨネヤマと「日本の戦争犯罪のアメリカ化」の両義性

第2章 二つのリドレス――マイク・ホンダとアメリカの正義の限界
 1 日系リドレスとアメリカの正義の聖典化
 2 アメリカ・マイノリティの二重性とトランスナショナルな連結
 3 マイノリティ政治家と正義の限界

第3章 (不)在を映し出す場としての在米「慰安婦」追悼碑(ルビ:メモリアル)
 1 北米の「慰安婦」碑をめぐる日系人と在米日本人の反応
 2 他者化的視線と在外外国人の応答
 3 「他国の暴力」と(不)在を映し出す碑
 4 「対話の場」としての「慰安婦」追悼碑

第2部 複数の暴力と連結が開く可能性――日系とコリア系北米作家の描く「祖国(ルビ:アジア)の戦争」



第4章 「二つの帝国」と「脱出・救済物語」の領有/攪乱――ノラ・オッジャ・ケラーの『慰安婦』
 1 「脱出記」の攪乱――多文化主義ナショナリズムとジェンダー
 2 「アイ・アム・コリア」――「女」・国家/帝国と殉死
 3 移民・国家/帝国――脱出記とディアスポラの語り

第5章 「加害者の物語」――チャンネ・リーの『最後の場所で』が示す「慰安婦」像と「正しくない被害者」の心的損傷
 1 複数の軍事帝国主義と性の支配――被害と加害の重層化
 2 「加害者の物語」と心的損傷
 3 『最後の場所で』での「慰安婦」の表象
 4 ハタの回想に見る「慰安婦」表象の問題点
 5 加害の記憶とトラウマの乗っ取り

第6章 国家記憶の統合/断絶としての人種暴力――ジョイ・コガワの『おばさん』における長崎・強制収容・先住民
 1 他者化から連結へ――多文化主義時代の北米アジア系文学での「祖国の戦争」
 2 『おばさん』と「日系カナダ」における祖国の切断/回復
 3 「私たちはカナダ国民だ」――同化主義ナショナリズムと祖国の切り捨て
 4 「桃太郎はカナダの話だわ」――多文化共生と出身国文化の回復/取り込み
 5 「被爆者としての母」と人種的断絶/連結
 6 「(脱)ナショナル」としての被爆言説

第7章 祖国の惨苦を聞くということ――ノラ・オッジャ・ケラーの『慰安婦』が描く母の戦争と追悼という語り
 1 『慰安婦』での「コリアン・アメリカン」という視点
 2 被害の不可視化と認識論的暴力
 3 自己/他者の棄却と母の回復
 4 「名を刻み、記憶せよ」――追悼の二つのかたちとシャーマニズム
 5 死者の言葉を聞く/語るということ
 6 結語――「戦争犠牲者」としての母/祖国の回復とその問題点
 7 「特攻」の再表象と他者の馴致

初出一覧

引用参考文献

おわりに

版元から一言

2016年のオバマ大統領による広島訪問や、北米での「慰安婦」碑設置運動など、アジア太平洋戦争時の暴力とそのリドレス(補償是正)をめぐる動きは、日米での重要なトピックスであり続けている。

しかしながら、日本の戦争責任を追及しながら米国の軍事加害を批判したり、米国発の一面的・一方向的なリドレスの希求が、オリエンタリズム的日本批判につながることを危惧する在米アジア系の人々の存在は、日本ではほとんど伝えられていない。

本書は、「アメリカ帝国」への批判的視座から、日本の植民地支配や戦争犯罪、軍事性暴力を問う北米アジア系の人々の声を、日系や在米コリア系の作家・研究者・政治家・運動家などの言説をとおして検証する。北米の地でアジアを出自とする人々によってつむがれた原爆投下、「慰安婦」制度、朝鮮人皇軍兵士、日系人強制収容をテーマとするこれらの語りが、太平洋横断的なリドレスの希求と連結を開く可能性を提示する。

著者プロフィール

中村 理香  (ナカムラ リカ)  (

成城大学経済学部教授。東京大学大学院人文科学研究科を経て、アメリカ・ラトガース大学英語圏文学科博士。専攻はアジア系アメリカ研究。共著に Trans-Pacific Japanese American Studies (University of Hawai‘i Press)、『憑依する過去』(金星堂)、『アジア系アメリカ文学を学ぶ人のために』(世界思想社)、『ネイションを超えて』(岩波書店)、訳書にダグラス・ブリンクリー『ローザ・パークス』(岩波書店)など。

上記内容は本書刊行時のものです。