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「語り」言説の研究
- 書店発売日
- 2018年1月25日
- 登録日
- 2018年1月12日
- 最終更新日
- 2018年1月12日
紹介
虚構の出来事を作者ならぬ「語り手」が語る作品を「語り」という。「語り」という言語も、「語り」内容(何が書かれているか)と「語り」言説(いかに書かれているか)からなる。本書では後者、「語り」言説の表現機構を主要な語法・文法に注目して、古代の物語、近現代の小説を対象に探究する。特に、「なりけり」構文と文脈形成上の機能、「語り」における語り手と視点の問題、「は」と「が」の語用論的機能や作品の構造分析などについて論述。
目次
凡例
前編 古典語の「語り」言説
〔一〕物語の表現機構
1 物語文学の表現――語法と文体のはざま
2 物語言語の法――表現主体としての「語り手」
3 「語り」言語の生成――歌物語の文章
〔二〕「なりけり」構文と「語り」の展開
1 貫之の文章――仮名文の構想と「なりけり」表現
2 『大和物語』の文章――「なりけり」表現と歌語り
3 『源氏物語』の「なりけり」語法の表現価値
〔三〕『源氏物語』の文体――「いかに書かれているか」の論
〔四〕夕顔巻(源氏物語)を読む
1 夕顔の巻はいかに読まれているか
2 夕顔の宿
〔五〕とぞ本にはべめる――語りテクストの表現構造
〔六〕『大鏡』を読む
1 大鏡――その語りの方法
2 公任「三船の才」譚(大鏡)再考――指示語の機能と語り
参考 絵巻詞書の文章――信貴山縁起(絵巻)・源氏物語絵巻・西行物語絵巻
後編 現代語の「語り」言説
〔一〕文章論的文体論
〔二〕歴史的現在(法)と視点
〔三〕小説の冒頭表現
1 小説冒頭の「は」「が」(覚書)
2 小説冒頭表現――「は/が」の語用論的考察
3 冒頭表現と視点
〔四〕「語り」と視点
1 物語・小説の表現と視点
2 視点と語り
3 表現の視点・主体
4 表現と視点――「私」はどこにいるか
5 視点論の課題――語り手の視点と語法
〔五〕小説の構造分析
1 三島由紀夫『金閣寺』構造試論――文章論における意図をめぐって
2 川端康成「百合」――その構造と思想
〔六〕マンガの表現――絵と詞
1 文体としてみた「マンガのことば」
2 現代マンガの表現論
キーワード索引(用語・事項)
上記内容は本書刊行時のものです。