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道徳科の「授業革命」
人権を基軸に
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年6月
- 書店発売日
- 2018年6月25日
- 登録日
- 2018年5月24日
- 最終更新日
- 2019年3月27日
書評掲載情報
2018-09-01 |
クレヨンハウス通信
vol.452 評者: Woman's EYE vol.288 |
2018-08-10 |
季刊フォーラム 教育と文化
通巻91号 2018 SPRING 評者: 佐野 利男 氏 |
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重版情報
2刷 | 出来予定日: 2019-03-03 |
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紹介
道徳科と人権教育の関係をわかりやすく整理し、人権を基軸とした「考え、対話がはずむ道徳科」の創造をめざす。『はしの上のおおかみ』『雨のバスていりゅう所で』『手品師』『二通の手紙』を例に、新たな視点で教材研究し、子どもと教師がエキサイティングに取り組めるよう多面的・多角的な授業展開を提案する。
目次
はじめに
第1章 「道徳科」についての重要な〝おさらい〟
(1)「せんせ、どうとくって何?」
(2)教科化の人気度は「ワースト2」
(3)「教科化」の背景はいったい何だったのか
(4)子どもをど真ん中に据えた教育の論理で
(5)「いじめ問題」に道徳教育は有効か
(6)21歳のあっぱれ「投書記事」
(7)新しい「道徳科」への一提案
(8)スウェーデンの「知的な教科書」に学ぶ
第2章 人権教育と道徳教育のつながり
(1)大切にしたい「人権の視点」
(2)主権者としての市民の育成
(3)人権教育の充実なくして「道徳性」に実りなし
(4)「家の数だけある 家族のカタチ」
(5)「二分の一成人式」を問い直す
(6)仲間づくり・学級づくりは「教育の土台」
(7)「ク・ラ・ス集団」か「エレベーター集団」か
(8)授業実践に「二点・八項の視点」
第3章 「道徳科」の授業と人権教育
(1)手回し「ろくろ」のイメージで
(2)バラの花と「人権の水」
(3)ユニバーサルな視野で人権尊重をうたう
(4)『道徳は教えられるか』という問い
(5)村井実に学ぶ人権尊重の「道徳科」
(6)子どもの実態を重視すること
(7)「どんでん返しの発問」を用意する
(8)教科書はどのように使えばよいか
第4章 子どもが身を乗り出す授業づくり
(1)道徳科の「内容項目」と人権教育
(2)「人間尊重」と「人権尊重」
(3)「いじめ」問題と道徳科の授業
(4)「畏敬の念の不足」がもたらすもの
(5)合言葉は「誰一人として取り残さない」
(6)「愛」は心のなかに「おのずから起こる」もの
第5章 「道徳科」の授業づくり
(1)「基盤教科」という位置づけ
(2)内容項目の「こと」の重大性
(3)教師自身の授業観が問われる
(4)「人間尊重の精神にかなう」教材を
(5)イメージは人権を基軸とした「人道科」
第6章 教材で「考え、対話のある授業」を愉しむ
(1)「教材理解」と「生活対話」のバランス
(2)授業で「発問」はどう工夫すればよいか
(3)子どもが「問い」を発する授業
◆教材『はしの上のおおかみ』の授業を考える
授業者はコーディネーター役に/威張るおおかみの背景を考える/将来をも見通した「親切、思いやり」/教材のなかにシティズンシップ教育や主権者教育の萌芽
◆教材『雨のバスていりゅう所で』の授業を考える
「晴れの日のバス停」ではどうなのか/法や決まりを真面目に尊重するには/生活意欲にダイレクトに結びつく授業
◆教材『手品師』の授業を考える
「正直、誠実」な生き方とは/この手品師と子どもの行く末が心配/あなたはウデのいい「手品師」なのだから
◆中学校教材『二通の手紙』の授業を考える
元さんは最後の最後に自ら晩節を汚した/元さんだけが処分されて済むのか
(4)「道徳科」の評価はどのようにおこなうのか
第7章 「自尊感情」と道徳性
(1)「生を肯定できない者にあらゆる倫理は空しい」
(2)保護者懇談会の学習材として使える
(3)「現状維持的道徳性」と「未来創造的道徳性」
第8章 すべての学びの土台は「学級・集団づくり」
(1)子どもは「こいびと」を求めている
(2)「ルールづくり」より「レールづくり」
(3)問題解決の糸口は子どもがつかんでいる
(4)子どもがつながる学級に必要なモノ
(5)「文化ボンド」が生きる学級活動
(6)授業のなかでも「学級づくり」
コラム
① 「てつがく」科のある小学校
② 自尊感情を高める詩
③ 「あんたが宝もの」
④ 「一斉グループ学習」より「MG学習」
⑤ 「MG学習」による学びの相互性
⑥ 「MG学習」体験者の声
⑦ いま一度、拓也に会いたい
⑧ その子にフィットする「ジャンプ台」
前書きなど
はじめに
これから「道徳」がおもしろくなる。「道徳科」の授業は週にわずか一時間。だが、やりようによっては、子どもたちが待ち遠しくてたまらない時間になるはずだ。
子どもは将来のためだけではなく、今を生きている。それゆえワクワクすることばかりではない。迷うこと、落ち込むことにもしばしば直面している。その当人たちが求めている「こと・人・教材」に出会えたとき、身をのり出して授業に参加し、こちらが教えようとしなくても、まとめようとしなくても、自分で考え、よりよく生きていくための対話を仲間と深めていく。
「人の意見を聴いていると、そんな考えもあったのかとハッとする」「モヤモヤしていたことが、スッキリする」「答えが一つに決まっていないから、よけいに深く考える」「道徳の時間って、思ったことが自由に言えて、とてもたのしい」「他の授業と気分がぜんぜん違う」……
子どもたちがこのようにすがすがしく語ってくれる授業がしたい、教室をつくりたい。そう願うのは教師のノーマルな欲望である。それを満たすためにも、子どもといっしょになって「道徳科の『授業革命』」に一歩踏み出そうではないか。本書がその一助となれば、これほどうれしいことはない。
書名の「授業革命」という表現は、戦後の綴方教師・小西健二郎の歴史的名著『学級革命』にあやかった。学級・集団の質と、授業の質は別モノではない。両者は相互に依存し合って、相乗的だ。授業の内外で「自分が大事にされている」という感情(被尊感情)を子どもがしみじみ覚えるとき、それぞれの「革命」は静かにはじまっている。だが、ここで忘れてはならないことは「被差別マイノリティ」への着眼である。困難な状況にある子どもが「自尊感情」をはぐくみ、仲間とともに輝いているのか。とくに「道徳科」では生活を見つめ、本音が語られてこそ授業が成立する。人権を基軸にした「道徳科」の授業内容と、その展開がいっそう強く求められるわけだ。が、それは何よりも当事者である子どもたちが求めていることでもある。
本書は「道徳科」の授業と人権教育について、全八章にわたって管見を述べている。各章の末尾には月刊誌『部落解放』(解放出版社)の連載コラム「子ども・教育 自由ノート」の抜粋を配した。一人でも多くの方に読んでいただき、教室で試みられることを期待してやまない。
版元から一言
道徳科の代表的な読み物教材『はしの上のおおかみ』『雨のバスていりゅう所で』『手品師』『二通の手紙』を使って、子どもたちからどのように多面的・多角的な思考を引き出すか。その授業展開も具体的に提案されています。
上記内容は本書刊行時のものです。