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アメリカのナボコフ
――塗りかえられた自画像
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年5月1日
- 書店発売日
- 2018年5月19日
- 登録日
- 2018年4月10日
- 最終更新日
- 2018年5月18日
書評掲載情報
2018-07-21 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 鴻巣友季子(翻訳家) |
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紹介
これが、『ロリータ』の内幕だ――
新大陸に移住後、『ロリータ』によってスキャンダラスな形で知られたナボコフは、いかにアメリカの大作家へと上りつめたのか。芸術家、文学者へと意図的に自己イメージを操作しながら、亡命者から「世界文学」への道程を歩んでいった作家の姿を、本邦初公開となる膨大な新資料を通じて描きだし、従来のナボコフ像を一新する。図版多数。
目次
序 章 ナボコフと読者たち(オーディエンス)
1 ナボコフ、アメリカ上陸/2 新天地でのロシア語活動/3 「ロシ
ア詩の夕べ」/4 『ロリータ』以後/5 ケンブリッジ凱旋/6 各章
について/7 亡命者の自画像
第一章 亡命の傷――アメリカのロシアで
1 亡命、二言語使用、翻訳/2 亡命文学史上の「V・シーリン」/
3 亡命者たちの英語作家ナボコフ評/4 アメリカのなかのロシア
で/5 プニンたち/6 ハーヴァード・ヤードの青い芝生/7 「『ロ
リータ』と題する書物について」は誰のために書かれたか/8 『ドク
トル・ジバコ』の波紋/9 優雅な生活が最高の復讐である/10 賞と
名声と/11 自己翻訳の果て/12 「翻訳」という仮面/13 ナボコ
フは世界文学か?/14 亡命の神話
第二章 ナボコフとロフリン――アメリカ・デビューとモダニズム出版社
1 アメリカ作家になる方法/2 ただ愛のために/3 パウンドの「啓
示」とニューディレクションズ誕生/4 セバスチャン・ナイト――近
代世界の殉教者として/5 ロフリンの歓迎/6 ニューディレクショ
ンズの販売戦略のなかで/7 ボーン・モダン――アルヴィン・ラステ
ィング/8 バニー&ヴォロージャ vs 「あのJのやつ」/9 文学とい
うビジネス/10 送りつけられた「時限爆弾」/11 「時限爆弾」の
爆発/12 書きかえられた『セバスチャン・ナイト』/13 フェンシ
ングの親善試合/14 出版界の変革の波にさらされて/15 消えた風
景/16 「ニューディレクションズの作家」から「アメリカの作家」
へ
第三章 注釈のなかのナボコフ――『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注から自伝へ
1 『エヴゲーニイ・オネーギン』翻訳と注釈/2 埋めこまれた記
憶/3 自己言及癖のある語り手/4 注釈――第四章十九連四-六
行/5 決闘の謎/6 三冊の「回想記/伝記」/7 二度はゆけぬ場所
の地図/8 記憶の索引(インデックス)/9 「眼鏡」から「貝のか
たちをしたシガレットケース」へ/10 バトヴォの森で/11 『記憶
よ、語れ』第三章二節/12 「回想」から「伝記」へ
第四章 フィルムのなかのナボコフ――ファインダー越しに見た自画像
1 被写体としてのナボコフ/2 「捕虫網をもった芸術家」/3 「愛
妻家ナボコフ」/4 ぼく自身のための広告/5 そしてアイコンへ/
6 ナボコフ朝時代/7 「変人」から「セレブ」へ/8 自己移植の時
代錯誤(アナクロニズム)/9 鏡の国の囚われ人
第五章 日本文学のなかのナボコフ――戦後日本のシャドーキャノン
1 円城塔――蝶に導かれて/2 ナボコフ日本上陸とその周辺/
3 丸谷才一 ――モダニズムと私小説批判/4 「樹影譚」――「捏
造」された「起源」/5 大江健三郎――晩年の傾倒/6 『美しい
アナベル・リイ』――『ロリータ』を書きかえる/7 隠匿された
「告白」、「悪霊」憑きのテクスト/8 「マイクロキャノン」と
しての私小説/9 性と文学――谷崎/川端/ナボコフ/10 ソフ
ト・パワー戦略の掌中のなかで/11 『ロリータ』を超えて
第六章 カタログのなかのナボコフ――正典化、死後出版、オークション
1 「欲望」の対象としての『ロリータ』/2 世界一高価な『ロリー
タ』/3 正典化されるナボコフ/4 売り払われる遺産/5 ドミトリ
イ・ナボコフ――父の代理人/6 ヴェラの蝶/7 ドミトリイの蝶/
8 『ローラのオリジナル』のオリジナル/9 刊行ラッシュ/10 在
庫一掃セール/11 息子の死/12 プライヴェートからパブリックへ
おわりに
アメリカ到着後の年譜と地図
引用元クレジット一覧
図版一覧
索引
上記内容は本書刊行時のものです。