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声とともに生きる豊かな人生 マリウス・ローム(編) - 解放出版社
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声とともに生きる豊かな人生 (コエトトモニイキルユタカナジンセイ) 50人のリカバリー体験記 (ゴジュウニンノリカバリータイケンキ)

医学
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発行:解放出版社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ18mm
重さ 481g
328ページ
並製
定価 3,500円+税
ISBN
978-4-7592-6127-1   COPY
ISBN 13
9784759261271   COPY
ISBN 10h
4-7592-6127-3   COPY
ISBN 10
4759261273   COPY
出版者記号
7592   COPY
Cコード
C0047  
0:一般 0:単行本 47:医学・歯学・薬学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年6月15日
書店発売日
登録日
2022年4月18日
最終更新日
2022年6月14日
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紹介

自分だけにしか聞こえない声を聞く人が、不安、無力感、罪悪感、怒りなどがもたらす困難から人生を取り戻す過程を綴る。本人は声にどう対処すればいいか。医師など専門家や周囲のサポートは。豊富な具体的事例とヒントを示す。

目次

日本のみなさまへ ジャッキー・ディロン
監訳者まえがき 佐藤 和喜雄

まえがき リカバリーのために新しい臨床的、科学的な手法をうち立てよう 
ミカエラ・アマリン

はじめに マリウス・ローム/マービン・モリス

第1章 リカバリーするために大切なこと マリウス・ローム
第2章 声を聞くことに病気のレッテルは有害 マリウス・ローム
第3章 何が声を引き起こすのか? マリウス・ローム
第4章 声を受け入れリカバリーへの道を開く サンドラ・エッシャー
第5章 声の意味を理解する―声と人生の出来事との関係 サンドラ・エッシャー
第6章 人生の問題と声との間に潜む感情をひもとく マリウス・ローム
第7章 声を聞く人たちのグループ マリウス・ローム
第8章 声を聞くことへの心理療法 マリウス・ローム
第9章 投薬 マリウス・ローム

50人のリカバリー体験記 まえがき マービン・モリス

アミ・ローニッツ
アンドレアス・ゲールケ
アンチェ・ミュラー
オードリー・リード
キャロライン
ダーン・マースマン
デブラ・ランプシャー
デニス・ボスマン
ドン・ダガー
エレノア・ロングデン
エリザベス・スバンホルマー
フェルナンド・チャピン
フローレ・ブルマンス
フランク・ダーメン
フラン・ド・グラーフ
ギャビン・ヤング
ジーナ・ローミット
ハネロア・クラフキ
ヘレン
フッテン夫人
ジャッキー・ディロン
ジャン・ホロウェイ
ジャネット・ブリンク
ジャネット・ウールトゥイス
ジョー
ジョン・エクセル
ジョン・ロビンソン
ジョニー・スパルバン
ヨランダ・ファン・ホーイ
カリーナ・カーリン
リゼット・デ・クラーク
マリオン・アスラン
ミーケ・シモンズ
ミーン・ソネマン
オディ・オコーサ
オルガ・ルンシマン
パツィ・ハーグ
ペギー・デービス
ピーター・ブリモア
ピーター・レイノルズ
リニー・セルダー
ロバート・ハイスマン
ロン・コールマン
ロニー・ニルソン
ルーファス・メイ
ルース・フォレスト
サシャ・スロッテンマーカース
ショーン・ハイセン
スチュワート・ヘンドリー
スー・クラークソン

付録
謝辞 マリウス・ローム
参考文献

訳者あとがき 森 直作

前書きなど

監訳者まえがき
聞こえる声を受け容れて――回復と成長への道案内
佐藤和喜雄
 誰もいないのに声がはっきりと聞こえる。誰々の声だ。いや誰の声かわからない……。
 周囲にそれとわかるような音声刺激がなくても「声が聞こえる」という体験は、精神医学では、「幻聴」といい、多くの場合、統合失調症の症状として、抗精神病薬による薬物療法の対象とされている。しかし治療を受けていても、声のために生活をかき乱されるなどの苦しみが続く人が多くいる。逆に、声が聞こえていても精神科医療を一度も受けないで、その人らしい生き方を築いている人々もいることは、あまり知られていない。
 ヒアリング・ヴォイシズという取り組みは、聞こえる体験をそのまま「ヒアリング・ヴォイシズ=声が聞こえる」という言葉で捉えなおし、経験者の体験と言葉を大事にしながら、その体験への理解・対処・支援について学び、聞こえる本人の自已理解と関係者の理解や視点の深化と広がりを探究しようとする研究と支援活動である。
 1987年にオランダのマーストリヒト大学社会精神医学教授マリウス・ローム博士と、彼が診ていた患者で声に苦しんでいた女性パツィ・ハーグさんと、地域精神保健センターの学芸報道員サンドラ・エッシャーさんが共同で、ローム教授とその患者さんがテレビのトークショーで彼女の声について語り合うという、思い切った企画を生み出した。これに端を発して、多くの「声を聞く」体験者が集まって体験を自分の言葉で語り合いはじめた。ロームさんらはそこから多くを学び、研究し、成果を世界的な精神医学雑誌『Schizophrenia Bulletin』に発表(1989)した。以後この取り組みは年々欧州から世界に広がり、国際ネットワークを形成するにいたった。
 日本では1993年にローム博士らの論文の佐藤訳「ヒアリング・ヴォイシズ」が日本臨床心理学会の『臨床心理学研究』に掲載され、96年にその別刷を佐藤が頒布しながら、岡山県でヒアリング・ヴォイシズ研究会を初めて立ち上げ、声を聞く体験者と主に精神保健福祉関係者や家族などと話し合った。この新しい考え方は、新鮮な驚きと何かほっとするような気持ちと熱心さで学習されはじめた。(中略)
 このあと岡山の研究会は、例会の開催、ニュースレター発行、事務局づくり、会員制度などを定め、連続講演であらわれた全国の人々の熱意とニ一ズに応える活動が各地で生まれ育つのを助けるための足場を作った。(中略)
 本書は、お二人のほか、声の体験者ジャッキー・ディロンさんを含む5名の編集により、疾病概念と薬物療法の害への明言を含む、洞察に満ちた解説と50名のリカバリー体験記を包含する、非常に強力な「声を受け容れる取り組み」へのガイドとなっている。(以下、略)



まえがき
リカバリーのために新しい臨床的、科学的な手法をうち立てよう
ウィーン医科大学教授(精神医学、心理療法) ミカエラ・アマリン

 声を聞く人たちは、リカバリー運動の先駆者の中核として、リカバリーの実現のために活動してきた。この運動は、メンタルヘルスシステムを、陳腐な旧来のものから、まったく新しい斬新なものに変えるために、リカバリーを目的としたモデルづくりを目指している。
 ひとたびこの活動に取り組みはじめれば、リカバリーのほとんどは、旧来の病院のような環境では、けっして得られないことを知る。支えてくれる臨床医、メンタルヘルスのサポーターの積極的なチャレンジの果たす役割が大きな意味を持っていることがわかる。第1に、さまざまなサポートやチャンスをそれぞれが自分の判断で選び取ること、第2に、それぞれの参加者の雇用を促進すること、第3に、予想されるリスクに対して支援すること、これらがサービスの基本である。病気という、「何かが欠損しているモデル」という扱い方に断固として決別し、新しいリカバリーに向かって、建設的なリカバリーする力によって健康を目指す。生きていく権利や存在感までも削いでしまう「病人扱い」や、症状の悪化防止や安定のためなどという消極的姿勢でなく、リカバリーのための前向きな姿勢で、もっと広い視野で取り組んでいく。このためには、参加者の持てる才能を生かした新しい形の協力体制が、ぜひとも必要である。
 すべての活動に誰でも自由に参加し、一人ひとりの個性に応じた対応ができる新しい体制をつくり、差別がなく、治療をむりやり強制したりせず、あくまでしっかりとした根拠に基づいた方針で取り組んでいく。
 リカバリーを本物にするには、人間としての権利、患者としての権利を守るために、私たちはあくまで科学的で冷静な対応でなければならない。旧来のさまざまな、名目上は精神的サービスやサポートを受けてきたはずの人々の中には、悲惨な被害を受けた例が数え切れない。メンタルヘルスサービスの連携は、多くの成果を上げてきたが、新しい時代に向けたさらなる挑戦が必要だ。
 なかでも、アメリカの全国精神保健コンシューマー/サバイバー団体連合(National Coalition of Mental Health Consumer/Survivor Organizations)は、人々の目一杯生きる権利をサポートし、「我々の活動には、リカバリーできる証拠がある」を旗印に、リカバリーへ向けた、根拠に基づいた活動を目指している。至急の助けを求める電話にも、可能なすべての経験と根拠を動員して対応している。
 現旧のメンタルヘルスサービス利用者、介護者、またサービスの代表者やサポーターの協調的な取り組みは、不名誉や不当な差別そして社会的疎外など、リカバリーへの努力を台なしにするような旧来の弊害を極力減らすチャンスとなる。意欲をくじき元気を削ぐような現在の医療の誤った枠組みを打ち砕くには、この運動に賛同してくれる方々の英知の結集が望まれる。

著者プロフィール

マリウス・ローム  (マリウス ローム)  (

医学博士(MD)、人文系博士(PhD)。マーストリヒト(オランダ)大学医学部の社会精神医学教授(1974~1999)、マーストリヒトのコミュニティ精神保健センターの顧問精神科医。
現在、バーミンガム市立大学コミュニティ精神保健センター客員教授。過去25年の彼の研究は、声を聞くことの経験に焦点を当ててきた。

サンドラ・エッシャー  (サンドラ エッシャー)  (

人文系修士(MPhil)、人文系博士(PhD)。科学ジャーナリスト、マーストリヒト大学で上級研究者として勤務。研究は、声を聞いている子どもたちに焦点を当てる。
現在、バーミンガム市立大学コミュニティ精神保健センター名誉研究員。

ジャッキー・ディロン  (ジャッキー ディロン)  (

イングランドの全国ヒアリング・ヴォイシズ・ネットワーク会長。
このネットワークは、声を聞く、ものを見る、触覚を感じるなどの感覚的体験の受け入れと理解を促進することに取り組むユーザー主導の慈善団体。彼女は、ヒアリング・ヴォイシズ、「精神病」、精神的外傷に特化した国際的な話し手かつトレーナーで、作家としても活躍している。

ディルク・コーステンス  (ディルク コーステンス)  (

マーストリヒトのコミュニティ精神保健サービス(RIAGG)で働く社会精神医学の医師、心理療法医。
彼はマリウスとサンドラとともに仕事をし、現在はマーストリヒトの声を聞く人のための治療施設を運営している。彼はまた、声を聞く人と専門職のための研修と声の対話法(voice-dialogue)のテーマで博士号の取得準備中である。

マービン・モリス  (マービン モリス)  (

バーミンガム市立大学地域精神保健教授、地域精神保健センター所長。
とくに精神病の分野で、ユーザーの新しい見識を通して提供するサービス内容の再検討と今までと異なる対処法の開発に焦点をあてる。彼は、声を受け入れるアプローチに関して大学公認で実用性を重視した研修を進めている。

佐藤 和喜雄  (サトウ ワキオ)  (監訳

NPO法人福祉会菩提樹理事長。日本臨床心理学会元運営委員。
1938年生まれ。東京大学教育心理学科卒業。少年院、精神科病院などに勤務。イギリスのリッチモンド・フェローシップ留学中にヒアリング・ヴォイシズ運動に触れる。1996年にヒアリング・ヴォイシズ研究会を設立。順正短期大学助教授などを務めた。
共著書に、『心理治療を問う』(現代書館、1985年)、『幻聴の世界 ヒアリング・ヴォイシズ』(中央法規出版、2010年)など。ヒアリング・ヴォイシズに関する論文多数。

森 直作  (モリ ナオサク)  (

医師。ふれあいグループふれあい鶴見ホスピタル院長。
1948年生まれ。群馬大学医学部卒業。東京大学医学部研修後、横浜市立大学病院を経て現職。
訳書に、アルノ・グリューン『遠い日の忘れもの―生まれたあの日、母は本当に私を愛していたか 最新心理学日本語訳』(武田出版、2007年)、アルノ・グリューン『愛を知らない―「歪んだ愛」と「憎しみ」の連鎖 心理学バイブル』(あむすく、2009年)。

上記内容は本書刊行時のものです。