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差別と資本主義 トマ・ピケティ(著) - 明石書店
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差別と資本主義 (サベツトシホンシュギ) レイシズム・キャンセルカルチャー・ジェンダー不平等 (レイシズムキャンセルカルチャージェンダーフビョウドウ)

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発行:明石書店
四六判
216ページ
上製
価格 2,700円+税
ISBN
978-4-7503-5603-7   COPY
ISBN 13
9784750356037   COPY
ISBN 10h
4-7503-5603-4   COPY
ISBN 10
4750356034   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年6月24日
書店発売日
登録日
2023年5月16日
最終更新日
2023年6月23日
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紹介

人種やジェンダーをめぐる差別・不平等は、グローバル資本主義の構造と深くかかわって、全世界的な社会分断を生んでいる。差別問題に正面から切り込んだトマ・ピケティの論考をはじめ、国際的な識者たちが問題の深淵と解決への道筋を語る、最先端の論集。

目次

 訳者序文[尾上修悟]

第一章 人種差別の測定と差別の解消[トマ・ピケティ]
第二章 キャンセルカルチャー――誰が何をキャンセルするのか[ロール・ミュラ]
第三章 ゼムールの言語[セシル・アルデュイ]
第四章 資本の野蛮化[リュディヴィーヌ・バンティニ]

 訳者解説[尾上修悟]

前書きなど

訳者序文

 今日、人種差別や諸々の差別の問題は、どれほど真剣に、かつまた精力的に議論されているであろうか。あるいはまた、それらの問題を解消するための具体的な政策はどれほど練られているであろうか。実はこれらの問いは、社会・経済的不平等を糾弾して平等を希求する人たちにも投げかけられる。T・ピケティは最近、平等に関する歴史を描いた書物をスイユ出版社から刊行した。その中で彼は、差別と対決することを論じる章を設けて次のように唱える。これまでの平等に向けた運動には一つの限界が見られた。それは、そうした運動が権利と機会の平等に関する理論的な原則を、人々の出身の問題と切り離して求めてきた点にある。したがってこの原則が、現実の社会に真に即したものかどうかを判断することはできない。ピケティがこのようにみなすのは、実際に民族・人種的差別のみならず、性差別やその他の社会的差別が世界中で歴然として存在し、そしてそれらの差別が社会・経済的不平等と強く結びついているからに他ならない。そうであれば、平等のための闘いは差別との闘いを内包するものでなければならないし、またそれを可能とする具体的な手段が準備されねばならない。ピケティが本書で断じているように、いかなる国も、またいかなる社会も、人種差別やその他の差別と対決できるモデルを完全な形ではつくり出せていないのである。

 (…中略…)

 以上のように、現代に顕著に見られる差別をざっと拾い上げただけでも、それは枚挙にいとまがない。しかもそれらは、広範囲の領域に及んでいる。そこでまず、それらの差別とそれから生じる不平等をきちんと把握し、その解消策を具体的に打ち出すために必要な分析の視点が求められる。そしてそれは、一つに限られるものではない。ここで、以下の四つの視点を示しておきたい。

 (…中略…)

 我々は、これらの多様な視点に立った分析による結果を総合的に把握することで、差別と不平等の問題をより掘り下げて論じながら、その解消に向けた糸口を見出せるのではないか。本書は、四つの独立した小冊子を訳したものであるが、各々は以上に示した分析視点のいずれかによりながら論じられると共に、それらの底流に差別と不平等に関する共通の問題意識が横たわっている。その意味で本書はアンソロジーの形を成している。

著者プロフィール

トマ・ピケティ  (トマ ピケティ)  (

フランス国立社会科学高等研究院の研究所長、パリ経済学校の教授、ならびにグローバル不平等研究所の共同主宰者。とくにLe capital au XXIe siècle (2013)(山形浩生・守岡桜・森本正史訳『21世紀の資本』みすず書房、2014年)、Capital et Idéologie (2019)、Une brève histoire de l’égalité (2021)の著者として知られる。

ロール・ミュラ  (ロール ミュラ)  (

カリフォルニア大学ロサンゼルス校ヨーロッパ言語・越境文化学科教授。著書に、La Maison du docteur Blanche. Histoire d'un asile et de ses pensionnaires, de Nerval à Maupassant (Lattès, 2001)(ゴンクール伝記賞およびアカデミー・フランセーズ批評家賞受賞。吉田春美訳『ブランシュ先生の精神病院――埋もれていた19世紀の「狂気」の逸話』原書房、2003年)、Passage de l'Odéon. Sylvia Beach, Adrienne Monnier et la vie littéraire de l'entre-deux guerres à Paris (Fayard, 2003)、La Loi du genre. Une histoire culturelle du « troisième sexe » (Fayard, 2006)、L'Homme qui se prenait pour Napoléon. Pour une histoire politique de la folie (Gallimard, 2011)(フェミナ賞随筆部門受賞)他。米国とフランスという二重の視点からの探究が、最近の寄稿や著作Ceci n’est pas une ville (Flammarion, 2016) やUne révolution sexuelle ? Réflexions sur l'après-Weinstein (Stock, 2018) の特徴である。

セシル・アルデュイ  (セシル アルデュイ)  (

スタンフォード大学(米国)フランス文学・文明学の教授、パリ政治学院政治学研究センターCEVIPOFの准研究員。政治言説分析の専門家としてこれまでにスイユ出版社からCe qu'ils disent vraiment. Les politiques pris aux mots (2017)、Marine Le Pen prise aux mots. Décryptage du nouveau discours frontiste (2015)を刊行、2015 年Panorama des Idées誌「社会を考える」部門文学賞を受賞。政治ジャーナリストとしてLe Monde, AOC, Le Nouveau Magazine littéraire, L'Obs, The Atlantic, The Nation, The Boston Review, politico, CNNに定期的に記事を寄稿する他、極右に関する学術論文を多数執筆。

リュディヴィーヌ・バンティニ  (リュディヴィーヌ バンティニ)  (

歴史家、教員・研究者、ルーアン大学GRHisラボメンバー。社会参加、社会運動・反乱・革命の歴史を研究。この主題で数々の著作があり、とくにLa France à l’heure du monde (Seuil, 2017)、1968. De grands soirs en petits matins (Seuil, 2018), Révolution (Anamosa, 2019)、« La plus belle avenue du monde ». Une histoire sociale et politique des Champs-Élysées (La Découverte, 2020)、La Commune au présent. Une correspondance par-delà le temps (La Découverte, 2021) およびユゴー・パレータとの共著Face à la menace fasciste (Textuel, 2021)が知られる。

尾上 修悟  (オノエ シュウゴ)  (

西南学院大学名誉教授。京都大学博士(経済学)。主な著書に『「社会分裂」に向かうフランス――政権交代と階層対立』(2018年)、『「黄色いベスト」と底辺からの社会運動――フランス庶民の怒りはどこに向かっているのか』(2019年)、『コロナ危機と欧州・フランス――医療制度・不平等体制・税制の改革へ向けて』(2022年)など、主な訳書にトマ・ピケティ『不平等と再分配の経済学――格差縮小に向けた財政政策』(2020年)など(いずれも明石書店)。

伊東 未来  (イトウ ミク)  (

西南学院大学准教授。博士(人間科学)。主要な業績に『千年の古都ジェンネ――多民族が暮らす西アフリカの街』(昭和堂、2016年)、“Changing Malian Women's Economic Activities: Vending in the Market, Travelling the World”, Japanese Review of Cultural Anthropology, 18(2), 2018、『かかわりあいの人類学』(共編著、大阪大学出版会、2022年)など。

眞下 弘子  (マシモ ヒロコ)  (

西南学院大学教授。パリ第4ソルボンヌ大学博士課程DEA修了(文学)。主な著書に、『ラシーヌ劇の神話力』(共著、上智大学出版、2001年)、Port-Royal et l'Humanisme (in Chroniques de Port-Royal, Paris Bibliothèque Mazarin, 2006)、主な翻訳に、アラン・ジェヌティオ「ラ・フォンテーヌ『寓話』におけるアレゴリーの詩学」(『西南学院大学フランス語フランス文学論集』60、2020年)など。

北垣 徹  (キタガキ トオル)  (

西南学院大学教授。修士(文学)。主な著書に『社会学の問い』(中川書店、2022年)、訳書にピエール・ロザンヴァロン『連帯の新たなる哲学――福祉国家再考』(勁草書房、2006年)、ロベール・カステル『社会喪失の時代――プレカリテの社会学』(明石書店、2015年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。