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現代の部落問題 朝治 武(編) - 解放出版社
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現代の部落問題 (ゲンダイノブラクモンダイ)

社会一般
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発行:解放出版社
A5判
縦217mm 横156mm 厚さ33mm
重さ 869g
550ページ
上製
定価 6,000円+税
ISBN
978-4-7592-4130-3   COPY
ISBN 13
9784759241303   COPY
ISBN 10h
4-7592-4130-2   COPY
ISBN 10
4759241302   COPY
出版者記号
7592   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年3月3日
書店発売日
登録日
2021年12月2日
最終更新日
2022年3月18日
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書評掲載情報

2022-05-21 図書新聞  3543号(2022年5月21日)
評者: 著者:朝治 武 氏インタビュー
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紹介

全国水平社は、二〇二二年三月三日で一〇〇周年を迎える。この『講座 近現代日本の部落問題』全三巻(以下、本講座)は、これを記念して発刊される論文集です。第一巻「近代の部落問題」(担当:朝治武)、第二巻「戦時・戦後の部落問題」(担当:黒川みどり)、第三巻「現代の部落問題」(担当:内田龍史)という、全三巻で構成している。
 近現代日本における部落問題の歴史的位置を確認するという作業は、おのずと日本と社会との関係を重視することになる。また民主主義と人権が世界のグローバルスタンダードとなっている今日、部落問題の解決は国際的視野からもアプローチされる必要がある。そのため本講座の性格からして歴史学を中心としつつも、民俗学、社会学、経済学、法学、教育学などからも執筆者の参加を得て、学際的な共同研究の体裁をとることになった。
 本講座の企画は、二〇一五年に部落解放・人権研究所の調査研究事業として始まり、編集委員会を組織してから三年間にわたって企画を検討し、最終的には、四二人による原稿を確保することになった。近現代日本における部落問題の歴史的位置を確認するという目標は、当初の予定の通りに達成できたと考えている。
 第三巻が対象とする時期は、一九七〇年代以降から現在にいたるまでのおおむね五〇年間である。前半は一九六五年の同和対策審議会答申をうけ、一九六九年に制定された同和対策事業特別措置法のもとで大きく進展した部落解放運動と部落問題に対する政治・社会の対応を、高度経済成長終了後の低成長とグローバル化にともなう日本社会の変動を視野に入れつつ描く。後半は、二〇〇二年に同和対策に関する一連の特措法が期限切れを迎えた後、不可視化されつつある現代の部落問題の現実、さらには水平社一〇〇年の後の部落解放のあり方を展望する。

目次

発刊にあたって

序章 現代の部落問題………内田龍史
一 問題意識と課題/二 特措法下の同和対策と部落解放運動の展開/三 被差別部落の構造的変化と部落差別の変容/四 ポスト特措法時代における部落問題の展開

狭山事件と狭山裁判闘争の六〇年………友常 勉
はじめに/一 第三次再審の争点/二 狭山闘争史/おわりに―狭山現地と部落の現在

国民融合論と北原泰作………手島一雄
はじめに/一 北原「国民融合論」の原点と変遷/二 「国民融合全国会議」の結成と北原―榊対談/おわりに

部落差別撤廃の法制化………金子匡良
はじめに/一 日本国憲法の制定と人権法制の萌芽/二 同和対策事業特別措置法と同和行政の進展/三 部落解放基本法の制定に向けた取組/四 包括的人権救済法制定の模索と挫折/五 差別撤廃に向けた条例の制定/六 部落差別解消推進法の制定/おわりに―「差別されない権利」を求めて

部落解放をめざす教育の展開………森 実
はじめに/一 同和教育概念の主流化/二 同和教育のあり方をめぐる議論と原則の確立/三 同和教育と解放教育の相互作用のもとで/四 部落解放をめざす教育の発展と国民融合論の破綻/五 人権教育の登場/おわりに

部落女性の解放運動………熊本理抄
はじめに/一 同和教育に位置づいた同和保育/二 女性の労働権と子どもの教育権/三 厚生省基準を上回る保育の基準づくり/四 部落女性の解放運動が見せた多様な展開/五 共闘による「女性の権利」の意識化/おわりに

部落解放運動一〇〇年と国際連帯………友永健三
はじめに/一 全国水平社の創立と国際連帯活動/二 戦後の部落解放運動と国際連帯(一九七〇年代まで)/三 七〇年代以降二〇世紀末までの国際連帯活動/四 二一世紀以降の国際連帯活動/五 今日の到達点/おわりに

ナショナリズムと複合差別………山本崇記
はじめに/一 「オールロマンス闘争」に対する「民族差別批判」のインパクト/二 社会運動研究とライフストーリー研究の問題点/三 都市政策上の位置付けから見る/四 住民運動という視点/五 ヘイトスピーチが突き付けた新たな課題―地域社会への波紋/六 「世系」と「人種」―「部落」と「在日」の関係性の方途/おわりに

結婚差別と「家」制度………齋藤直子
はじめに/一 部落出身者への結婚差別をめぐる先行研究/二 「家制度」の定着期をめぐる研究/三 戦後の民主化と「家」/四 近代家族論と家族の絆/五 日本型近代家族をめぐる議論/おわりに

同和問題に関する意識調査からみる部落差別認識の変容………内田龍史
はじめに/一 同和対策審議会以前の意識調査/二 同和対策審議会調査部会による調査/三 同和問題に関する意識調査の展開/四 人権問題に関する意識調査へ/五 部落問題認識の現在/六 意識調査結果が提起するもの

ポスト特措法時代における被差別部落の実態………妻木進吾
はじめに/一 高度成長期以降の被差別部落の実態/二 不可視化するポスト特措法時代の生活実態/三 ポスト特措法時代の生活実態―二〇一〇年の大阪市の被差別部落/四 入れ替わる人びとと引き継がれる地域の困難/五 「同和地区」という境界線と生活実態調査/おわりに

ネオリベラリズム時代の同和地区の階層分化………野口道彦
はじめに/一 ネオリベラリズムの時代/二 都市間の所得格差/三 Y市の同和地区の人口の動態/四 公営住宅へのネオリベ政策の導入/五 同和地区内部の階層分化/六 公営住宅層―同和地区と非同和地区との比較/おわりに

部落の貧困と低学力問題………髙田一宏
はじめに/一 部落問題解決の戦略と学力保障/二 格差社会化と部落の低学力/三 部落の貧困と低学力の変化/四 貧困対策としての学力保障/おわりに

インターネットと差別………李嘉永
はじめに/一 ネット上での差別の実態/二 インターネット上の差別を規制する法令の動向/三 ネット上の差別的投稿・差別的コンテンツへの対処/おわりに

部落解放運動と日本社会の変革………北口末広
はじめに/一 IT革命がもたらす社会の変化と部落解放運動/二 これまでの部落解放運動の成果の概要/三 差別糾弾闘争を取り巻く議論と具体的手法/四 差別糾弾闘争の原則/五 正確な事実認定と社会システムの変革/六 これからの部落解放運動/七 時代の変化をふまえた部落解放運動の構築/おわりに

著者略歴

著者プロフィール

朝治 武  (アサジ タケシ)  (

朝治 武(あさじ・たけし)
1955年生まれ。大阪人権博物館館長。著書に『水平社の原像』(解放出版社、2001年)、『アジア・太平洋戦争と全国水平社』(解放出版社、2008年)、『差別と反逆―平野小剣の生涯』(筑摩書房、2013年)、『水平社論争の群像』(解放出版社、2018年)などがある。

黒川 みどり  (クロカワ ミドリ)  (

黒川みどり(くろかわ・みどり)
静岡大学教授。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業 博士(文学)。日本近現代史、おもに思想史・部落史。主要著作に、『近代部落史』(平凡社新書、2011年)、『描かれた被差別部落』(岩波書店、2011年)、『差別の日本近現代史』(共著、岩波現代全書、2015年)、『創られた「人種」―部落差別と人種主義』(有志舎、2016年)、『評伝 竹内好―その思想と生涯』(共著、有志舎、2020年)『被差別部落認識の歴史』(岩波現代文庫、2021年、原著『異化と同化の間』青木書店、1999年)などがある。

内田 龍史  (ウチダ リュウシ)  (

内田龍史(うちだ・りゅうし)
1976年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了、博士(文学)。尚絅学院大学講師・准教授・教授を経て、現在、関西大学社会学部教授。専門は社会学。著書に『被差別部落マイノリティのアイデンティティと社会関係』(解放出版社、2020年)、編著に『部落問題と向きあう若者たち』(解放出版社、2014年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。