書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
ヴォルガ・ドイツ人
知られざるロシアの歴史
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2008年4月
- 書店発売日
- 2008年4月11日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2014年12月19日
紹介
先進的な農業技術や文化・伝統をヴォルガ地方に普及させ、サラトフに商工業を興し、独特の多民族社会の形成に寄与したドイツ人移民。だが、二度の大戦と共産党支配によって悲劇的な歴史を刻む事になった光と影の歩み。
目次
はじめに
第一章 ロシアのドイツ人
第二章 ヴォルガ地方におけるドイツ人入植地の形成
第三章 十九世紀前半のヴォルガ・ドイツ人
第四章 ロシアの「大改革」とヴォルガ・ドイツ人
第五章 一九一四~一九二二年のヴォルガ・ドイツ人
第六章 ヴォルガ川流域のドイツ人自治領
第七章 戦禍のなかで
――一九四一年から一九四五年のヴォルガ・ドイツ
第八章 ヴォルガ・ドイツ人の戦後
結 論
ヴォルガ・ドイツ人関連年表
読書案内
地 図
版元から一言
ヴォルガ・ドイツ人は、ロシア文明と西欧文明をつなぐ架け橋だった。先進的な農業の技術や方法、さらには文化・伝統をヴォルガ地方の諸民族に伝え、普及させることにも貢献した。サラトフがヴォルガ地方の工業・商業の一大中心地になったのは、多くの点でドイツ人入植者のおかげである。
1914年までにサラトフを中心とするヴォルガ地方には、独特の多民族社会が形成され、ドイツ人がその重要かつ不可欠な要素となっていた。しかし、ドイツとロシア(後にはソ連)が干戈を交えた二度の世界大戦、さらには長年のロシアでのボリシェヴィキ支配のために、ヴォルガ・ドイツ人にとって、20世紀は並外れた悲劇と過酷な試練の歳月となり、特異な民族の消滅につながった。
ヴォルガ・ドイツ人を含むソ連ドイツ人は、何度となくソ連とドイツという二つの大国の人質となった。両国関係が緊張の度合いを高め、ついには軍事衝突に至った結果、ヴォルガ・ドイツ人自治共和国は廃止され、ヴォルガ・ドイツ人はシベリアやカザフスタンに強制移住させられた。強制移住は事実上、ヴォルガ・ドイツ人の存在に止めを刺した。
ロシアにおいて民族アイデンティティを保持する可能性が失われた結果、ドイツ人はドイツ本国に大量出国していった。わずかに残るロシア・ドイツ人は、消滅の瀬戸際にある。(本書「結論」より)
(社)日本図書館協会 選定図書
上記内容は本書刊行時のものです。