版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
総合研究 日本のタクシー産業 太田 和博(編) - 慶應義塾大学出版会
.
【利用不可】

総合研究 日本のタクシー産業 (ソウゴウケンキュウ ニホンノタクシーサンギョウ) 現状と変革に向けての分析 (ゲンジョウトヘンカクニムケテノブンセキ)

社会科学
このエントリーをはてなブックマークに追加
A5判
384ページ
並製
定価 4,000円+税
ISBN
978-4-7664-2439-3   COPY
ISBN 13
9784766424393   COPY
ISBN 10h
4-7664-2439-5   COPY
ISBN 10
4766424395   COPY
出版者記号
7664   COPY
Cコード
C3065  
3:専門 0:単行本 65:交通・通信
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年7月1日
書店発売日
登録日
2017年6月9日
最終更新日
2018年10月9日
このエントリーをはてなブックマークに追加

書評掲載情報

2017-08-19 日本経済新聞  朝刊
MORE
LESS

紹介

2018年、日本交通学会賞受賞!

変貌する業界の全体像を示す
運賃設定や規制緩和による供給過剰に加え、ドライバーの不足や高齢化、過疎地における最後の足としての役割、安全・安心の担保、IT化の進展、ライドシェアの脅威まで、ハイタク業界に存在する問題は広範にわたる。実態と課題を把握し、会社経営、法制度、運輸行政、公共経済学など多面的視点から包括的に解説した決定版!

▼市民の“足” であるタクシー市場を初めて総合的に分析!
▼低運賃設定やライドシェアなど最新の情報もふまえて、その全貌を解説!

市民の“足” として定着しているタクシーの市場は、単なる公共交通機関としてだけでなく、「参入・退出の許認可問題」「多重価格問題」「地域活性化」「高齢化対策」といった、経済・政治・社会的にも重要な論点を含み、脚光を浴びている。このタクシー産業の現状を把握・分析し、低運賃設定やライドシェア、IT化の進展などの最新の情報もふまえてその全貌を解説する画期的な1冊。

目次

序 章 タクシー産業:低迷と混乱、そして変革
 1 何が欠けているのか
 2 本書の構成
 3 読者へのメッセージ

  第Ⅰ部 実態把握編

第1章 わが国のタクシー産業の現状と背景
 1 わが国のタクシー事業の現状
 (1) 移動需要の動向と背景
 (2) タクシーサービスの供給の推移
 2 わが国のタクシー事業の特徴
 3 タクシー分野への新規参入に向けた動き
 (1) 戦後の新免増車
 (2) 白タク行為をめぐる動き
 (3) 軽貨物車タクシーの登場
 (4) 運転代行業との競合
 4 規制緩和に向けた動き
 5 「適正化・活性化特別措置法」の施行

第2章 東京のタクシーの現状と背景
 1 東京のタクシー事業の現状
 (1) 移動需要の動向と背景
 (2) タクシーサービスの供給の推移
 2 東京のタクシーの特徴
 3 歴史的経緯の概要

第3章 都市部のタクシーの現状と背景
 1 都市部のタクシー事業の現状
 (1) 移動需要の動向と背景
 (2) タクシーサービスの供給の推移
 2 都市部のタクシーの特徴
 (1) 大阪地域の事例
 (2) 仙台市の事例

第4章 地方部・過疎地のタクシーの現状と背景
 1 地方部のタクシー事業の現状
 (1) 移動需要の動向と背景
 (2) タクシーサービスの供給の推移
 2 地方部のタクシーの特徴
 3 自家用車の公共的利用
 (1) 1951年の道路運送法
 (2) 乗合バスの状況と2006年の道路運送法改正
 (3) 自家用有償旅客運送制度の概説
 (4) 自家用自動車の活用拡大(国家戦略特区法)
 4 地域公共交通活性化のための支援策や制度の概要
 (1) 地域公共交通活性化・再生法
 (2) 交通政策基本法
 (3) 改正地域公共交通活性化再生法
 5 タクシー業界・行政等の対応
 (1) 地域公共交通活性化事例導入の状況
 (2) 地域公共交通活性化事例の交通モードの導入状況
 (3) 交通政策の変遷に伴う交通モードの導入状況の変化
 (4) 人口の少ない地域における交通モードの導入状況

第5章 諸外国のタクシー市場と政策
 1 ニューヨーク
 (1) アメリカの規制の概史
 (2) ニューヨーク市のタクシー市場の現状
 (3) 新規参入とその影響
 (4) アプリがもたらした変化
 2 スウェーデンのタクシー政策
 (1) スウェーデンの政治と規制改革
 (2) スウェーデン固有の事情
 (3) タクシー事業の自由化とその成果
 3 タイのタクシー政策
 (1) タイの経済発展とモータリゼーション
 (2) バンコクのタクシー
 4 テクノロジーの進展が規制のあり方を変える
     
  第Ⅱ部 現状分析編

第6章 タクシーの需要はなぜ減っているのか
 1 タクシーの営業形態
 2 タクシー需要に影響を与える要因からみたタクシー需要の減少理由
 (1) タクシー運賃が需要に与える影響
 (2) 家計支出と企業活動
 (3)その他の外部要因
 3 タクシー需要拡大に向けた施策
 (1) 利用者ニーズに応える運賃体系・水準の見直し
 (2) タクシーサービスの質の向上

第7章 タクシー事業の供給構造
 1 タクシー事業における「供給」
 (1) タクシー事業で提供されるもの
 (2) 供給量
 (3) 供給量に関する規制
 2 収支の構造からみた事業者の供給戦略
 (1) タクシー事業の収入と支出
 (2) タクシーの供給における事業者の競争力
 (3) 事業者のタクシー車両数戦略
 (4) 事業者の参入と退出
 3 経営規模からみた事業者の供給戦略
 (1) 経営規模による事業収入
 (2) 参入・増車の一形態:企業買収
 (3) 分社化
 (4) “適正”な経営規模
 4 事業者間の連携
 (1) 事業者間の連携のねらい
 (2) タクシー協会
 (3) 無線グループ
 (4) 交通共済

第8章 タクシー労働をめぐる問題
 1 規制緩和政策でタクシー運転者の賃金・労働条件はどうなったか
 (1) 交通労働の特徴
 (2) 高齢化、非正規雇用化の進むタクシー運転者
 (3) 歩合制賃金と低迷する賃金水準
 (4) 働き方と健康をめぐる問題
 2 労働政策・労働規制の現状と課題
 (1) 規制緩和政策で社会的規制はどう論じられてきたか
 (2) 求められる労働規制の強化

第9章 個人タクシーと法人タクシーの共存
 1 個人タクシー誕生の経緯
 2 個人タクシー台数の推移
 3 個人タクシーの意義と課題
 (1) モチベーション確保と高齢化問題
 (2) サービス品質の維持と個人タクシー
 (3) 安定供給と個人タクシー

  第Ⅲ部 政策分析編

第10章 タクシー事業はどのような法律によって規制されているか
 1 道路運送法改正による規制緩和
 (1) 新規参入、増車などに対する規制の緩和
 (2) 運賃に対する規制の緩和
 2 供給過剰対策を中心とする規制強化の動き
 (1) 通達に基づく減車勧奨・増車抑制策
 (2) タクシー業務適正化特別措置法
 3 特別措置法に基づく再規制の動き
 (1) 交通政策審議会答申(2008年)
 (2) タクシー適正化活性化特別措置法(2009年)
 (3) 改正タクシー適正化活性化特別措置法(2013年)
 4 規制緩和から再規制に至る規制枠組みの全体像
 5 タクシー事業の再規制をめぐる近年の裁判例
 (1) 乗務距離規制をめぐる裁判例
 (2) 公定幅運賃をめぐる裁判例
 6 タクシー事業と独占禁止政策
 (1) 新潟交通圏タクシー価格カルテル事件
 (2) タクシー事業関連法と独禁法

第11章 タクシーの機能と役割
 1 公共交通機関としてのタクシー
 (1) 公共交通機関の定義とタクシー
 (2) タクシー事業における公共性の是非
 (3) タクシーにかかわる規制
 2 タクシーの役割と新サービス
 (1) 禁煙タクシーをめぐる議論からみる新規サービスの課題
 (2) 乗合タクシー
 (3) 介護タクシー、福祉タクシーなど福祉目的のサービス
 (4) 観光タクシー
 (5) その他のサービス
 3 公共交通輸送におけるタクシーの役割

第12章 タクシーの台数はどう適正化されるのか
 1 規制の変化はタクシー台数をどう変えたのか
 (1) データからみるタクシー市場の規制の効果
 (2) 実証分析からみるタクシー市場の規制の効果
 2 需要調整規制の経済学的意義
 (1) なぜ政府がタクシー台数を決めるのか
 (2) 過当競争とは何か
 (3) 運転手の賃金を守るべきか
 (4) 道路や駅前広場の混雑
 (5) 競争と安全性
 (6) 運賃と競争
 (7) 政府はタクシーの台数を規制するべきか
 3 政府は適切にタクシーの台数を決められるのか
 (1) 適正車両数の算定式
 (2) タクシーの台数規制の問題
 (3) タクシーの参入規制の問題
 (4) 最低車両数の問題
 4 退出を促す事後規制

第13章 タクシー運賃の攻防
 1 多様で複雑なタクシー運賃・料金
 2 なぜタクシー運賃は規制されるのか
 3 法律は運賃をどのように規定しているのか
 (1) 道路運送法はどのようにタクシー運賃を規定しているか
 (2) 運賃規制はどのように行われてきたか
 4 東京の運賃はどう変わってきたか
 5 タクシー運賃は不当に高いのか
 (1) 運賃の高低の判断基準:高いとも安いとも簡単には言えない
 (2) 総括原価の算定と実際の運用:査定は厳しくなされる
 (3) 2007年の運賃改定の含意:運転手の待遇は改善されない
 (4) 2007年の運賃改定をめぐる論争:事業者・自動車局 vs. 規制緩
    和派
 (5) 上限運賃制の政策的含意:なぜ同じサービスなのに値引くのか
 6 初乗距離短縮による運賃引下げのインパクト
   ――400円タクシーの政治経済学
 (1) 初乗り運賃・ターミナルチャージはどのように正当化されるのか
 (2) 高すぎるタクシーの初乗り運賃
 (3) なぜ東京ではいち早く初乗り運賃組替えが実現できたのか

第14章 タクシー事業と安全の確保
 1 タクシーサービスと安全
 2 タクシー事故の現状と特徴
 (1) タクシー事故の現状
 (2) タクシー事故の特徴
 3 規制緩和とタクシーの安全
 4 タクシー事業における安全確保の方向性

第15章 ICTで変わるタクシーサービスの供給のかたち
 1 ICTの進展がタクシー産業に与える変化と影響
 (1) ICTで変わるサービス生産のかたち
 (2) ICTで変わるタクシーサービス生産のかたち
 (3) ICTの進展とマッチングサービス
 2 生産の形態が変わることによって変化する規制の枠組み
 (1) 統合から分離への対応
 (2) ICT進展による規制根拠の変化
 (3) 新しいサービス生産形態への政策対応
 3 ICTの進展によって安心安全の担保はどのように変化するか
 (1) ICTで変わる旅客運送サービスの情報の非対称性
 (2) ICTの進展で流通する情報
 (3) サービス品質の差異と競争
 (4) ICTで変わる安心安全の担保
 4 ICT進展によるさまざまな変化

第15章補論 ライドシェアとタクシーは何がちがうのか
 1 ライドシェアをめぐって何を議論すべきなのか
 (1) ライドシェアの魅力:なぜ盛り上がっているのか
 (2) ライドシェアの問題点:安全性に議論が集中している
 (3) 新経連の課題克服策:安全なライドシェアを強調する
 (4) 重大であるが議論されない「公共交通」としての機能
 2 自動運転が実現する陸上公共交通システムの完成

  第Ⅳ部 政策提言編

第16章 日本のタクシー政策はなぜ歪むのか
 1 タクシー政策は誰がどのように決めているのか
 (1) なぜ「国」が所掌するのか
 (2) 横槍を入れることができるのは誰か
 (3) そもそも法律はどう立案されているのか
 2 2007年の東京地区の運賃改定はなぜ迷走したか
 3 東京地区はなぜ改正特措法下の特定地域から外されたのか
 (1) 指定基準を設定する前にも多くの手続きが必要
 (2) 改正タクシー特措法には多くの附帯決議がなされた
 (3) 規制改革会議はどのように関与したのか
 (4) 採用された指定基準の適用結果は何を意味するのか
 4 タクシー政策の本質的な問題とは
 (1) 手段と目的の取り違え:目的は意識されない
 (2) 当事者意識の欠落:現場は遠い
 (3) 現場は多様だが、政策は一律にしておきたい

第17章 「一律政策」をやめよ
 1 二つのモデル:競争は有効か否か
 (1) 競争は十分に機能するはず
 (2) 現実は多様であり、単純ではない
 2 「場」の整理――どの「場」で競争させるか
 (1) 輸送サービス市場
 (2) 設備市場
 (3) 労働市場
 (4) 資本市場
 (5) 政策立案
 3 分野分割の提案:こちらでは競争、あちらでは規制

第18章 政策決定は地域主導でなければならない
 1 国による一元的タクシー政策の限界
 2 中途半端な意思決定の分権化
 (1) タクシーの特定地域協議会
 (2) 地域公共交通活性化再生法による取組み
 3 地方が担う地域公共政策によってタクシーの活性化を
 (1) タクシー政策は誰が決定するべきか
 (2) 政策目的を確立することから始める
 4 具体的な政策提言――東京地区を例として
 (1) タクシー独立行政委員会の設置
 (2) 確固たるタクシー政策の目的設定
 (3) タクシーとハイヤーの分野分割

執筆者一覧
編者略歴

著者プロフィール

太田 和博  (オオタ カズヒロ)  (

専修大学商学部教授
1960年生まれ。83年 慶應義塾大学商学部卒業、88年 同大大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。91年 商学博士号取得(慶應義塾大学)。慶應義塾大学総合政策学部助手、東京電機大学理工学部助教授、専修大学商学部助教授を経て現職。

青木 亮  (アオキ マコト)  (編集

東京経済大学経営学部教授
1967年生まれ。90年 学習院大学経済学部卒業、95年 慶應義塾大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。富山大学経済学部助教授、東京経済大学経営学部准教授などを経て現職。

後藤 孝夫  (ゴトウ タカオ)  (編集

近畿大学経営学部教授
1975年生まれ。2000年 慶應義塾大学商学部卒業、06年 同大大学院商学研究科博士課程単位取得退学。09年 博士(商学)取得(慶應義塾大学)。九州産業大学商学部専任講師・准教授、近畿大学経営学部准教授を経て現職。

追記

【 】内は担当章。
[編者]
太田和博(おおた かずひろ)【序章、13章、15章補論、16章、17章、18章】
専修大学商学部教授

青木 亮(あおき まこと)【1章、9章、11章】
東京経済大学経営学部教授

後藤孝夫(ごとう たかお)【3章、6章】
近畿大学経営学部教授

[執筆者](執筆章順)
泊 尚志(とまり なおゆき)【2章、7章】
東北工業大学工学部都市マネジメント学科講師

松野由希(まつの ゆき)【4章】
淑徳大学コミュニティ政策学部助教

加藤一誠(かとう かずせい)【5章】
慶應義塾大学商学部教授、政策研究大学院大学客員教授を兼任。

川村雅則(かわむら まさのり)【8章】
北海学園大学経済学部教授

青木淳一(あおき じゅんいち)【10章】
慶應義塾大学法学部准教授

田邉勝巳(たなべ かつみ)【12章】
慶應義塾大学商学部教授

安部誠治(あべ せいじ)【14章】
関西大学社会安全学部教授

中村彰宏(なかむら あきひろ)【15章】
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科教授

上記内容は本書刊行時のものです。