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移動と定住の文化誌
人はなぜ移動するのか
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2011年4月
- 書店発売日
- 2011年4月1日
- 登録日
- 2011年3月9日
- 最終更新日
- 2020年1月6日
紹介
古来、人間の移動が歴史を作った例は多い。「移動」ということばが、学界やジャーナリズムで広く使われ出したのは1990年代からである。それは、1980年代後半から90年代前半にかけて、人・物・金(資本)・情報が国境をも越えて移動する「グローバリゼーション」が、もてはやされたことと関連している。その後、グローバリゼーションへの疑問や不安が強まっても、その現象は容易に止めがたいものとなっている。こうした状況が人の移動と定住への広い関心を呼び起こしてきたのである。
「移動」といっても、移動する距離が近距離であったり地球規模の移動であったり、また自らの自由な意志に基づいたもの、状況に強制された移動やそれらの中間的な動機による移動などがあり、そうした要因の相違によって「定住」の形も異なっている。
多面的な「移動と定住」の側面を史的な視野から論じた論文集。
目次
まえがき……………………………………………内藤 雅雄
Ⅰ メシーカ人の旅物語…………………………井上 幸孝
──アステカ移住譚の形成と歴史
一 メシーカ人の旅物語の概要 二 メシーカ移住譚の形成過程
三 旅物語の変容
Ⅱ 海を渡る娘たち……………………………日暮 美奈子
──一九/二〇紀転換期ドイツにおける女中と婦女売買
一 事件の経緯 二 犠牲者像の構築 三 女中としての生活
おわりにかえて──移動する女性としての女中
Ⅲ 関東大震災時の朝鮮人虐殺とその犠牲者をめぐって
………………………………………………田中 正敬
一 関東大震災を前後する朝鮮人の日本への渡航と生活
二 関東大震災時の朝鮮人虐殺と地域的な特徴
三 朝鮮人虐殺の事後処理と朝鮮人犠牲者追悼式をめぐって
Ⅳ インド人移民と宗教…………………………内藤 雅雄
──グジャラーティー移民社会とスワーミーナーラーヤン教団
一 グジャラーティー移民の歴史
二 近代グジャラート社会とスワーミーナーラーヤン教団 三 イギリスにおけるグジャラーティー社会とスワーミーナーラーヤン教団
Ⅴ 「行ったり来たりする人たち」………………仲川 裕里
──一九九〇年代韓国農村社会における移動と定住
一 慶尚南道の山間農村の事例
二 「行ったり来たりする人たち」と「移動」の概念
Ⅵ 宇宙時代の移動と定住………………………黒沢 眞里子
──地球は島である
島化する世界のなかの移動と定住/島のイギリスから大陸アメリカへ/「島としてのアメリカ」演説/縮小する世界の認識/レーガン大統領──自由の島アメリカ/レーガンの発言――世界は自由を求める小さな島の集合体/レーガン──自由の島アメリカ再び/ 『デモクラシーの理想と現実――世界の島化』/サンドフォード・フレミング――標準化される地球/「大地」から「世界」そして「地球」へ/宇宙への移動と定住――地球は島である
Ⅶ グローバリゼーションと世界………………伊吹 克己
──J・L・ナンシーの世界化の議論について
アグロメレーションとグローバリゼーション/〈地球化=グローバリゼーション〉対〈世界化=モンディアリザシオン〉/世界の破壊/世界と無限 /享受あるいは表象できないもの/世界の創造と虚無/ハーバーマス、ポスト形而上学の思想/immondeとしてのグローバリゼーション/immondeとしての他者
上記内容は本書刊行時のものです。