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失踪の社会学 中森 弘樹(著) - 慶應義塾大学出版会
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失踪の社会学 (シッソウノシャカイガク) 親密性と責任をめぐる試論 (シンミツセイトセキニンヲメグルシロン)

社会科学
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A5判
368ページ
上製
定価 4,200円+税
ISBN
978-4-7664-2481-2   COPY
ISBN 13
9784766424812   COPY
ISBN 10h
4-7664-2481-6   COPY
ISBN 10
4766424816   COPY
出版者記号
7664   COPY
Cコード
C3036  
3:専門 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年10月1日
書店発売日
登録日
2017年9月11日
最終更新日
2018年10月1日
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書評掲載情報

2017-11-26 読売新聞  朝刊
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紹介

日本社会病理学会学術奨励賞(出版奨励賞)を受賞しました。
日本社会学会第17回奨励賞を受賞しました。


▼あなたは、
なぜ、
そこにいるのか

失踪とは何か。
その不条理さ、不可解さ、やりきれなさは、何に由来するのか。

現在でも日本国内で年間に数千件規模のペースで生じている
隠れた社会問題、失踪――。

失踪が惹起する実存的な問いを突きつめ、
あなたや私がそこにいる、という
一見自明の事態を根底から見つめなおす、気鋭の力作。

目次

はじめに

  I いま、失踪を問う意味

第1章 なぜ私たちは「親密な関係」から離脱しないのか
 1 自殺について
 2 「無縁」のイメージの変容
 3 「純粋な関係」の出現と、親密性の変容
 4 「親密な関係」からの離脱に対する抵抗感の根拠(リスク・愛・外
   的基準)
 5 失踪の社会学へ

第2章 失踪の実態はどこまで把握可能か
 1 諸概念の整理(失踪・家出・蒸発・行方不明)
 2 失踪の件数と内訳
 3 失踪発生後の一般的な流れ
 4 「現代的な問題」としての失踪?

 Ⅱ 失踪の言説史

第3章 失踪言説の歴史社会学――戦後から現在までの雑誌記事分析
 1 失踪言説の分析は何を語るのか
 2 失踪言説の戦後史――「家出娘」と「蒸発妻」
 3 失踪言説の背後にあるもの①――家族の戦後体制
 4 失踪言説の現代史
 5 失踪言説の背後にあるもの②――個人化
 6 雑誌記事における失踪批判の論点

 Ⅲ 当事者の語る失踪

第4章 失踪者の家族社会学
 1 失踪の当事者の研究へ
 2 「社会的死」と「曖昧な喪失」
 3 研究の方法――失踪者の家族へのインタビュー
 4 さまざまな失踪のかたち
 5 失踪者の家族たちの特殊な経験
 6 失踪者はなぜ失踪してはいけなかったのか

第5章 失踪者の家族をいかにして支援すべきか――MPSの取り組みから
 1 「曖昧な喪失」理論の問題点
 2 研究の方法――支援団体に対するケーススタディ
 3 MPSのプロフィール
 4 情報提供者としてのMPSスタッフの語り
 5 情報提供者がなしうるケアとは何か
 6 共に物語を作るという可能性
 7 失踪に対する筆者の立場

第6章 失踪者のライフストーリー
 1 失踪者本人への問い
 2 先行研究の検討(家出・蒸発・runaway・ホームレス)
 3 研究の方法――失踪者のライフストーリーを聞く
 4 〈失踪〉経験者のライフストーリー①――家族からの離脱と応答の
   拒否
 5 〈失踪〉経験者のライフストーリー②――自殺未遂から失踪へ
 補論 〈失踪〉経験者のライフストーリー③――職場からの〈失踪〉

 Ⅳ 「親密な関係」に繋ぎとめるもの

第7章 親密なる者への責任
 1 責任という問いへ
 2 本書における責任の定義
 3 責任の「行為-因果モデル」
 4 責任の「傷つきやすさを避けるモデル」
 5 「親密な関係」と責任の倫理

第8章 現代社会と責任の倫理
 1 「親密なる者への責任」の重要性の高まり
 2 「神隠し」と〈逃がし〉の論理
 3 自己責任論と親密圏の過負荷

終 章 行為としての〈失踪〉の可能性
 1 〈失踪〉を実行させたもの
 2 〈失踪〉は自殺の代わりになるのか
 3 第三者からの承認であることの効用



参考文献
あとがき
初出一覧
索引

著者プロフィール

中森 弘樹  (ナカモリ ヒロキ)  (

1985年生まれ。2015年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学・立命館大学・京都造形芸術大学非常勤講師。著作に、「網野善彦――『無縁』の否定を超えて」(大澤真幸編『3・11後の思想家25 別冊大澤真幸 THINKING「O」』左右社、2012年)、「失踪者家族の悲嘆」(髙木慶子・山本佳世子編『悲嘆の中にある人に心を寄せて――人は悲しみとどう向かい合っていくのか』上智大学出版、2014年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。