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入門 科学哲学
論文とディスカッション
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年11月1日
- 書店発売日
- 2013年11月22日
- 登録日
- 2013年10月16日
- 最終更新日
- 2013年11月25日
紹介
「哲学再発見」
哲学の古典や日常の経験を超えて真理を探しに行こう
「哲学」を学ぶ学生が、「哲学」と「科学哲学」を別物と考え、「科学哲学」を敬遠するのは哲学にとって実に不幸なことである。
ギリシャ以来の哲学史をすなおに振り返ってみよう。幾何学が大好きだったプラトン、数学を言葉として使って運動を分析したガリレオ。デカルトは解析幾何学を生み出し、幾何学の代数化を目論んだ。ニュートンの『プリンキピア』の邦題は『自然哲学の数学的原理』である。
古来、哲学は、数学や物理学と結びつき、それらを研究し使用する学問だった。現代の哲学はこれを忘れてしまったのだろうか。
17世紀に科学革命が起こり、実証的な科学が哲学から独立した。
そして21世紀に入り科学の役割はますます増大するばかりである。哲学と訣別したかにみえた科学に対して、科学だけでは解けない原理的な問題(例えば量子力学、生命や遺伝など)が意識され、それを解決するという使命が、科学哲学に与えられた。
再生される哲学がとるべき選択の一つが科学哲学なのである。
本書の特徴―論文とディスカッション
論文:
①文系の学生でも理系の主題について「哲学する」ことを、論文の読解を通して学ぶことができる。
②本書に掲載されている論文は、いずれも、科学哲学において今日、議論されることの多いテーマを扱っている。読者は科学哲学の代表的な問題のいくつかに触れることができる。
ディスカッション:
③各論文のおわりには、論文についての質問、著者による解答、論文をめぐる議論を「ディスカッション」として掲載してある。科学哲学のディスカッションを通して、読者は論文への理解を深め、哲学する姿勢を実践的に知ることができる。
目次
序 章
科学哲学を学ぶために 西脇与作
1. 哲学が問題にしてきた事柄を科学の観点から見返すと…… :
あるいは、20世紀以前の哲学を科学哲学的に見直すと
2. 20世紀初頭の科学的な哲学の動向はどうだったのか…… :
現在から振り返ってみれば
3. 現在の科学哲学にはどのような分野があり、その現状は…… :
科学哲学の現在
4. 各論文の内容について:それぞれの主張と特徴は何か
5 .各論文を読みこなし、科学哲学の将来を見据えよう
6. 参考文献について:科学哲学を学ぶために必要なのは
第一部 経験と知識の哲学
第一章 色や音は世界のなかにあるのか 源河 亨
1. はじめに
2. 客観主義
3. 主観主義
4. 主観主義の問題
5. 知覚の表象説
6. 物理主義の検討
7. おわりに
◇ ディスカッション1
知覚対象の存在論
源河 亨×田中泉吏×西脇与作
第二章 経験的知識とはどのようなものか
―合理的非合理性から見た科学的知識と知覚的知識― 古賀聖人
1. はじめに
2. 経験的知識の源:科学と知覚
3. 認識論の経済学化
4. 経験的知識のプラグマティズム
5. 結び
◇ ディスカッション2
知識というもののあり方をめぐって
古賀聖人×石田知子×西脇与作
第二部 生物学の哲学
第三章 有機体とは何か
―生物学における存在論― 田中泉吏
1. 有機体をめぐる問い
2. さまざまな有機体概念
3. 微生物と有機体概念
4. 生物学と存在論
5. 有機体の進化
6. 生物学における存在論
◇ ディスカッション3
生物学の存在論を問い直す
田中泉吏×源河 亨×西脇与作
第四章 遺伝情報を考える 石田知子
1. 導入
2. 分子遺伝学基礎知識
3. 遺伝情報概念の分析
4. 遺伝情報概念の役割
5. 結論
◇ ディスカッション4
遺伝情報をめぐる諸問題
石田知子×古賀聖人×西脇与作
第五章 進化論は生物の変化をどのように説明するのか 森元良太
1. はじめに
2. 進化論の因果的解釈
3. 進化論の統計的解釈
4. 進化論に因果概念は必要なのか
5. おわりに
◇ ディスカッション5
力の理論と進化論
森元良太×杉尾 一×西脇与作
第三部 物理学の哲学
第六章 物理学の認識論的転回を目指して 杉尾 一
1. はじめに
2. 古典論
3. 量子論
4. 新たな量子測定
5. まとめ
◇ ディスカッション6
存在論から認識論へ
杉尾一×森元良太×西脇与作
索引
追記
【編著者】
西脇 与作(にしわき よさく)〔序章執筆〕
慶應義塾大学名誉教授。
【著者】
源河 亨(げんが とおる)〔第1章執筆〕
慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在籍、慶應義塾大学大学院文学研究科非常勤助教(有期・研究奨励)。
古賀 聖人(こが まさと)〔第2章執筆〕
慶應義塾大学文学部非常勤講師。
田中 泉吏(たなか せんじ)〔第3章執筆〕
慶應義塾大学訪問研究員、慶應義塾大学文学部非常勤講師、立教大学兼任講師。
博士(哲学)。
石田 知子(いしだ ともこ)〔第4章執筆〕
慶應義塾大学通信教育部非常勤講師。
森元 良太(もりもと りょうた)〔第5章執筆〕
慶應義塾大学文学部非常勤講師ほか。
杉尾 一(すぎお はじめ)〔第6章執筆〕
慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在籍、日本学術振興会特別研究員。
上記内容は本書刊行時のものです。