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父はハンセン病患者だった

社会一般 ラノベ

林 力(著)
発行:解放出版社

四六判   213頁  並製
定価 1,600円+税

ISBN 978-4-7592-6774-7   C0036
在庫あり(出版社情報)

奥付の初版発行年月 2016年12月
書店発売日 2016年12月26日
登録日 2016年12月12日

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紹介

福岡県の同和教育運動の開拓者で、現在、ハンセン病元患者家族国賠訴訟の原告団長である著者は、ハンセン病者である父を隠しつづけた過去をもつ。父への思いと差別への恐れの間で悩み、父を公表するまでの葛藤を赤裸々に綴る。

目次

まえがき

Ⅰ 父の発病、私の少年時代
窮境のなかでの発病
博多での長屋生活
「くされの子」と言われて
父の「出立」
夜逃げ
東京での短い生活
博多に舞い戻る
「父は死んだ」と答えて
「小島の春」の上映
父の帰宅の三日間
改姓

Ⅱ 戦争、生死の境のなかで
入隊
末松軍曹のこと
非情な上官
敗戦で見たこと

Ⅲ 教員、私の光と闇
復員
戦災孤児らとの格闘
父に会いに
面会所
初登校日のこと
「よか先生」
生活窮迫の子どもたち
早朝の校舎見回り
職員室の大火鉢を囲んで
「小学校のころは楽しかったなぁ」
夫婦げんかの仲裁
ピアノ泥棒
いまは哀しい「愛のムチ」
初恋無惨
別人になった父
プロミンの登場
全患協の結成
痛ましい事件
二度目の父の帰宅
立ちはだかった医者たち
母を連れて星塚に

Ⅳ 父の死、私の告白
福岡市長選挙差別事件
すべての出発
ある打診
父の寺院建立の努力
父の死
父を語りはじめる

あとがき

前書きなど

 「らい(癩)」に対する差別、そして部落差別、この二つの差別を抜きにして私の人生はありえなかった。何よりも父は「らい」患者であった。いま、「ハンセン病」という。
 私の父は、失業のなかで三人の子を失った。父は、人生の悲嘆のなかでハンセン病を発病し、世間の目から妻子を守るために、みずから療養所の門をくぐった。一九三七(昭和一二)年、四二歳の夏だった。以来、父は六八歳で倒れるまで、療養所に囚われの身となった。一九四三(昭和一八)年、プロミンという治療薬が現れ、その後、治っていたにもかかわらず。
 私はハンセン病患者の父を恐れ、隠しつづけた。人には「死んだ」と言い、また「死ね」とも思った。私の苦い青春時代である。私は被差別部落(同和地区)に隣接する地域で育った。そして根深い差別意識をいだいていた。その後、数多い転居を重ねたが、部落を回るように移動していた。小学校の教師になるときは、何としても部落のある学校に赴任したくないと思っていた。辞令をもらった小学校は、貧しさそのもので過ごした幼年時代の四軒長屋の二カ所とともに近隣の部落を校区に含んでいた。
 その学校に赴任して、子どもたちと深く接するようになって、差別から逃げないで真正面から向き合う人々と出会い、学んで、自分自身を変えていった。しかし、私が部落差別をなくす教育に取り組みだしてから、父のことを語り出すのに、一八年の歳月を必要とした。
 二つの差別にめぐりあうことを通じて、私は同和教育、人権教育にかかわりつづけて、四半世紀を生き、多くのことを学んだ。この二つの差別のうち、どちらの出合いを欠いても、私は私ではない。
 私は今年で九二歳となった。残された人生はそう長くはない。私は、遺書のつもりでこれをまとめた。さまざまな差別に苦しんでいる人たち、そしてこの差別に関心をもっている人たち、差別をなくそうと考えている人たちに、何がしかのものを届けることができたら、最上の喜びです。

著者プロフィール

林 力(ハヤシ チカラ)

 1924(大正13)年、長崎県生まれ。福岡の小学校、高等学校教諭などを経て、2000年3月まで九州産業大学教授。その間、福岡県同和教育研究協議会会長、全国同和教育研究協議会副委員長などを歴任。そのほか九州大学などの非常勤講師を務めた。フィリピン国立ミンダナオ大学名誉博士。
 現在、福岡県人権問題講師団講師、あらゆる差別をなくす福岡県民会議会長、福岡県人権研究所顧問、ヒューマンライツ福岡市民会議会長、国連NGO横浜国際人権センター理事、福岡県ハンセン病に学ぶ会世話人代表。
 著書に『解放を問われつづけて』(明治図書出版、1974年刊)、『差別認識への序章』(あらき書店、1981年刊)、『若き教師たちへ―「同和」教育運動で学んだこと』(解放出版社、1988年刊)、『癩者の息子として』(明石書店、1988年刊)、『人権百話』(解放出版社、1993年刊)、『父からの手紙―再び「癩者」の息子として』(草風館、1997年刊)、『人権いろいろ話』(福岡県同和教育研究協議会、2001年刊)、『山中捨五郎記―宿業をこえて』(皓星社、2004年刊)、『人権50話』(解放出版社、2007年刊)、『つれづれの人権日記』(自費出版、2011年)、その他、福岡県人権研究所機関誌『リベラシオン』への寄稿文多数。

上記内容は本書刊行時のものです。