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〈見える〉を問い直す
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年12月
- 書店発売日
- 2017年12月13日
- 登録日
- 2017年9月19日
- 最終更新日
- 2017年12月25日
紹介
何が人に、「見える」という経験を確信させるのか。
その経験の明証性はどこからくるのか……。
2015年12月、
獨協大学で開催された国際フォーラムから本書は生まれた。
人間にとって「視覚」とは何か、
視覚は人間に何をもたらしたのか、
新たな視覚技術との関わりを通じて見えてくる
新たな問題とは何か。
「見える」経験の自明性への問いを、
本書では文化的かつ歴史的側面からアプローチする。
本来ひとつの空間では多様な見え方があるはずだが、
ひとつの文化的時空間においては、特定の見方が
他の見え方を上回ることで本質的に選び出され、
自然な経験として成立している。
「視覚の専制」という視覚文化論を中心的な課題と
しつつ、それがいかにして確立され、
その後どのようなゆらぎをはらんできたのか…
視覚が全てを差し置く状況を批判的に検討する。
視覚文化論という新たな領域が見出すのは、
近代的世界観を規定した力への批判的視座である。
絵画や建築といった旧来の視覚芸術から、
映画やインターネットのような現代の視覚媒体にいたる、
「見ること」の文化を、視覚文化論という研究領域の
対象とする本書は、フォーラムに招聘された
この分野の研究者が発表したものを再録し、
視覚文化研究のさまざまな可能性について、
西洋と東洋の文化圏を横断しつつ、
視覚に関する考察を深め、「見える」という経験を
可能とさせる文化的な諸力が交差する美術、写真、文学、
映像技術、インターネットなどに内在する視覚の歴史と
そのあり方を批判的に検討するものである。
目次
第1章
キース・モクシー(コロンビア大学)「唯物論的時間」
第2章
アンヌ=マリー・ボネ(ボン大学)
「デューラーの版画と素描における
ヴィジュアルとマテリアル」
第3章
ロール・シュワルツ=アレナレス(上智大学)
「日本仏画を記述する・比較する・展示する
―ルーヴル美術館極東美術コレクション
初代学芸員ガストン・ミジョン(1864-1930)の視線」
第4章
松本健太郎(二松學舎大学)
「連鎖するディスプレイを通過する二重の身体
――藤木淳の《ゲームキョウカイ》を考察の起点として」
第5章
山口誠(獨協大学)「鏡の無い部屋
――新しいメディアの体験について」
第6章
田中正樹(二松學舎大学)
「宋代山水表現に於ける視覚と聴覚」
第7章
小林賴子(目白大学)
「土地に刻まれた物語(history)
――17世紀オランダ風景画に見えるもの」
第8章
青山愛香(獨協大学)
「デューラーの視覚 ― 《黙示録》木版画連作に
おける風景表現の革新性」
第9章
工藤達也(獨協大学)「ヴァルター・ベンヤミン
とドイツ語圏の美術史家たち」
第10章
阿部明日香(獨協大学)
「茶の間のルノワール」
第11章
福田美雪(獨協大学)「小説家の暗室:
写真を撮るエミール・ゾラ」
第12章
柿田秀樹(獨協大学)
「トロンプルイユの視覚レトリック
――サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの
遠近法箱とアナモルフォーズの科学」
第13章
片山亜紀(獨協大学)
「ウルフはなぜその写真にこだわるのか」
第14章
若森栄樹(獨協大学)
「『見える』を問いなおす―レンブラントの三つの体験」
上記内容は本書刊行時のものです。