書店員向け情報 HELP
出版者情報
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
ヨーロッパ美術における寓意と表象
チェーザレ・リーパ『イコノロジーア』研究
原書: ALLEGORIA ET REPRAESENTATIO IN ARTE EUROPEA:Studia de ICONOLOGIA Caesalis Ripae
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年4月
- 書店発売日
- 2017年4月5日
- 登録日
- 2017年4月3日
- 最終更新日
- 2024年1月17日
紹介
チェーザレ・リーパの寓意表象の集大成『イコノロジーア』は、一七世紀以降の芸術、とくに美術に大きな影響を及ぼした。たとえば、ヨハネス・フェルメールの最晩年の作品《信仰の寓意》は、ディルク・ピーテレスゾーン・ペルスが編纂し、一六四四年にアムステルダムスで刊行した、チェーザレ・リーパ『イコノロジーア』のオランダ語版における〈信仰〉の記述に依拠している。「〈信仰〉はまた、座っており、きわめて注意深く見える女性によって表わされる。彼女は右手に聖杯をもち、左手は一冊の本の上に置いており、この本は、キリストを意味する堅固な隅石の上にある。彼女は両足の下に世界を踏みつけている。彼女は上着の下に、深紅の衣服をまとっている。その隅石の下には、押しつぶされた蛇が横たわり、そして〈死〉が折れた矢をたずさえている。そこには、原罪を引き起こした林檎が置かれている」。フェルメールの絵画のタイトルに登場している「寓意」という観念は、チェーザレ・リーパの『イコノロジーア』が、この「寓意の時代」を表現する、ひとつの「寓意」であった。
目次
プロローグ 寓意の世紀──『イコノロジーア』の成立
Ⅰ 『イコノロジーア』の歴史的背景
1 古代における寓意と擬人像
2 中世における寓意と擬人像
3 ルネサンスにおける寓意と擬人像
Ⅱ 『イコノロジーア』の世界
1 チェーザレ・リーパの生涯と著作
2 『イコノロジーア』の思想と構成
3 『イコノロジーア』の諸版と翻訳
Ⅲ 『イコノロジーア』と古典古代の伝統
1 古典古代の作品の受容
2 神話の集成と解釈
3 ヒエログリフ、メダル、エンブレム
エピローグ 寓意の時代──『イコノロジーア』の影響
註
文献一覧
人名/書名/作品名 索引
版元から一言
バロック期の初頭に刊行され、以降の芸術に大きな影響を及ぼした、数多くの多彩な作家に由来する諸断片から制作された膨大な文化的事象の「真正のモザイク・テクスト」として『イコノロジーア』が織りなす諸断片をグループ化して分析し、ルネサンスの重要な文化的遺産を受け継ぎながら、独自に発展させた総合的作品として把握し直し、エンブレムという特異な芸術ジャンルの興隆と展開の中に位置づける!
【付属資料】『イコノロジーア』 一六〇三年版全訳 432ページ
上記内容は本書刊行時のものです。