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短歌文法入門 改訂新版
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2020年6月2日
- 登録日
- 2020年3月1日
- 最終更新日
- 2021年12月15日
紹介
短歌実作に欠かせない文語文法を、実作に即した内容で体系的に解説した定番ベストセラーを、大幅にブラッシュアップ。引例歌をより適切な作品に入れ替え図版も豊富に加えたよりわかりやすく、読みやすい書となりました。
目次
はじめに (五十音図)
第一部 短歌の形式と語法
●1短歌の形式
●2短歌の文体
短歌の構造 単語は文節を作る 主題を示す文節 修飾語を示す文節
並立・補助・独立の文節 文節の位置と結合 連文節について 文節の倒置
文節の省略について 単文・重文・複文 平叙文・疑問文・命令文・感嘆文
個人的な文体
第二部 品詞と活用形
●言葉の使い方
●名詞
a固有名詞 b普通名詞 c数詞 d代名詞 e形式名詞 f複合名詞
●連体詞
●副詞 1時・順序を示す副詞 2状態を示す副詞 3程度を示す副詞
4前出の語句を受ける副詞 5叙述の副詞
●接続詞 1並列の意を表すもの 2添加の意を表すもの
3選択の意を表すもの 4条件を表すもの
●感動詞 1感動の意を表すもの 2呼びかけの意を表すもの 3応答の意を表すもの
●動詞
動詞のはたらき 動詞の活用形とおもな用法 動詞の活用の種類と見分け方
1四段活用 2ナ行変格活用 3ラ行変格活用 4下一段活用 5下二段活用
6上一段活用 7上二段活用 8カ行変格活用 9サ行変格活用
自動詞と他動詞 補助動詞 複合動詞
●形容詞 ク活用とおもな用法 シク活用とおもな用法
●形容動詞 ナリ活用とおもな用法 タリ活用とおもな用法
●助動詞
三種類の分類
る・らる(受身・尊敬・自発・可能) す・さす・しむ(尊敬・使役)ず(打消し)き(過去)けり(過去)つ(完了)ぬ(完了)たり(完了)り(完了)む(ん)(推量・意志)むず(推量)べし(推量・可能・適当)けむ(過去推量)らむ(推量)めり(推量)らし(推量)まし(推量)じ(打消しの推量)まじ(打消し推量)なり(伝聞・推定)なり(断定)たり(断定)まほし(希望)たし(願望)ごとし(比況)
●助詞
1格助詞 2接続助詞 3係助詞 4副助詞 5終助詞 6間投助詞
(文語助詞接続表)
第三部 短歌の言葉
●短歌の言葉
和語 漢語 雅語と古語 口語・俗語・方言 畳語 擬態語・擬声語 枕詞
季語 外来語・外国語 術語・専門語 敬語 接頭語と接尾語 連語 語素と造語
ルビと当て字 かなづかい・送り仮名 音便
ZOOM IN① ZOOM IN② ZOOM IN③
文語動詞活用表 文語形容詞・形容動詞活用表 文語助動詞活用表 文語助詞一覧表
前書きなど
はじめに――本書の特色――
短歌の魅力のひとつに、短歌特有の典雅な文体があります。
その文体を使いこなすためには文法の習得が必要になります。多くの場合は高校時代の国語で学びますが、その後はなじみなく過ごすことが多いようです。
一方、短歌との出会いは人によりさまざまですが、短歌との関係が深まるにつれて、「文法再入門」が始まるともいわれます。それまでの知識をベースに、補強していくことが必要となりますが、実作に取り組みながらのことですから、座右の文法書には「体系的」であると同時に「実戦的」であることが求められます。
一般に文法書と言えば古典を解読するために、「読むため」に書かれていますが、本著のめざすとことは、古典に擬した典雅な現代の短歌を制作する、いわば「詠むため」の、「言葉を自在に使いきれるようになるため」の文法書です。表現上の具体的な例示が何よりも必要と考えて書かれています。
英文法でも「英文和訳」のときと「英作文」のときでは必要なポイントが根本的に違います。そのような考えから、この本は、実作に強くなるための手立てとして、それぞれの項にふさわしい現代短歌の例歌を785首収めました。
現代短歌は現代の事物状況を詠むのですから、平安時代中期の文法をベースにしつつも、ときに、口語のような現代語を取り入れた実戦的な内容でなければ、現代の様相事物を短歌で掬いきれないことも意識しています。
そういう問題意識から、いわば定番であった、先行の『短歌文法入門 新版』の主張を守りつつ、編集スタッフで時代の要請に適うための議論を重ね、このたびの改訂新版といたしました。
短歌の実作という場に立って、「こういうときにどうすべきか」という問いに、できるだけ具体的に対処できるように心がけました。「通読」が基本ですが「適時にピンポイントに課題にヒットする自在性」も心がけています。「入門書」の本質を守りつつも、実作の必要に応じて踏み込んでいる箇所も間々あります。毛細血管のように全身に隈なく行き渡ることを念じております。
なお、現代の実作の現状は、古典文法というものの口語脈の取り込みや完全な口語化も進んでいます。さらに、古典文法は平安中期の話し言葉に限定しているので、前後の時代の古語は対象外とされがちです。が、実作はそういう時代の語も用いられているという実態にあります。
本著により、すぐれた表現を会得されて、みなさまの短歌がいっそう豊かなものになりますよう願ってやみません。もとより、近代・現代の一見すべき名歌燦々の歌集を兼ねています。
上記内容は本書刊行時のものです。