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「10の姿」をこえる保育実践のために
「エピソード」で語る あるがままの子ども
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年9月15日
- 書店発売日
- 2021年9月17日
- 登録日
- 2021年7月19日
- 最終更新日
- 2021年9月13日
紹介
2017年に改訂(定)された就学前保育・教育施設の指針・要領が提示した「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(「10の姿」)をどうとらえるのか。現役保育者と研究者が、現場の実践事例(エピソード)をふまえ人権の視点に立って提起する。
PartⅠは、保育現場でのエピソードをめぐって経験年数の異なる保育者と研究者が、子どもの「あるがまま」の姿を大切にして話し合いを深めながら、「10の姿」をこえる保育実践を考える座談会。PartⅡは、研究者がカリキュラム論、子どもの権利論、インクルーシブ教育論の視点から「10の姿」を考察する。
目次
はじめに
PartⅠ つながる保育をめざして――エピソードと座談会
1「ユウスケくんはずるい!」
――やりたい思いを大切にする保育とは?〔3歳児6月〕
2「小さいのがいいんだもん!」
――一人ひとりの思いを受けとめる保育とは?〔3歳児10月〕
3「いのちの選択」
――子どもの柔軟な感性を育む保育とは?〔4歳児6月〕
4「なんでミカちゃんだけ!」
――いざこざの中で自分の思いを出す保育とは?〔4歳児9月〕
5「だって、ジャンケン弱いから負けるもん」
――けんかやいざこざでつながる保育とは?〔5歳児5月〕
6「バッタはカマキリのエサじゃない!」
――互いの思いを出してつながる保育とは?〔5歳児9月〕
7「ねっ、当てたらもどれるでしょ」
――異年齢の子どもがつながり育ち合う保育とは?〔5歳児10月〕
8「誰が嫌い?」
――遊びでつながり友だちへの思いが変わる保育とは?〔5歳児11月〕
9「靴おにいれて!」
――遊びをとおして「あるがまま」が肯定される保育とは?〔5歳児1月〕
PartⅡ 「10の姿」をこえて――人権の世紀を生きる保育者へのメッセージ
幼稚園教育要領の変遷と「10の姿」●佐藤哲也
1.保育をめぐる不易と流行
2.高度経済成長期の保育内容
3.保育内容・方法の新展開
4.少子化時代の「生きる力」を育む保育
5.「10の姿」の登場
6.教育・保育政策の保守化
7.「3法令」という詭弁
8.まとめ
子どもの権利の視点からみた「10の姿」●井上寿美
1.子どもの人権に関する記述の温度差
2.保育概念に含意された教育とは異なる幼児教育
3.国が目標とする5歳児の子ども像
4.到達目標としての評価観点と化す「10の姿」
5.あるがままでいることが認められない保育
6.子どもが自分らしく育つ権利を保障する保育
人権保育から「10の姿」を超える●堀正嗣
1.日本の学校教育の問題点と「10の姿」
2.人権保育としての就学前保育・教育
3.人権保育の4つの側面
4.人権保育の視点
5.人権教育としてのインクルーシブ教育
6.特別支援教育ではなく、インクルーシブ教育を
おわりに
資料 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
●コラム
「つぶやき」は接着剤 思いと思いで人とつながる●辻木愼吾
子ども心●大川織雅
「男の先生」と言われない日をめざして●辻木愼吾
ジェネレーションギャップ●見元由紀子
わたしの思う「チーム幼稚園」 保育者だけがチームではない●疋田美和
子どもの人権を大切にする「同和保育」の運動●井上寿美
前書きなど
保育者や保育者をめざす学生のみなさん、毎日の子どもとの生活の中で何を大事にしたいと考えていますか?
2017年3月に改訂(定)された「保育所保育指針」、「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」(以下、指針・要領)のいずれにおいても、幼児期において育みたい資質・能力の三本柱が示されました。その具体的な姿として「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」という10項目(以下、10の姿)が記されました。
指針・要領で示された「10の姿」と保育者はどのように向き合っていくのか、「10の姿」は保育の実践をどのように変えていくのか、多くの保育者や研究者が思いをめぐらせたことでしょう。本書は、こうした問題意識を共有する保育者と研究者が語り合い、つくりあげた1冊です。
PartⅠは、現役の保育者が9本のエピソードを寄せています。これらのエピソードは事実にもとづいたフィクションです。座談会は、エピソードをもとに話し合った実際の研究会のやりとりをふまえ、経験年数の異なる保育者が参加した架空の研修会という設定でまとめました。
PartⅡは、大学で保育者養成にとりくんでいる三人の研究者による論考です。「10の姿」について、カリキュラム論、子どもの権利論、インクルーシブ教育論の視点から考察し、人権の世紀と言われる21世紀の保育を創造していく視点について展望しています。
読者のみなさんには、座談会に参加したつもりになって、自分だったらどのような発言をするのだろう? どの発言に共感できるのか? 各々、考えながら本書を読みすすめていただけるとうれしいです。このテキストをとおして、私たちとつながり、保育を語り合ってみませんか?
上記内容は本書刊行時のものです。