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足はなんぼん?
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年8月
- 書店発売日
- 2016年8月5日
- 登録日
- 2016年6月28日
- 最終更新日
- 2016年9月16日
紹介
この本は,「動物の足の数」という,いたって単純なところに注目して描かれた絵本です。
図鑑を見れば,この本よりずっとたくさんの動物がのっています。そして動物園に行けば,生きて動いている動物を目にすることができるでしょう。でも図鑑や,動物園の動物を漠然と見るだけでは,その図鑑に載っていたり,その動物園にいる動物に関する知識しか得ることはできません。
しかしこの絵本を読めば,図鑑には全く載っていないようないろいろな動物についても,読む前よりもずっと豊かに想像をめぐらすことができるようになります。
それは,この本が子どもたちに動物についての断片的な知識ではなく,「自然に対する問いかけ方」を教える絵本だからです。
目次
足はなんぼん?
「足はなんぼん?」のねらい
前書きなど
この本は,いろいろな動物の足を,まちがいなくおぼえさせるために書かれたのではありません。
この本は,足の数という,いたって単純なところに目をすえて,この地上にいるいろいろな動物の世界を子どもといっしょにながめまわしてみるために書かれたものです。
こういうと「この世にはどんな動物がいるかということを教えるなら,子どもを動物園へつれていったり,動物のたくさんのっている絵本や図鑑を子どもにあたえればよいではないか」といわれるかもしれません。
なるほど,動物園(最近は水族館や昆虫館を併設しているところもあります)に行けば,この本にでている動物よりも,もっともっと多種類の動物を,実物で見ることができます。
また,すでに刊行されている子ども用の図鑑(哺乳類,鳥,魚,昆虫などにわけたものが何種類も売られています)を買いあたえれば,この本よりも,はるかにたくさんの種類の動物の絵や写真をみせることができます。
けれども,この本は,動物園やふつうの図鑑では得られないような,動物についての広くて深い認識をあたえることをねらっているのです。
こんなページ数も,絵もすくない本で,どうしてそんなだいそれたことを主張しうるのでしょうか。
そのなぞは,この本が子どもたちに断片的な知識を与える本ではなくて,自然に対する問いかけ方を教える本だ,というところにあります。ふつうの図鑑や動物園なら,その本やその施設に収容されている動物についての知識しか得られません。しかし,この本をあたえれば,ふつうの子ども向きの図鑑にはまったくのっていないような,無数の動物にも想像をめぐらすことができるようになるのです。
動物園にいったり,図鑑を見いったりするだけでは,どうしてもその目の前に実在したり,えがかれている生きものだけが対象になってしまいます。つまり,その動物園や図鑑に収容されている動物の世界だけしか視界に入らないわけです。
ふつうの昆虫図鑑には,チョウやセミの足の数が6本であることがわかるような,絵や写真がのっていませんが,ふつうはそんなことを気にする子どもはまずいないでしょう。そこにえがかれていることだけを,ただなんとなくばくぜんと見ることになれているからです。
けれども,この本を読む子どもたちは,おなじ虫を見るときでも,1つの視点をもつことになります。そして,図鑑ではものたりなくて,実物を追いもとめることにもなります。
じつは,この「足はなんぼん?」の原稿を元にして,東京の市立暁星小学校の吉村七郎先生をはじめ,多くの小学校の先生方が1~2年生で授業をやってくださいました。この授業は,たいへんたのしいものになりました。しかもこの授業の結果,子どもたちは遠足や散歩にいっても,目のつけどころがはっきりかわったということが明らかになりました。
これまでなら,目の前に虫がいても,別に関心をもたなかったのが,この授業をやってからというもの,虫がいると,みんなその虫の足が何本か,つかまえて数えるようになった,というのです。この本は,いわばそういった能動的な子どもをそだてることをねらっているのです。
科学というのは,自然についてのあれこれの知識をおぼえこむことではありません。まだ知らないことについて,いろいろ予想を立てて積極的に自然に問いかけ,まだ見知らぬものについてまでも正しく予言ができるようになるーーそこに科学のすばらしさがあります。その意味で,この本は単なる「動物の本」ではなく,動物についての一つの科学的な見方のすばらしさを教える「科学の本」なのです。
版元から一言
この本は単なる「動物の絵本」ではありません。「動物の足の数」を手がかりにして,生物界全体を見渡すことができる「科学の絵本」なのです!
上記内容は本書刊行時のものです。